10/08/23 20:53:12 hIDBoioq0
「俺の母さんだ!勝手に俺の母さんを取るな!!」
何度も飲み込んできた言葉。
みんなの前では「母さん」とは一度も言わせてくれなかった。
それなのに、なんで、あいつだけ「お母さん」って呼んでるんだ?
本当の母さんの子供は俺だけなのに。
あいつと二人でいるときだけ「お母さん」と呼ばせてるのは何でなんだ?
俺は知ってるんだよ母さん。俺は望まれて生まれた子供じゃないことくらい。
就職するときに「戸籍謄本」を持って来いって会社に言われてさ。
父親がいないことをそのときに始めて知ったんだ。
いまどき「戸籍謄本」を持って来させる会社が、俺を雇うはずないよな。
就職できない俺を母さんは叱ったよね。
でもそれは、俺が悪いのか?俺はそんなに悪いことをしたのか?
俺が憎かったかい?母さん・・・
もうどうでもよかった。母さんは顔見れば就職の話ばかり。人生がつまらなかった。
そんな時にあいつを見つけた。働いていた。なんで?おかしいじゃないか。
一人で何もできなかった、泣いてばかりいたあいつが。
頭の中で声がした。
「コワシテシマエ」
ははは・・・あいつきっと母さんのところに行くよ。助けてって泣きながらさ。
はははははは・・・俺のこと言うだろうな・・・もう家には帰れないな・・・
しょうがないさ。これが運命ってやつなんだきっと。なあ、A子。