10/06/11 12:24:36 ZhWUxgt40
昔ピザ屋でバイトしてた頃の話。
とあるマンションに配達に行った。新規の客だった。
オートロックだったので入り口で部屋番号を押すと「はい」と若い女性の声がした。
「お待たせしました、ピザ○○です」
「今ちょっと顔を殴られてケガしてて表に出れないんです。
ドアの前にお金置いとくんでそこにピザ置いといてくれませんか?」
一瞬戸惑ったけど「あ、はい、わかりました」と答えてマンション内へ入った。
見せられないぐらいひどいケガなんかな?
事情は知らんけど殴られたことは別に言わなくてもいいのに
とか思いつつエレベーターで3階に上がると、その部屋は廊下の突き当たりにあった。
ドアの前の廊下には2060円がむき出しで置いてあった。
金を拾ってからピザをそこに置いて廊下を戻ったけどやっぱり気になるので
エレベーターを待ってるフリをしながら横目でその部屋を窺ってた。
顔を見てみたいけどきっとむこうも覗き窓からこっちを見てるはず。
なかなかドアが開かないので、諦めてエレベーターに乗り込もうとしたら
ちょうどそのときドアが少しだけ開いて、その下の隙間から手が一本にゅ~っと出て
不器用にピザの箱を掴んでドアのむこうに逃げるように引っ込んだ。
天才バカボンに、手だけしか見せない一家の話があったのを思い出した。