【どーにでも】作家気取りが集うスレ【なれっ!】at OCCULT
【どーにでも】作家気取りが集うスレ【なれっ!】 - 暇つぶし2ch2:本当にあった怖い名無し
10/03/06 18:50:06 1fzb6PxS0
春の芥川賞候補読み切り
「触手ょぅじょ」

↓第一話

3:1
10/03/07 08:41:35 B2Nq+Vs30
なぜレスがこないのか・・・

4:本当にあった怖い名無し
10/03/07 09:01:06 Fm4Ly6Hp0
(‘ -‘ ) 何故だと思う?

5:呑呑 ◆d005eGRaX2
10/03/07 22:22:09 GFcZsxOW0
>>3

答:この板で「作家気取り」はオレぐらいだから

6:1
10/03/10 00:24:53 qmn3SA5P0
作家気取りよ話してたもれ。


7:リアル朝鮮人
10/03/10 00:29:03 A0GhPjrwO
おもしろそうだな。

8:本当にあった怖い名無し
10/03/10 00:33:09 2Q15sPyv0
様子をみます

9:団☆御兄六 ◆Z.2D3iVVHs
10/03/10 00:37:54 tDkaEB9hO
どうだと言わんばかりにそそり立ち、逞しい赤紫の血管がはしる男性のシンボルを
その京オンナは、躊躇いも無く口に含んだ。

10:ダミー ◆18kqPdZ6p6
10/03/10 00:41:05 CD/p3Ekx0
うんこたれの記憶さん

11:リアル朝鮮人
10/03/10 00:51:07 A0GhPjrwO
いつもどうりの学校からの帰り道だったはずですが、その日は道端に宇宙人が倒れていました。
『大丈夫ですか』
私が聞くと、宇宙人は意識を取り戻したらしく、目を開くと言いました。
『お嬢さん、あなたのオシッコを飲ませてください』
恥ずかしいけど人助けのためと思い、私はオシッコを宇宙人に飲ませてあげました。

『恐縮ですが、お嬢さんのウンチも食べさせてください』
私のオシッコを美味しそうに飲んだ宇宙人が言ったので人助けと思い、私はウンチもあげました。
『ありがとうございます、お嬢さんのおかげで助かりました』
ウンチを貪ったせいか、生気を取り戻した宇宙人が私に歩み寄ってきます。

『お礼に、お嬢さんの願いを叶えてあげましょう』
宇宙人がウンチまみれの手を私に差し出してきます。もう限界です。

『エンガチョー!あんたなんて死んじゃえ』
私が近くの石で頭を思い切り殴り付けると宇宙人は、うめき声を上げて動かなくなってしまいました。
私は慌てて現場を立ち去りましたが、宇宙人の仲間にこの事件を見られていたのでした。
宇宙戦争だ。

つづく?

12:山本ミッドナイト監督 ◆Z.2D3iVVHs
10/03/10 01:00:52 tDkaEB9hO

傑作だ!
続き頼んますわい

13:狢
10/03/10 03:52:51 Ee6zq94y0
とんでもないことを発見してしまった

権左右衛門はいつものように終電間際の地下鉄で帰路についていた
我思う、故に我あり、そんなこと言ったのは誰だっけ
相変わらずこの時間帯の地下鉄は混んでいる
終電になると、もっと込むのだろう
我思う、それが我じゃないなんて
会社帰りにいっぱいやったのだろう、きちんとスーツを着ながらもいぎたなく船をこいでいるサラリーマン
目の前で人の迷惑考えずに股おっぴろげているこのおっさんも、おっさん自信のものはその垂れかかった
よだれとか、そのよだれを出すための器官とかしょせんそれまでなんだ
多分気持ちよくねーちゃんに持ててる夢とか見てるんだろうが、その夢を見てるのはこのおっさんじゃないんだ
電車が大きく傾き島式ホームの駅に近づいたことを教える
この電車だってそうだ
確かに作ったのは俺たち人間だ、人間の手で作り上げたんだ
でもその設計図を書き、最適な電動機の選定を行い外板の材質を決めたり、少なくともその意志は俺たちじゃない
電車が急激にその進行速度を落とし、ホームの証明が窓に入り込む
つり革をつかむ手に力が入る
無意識に入れた力は誰の物だ、俺たちか、違うのか
力を入れた結果、俺か誰かは知らないが、この付着した汗の気持ち悪さを感じているのは俺なのか、違うのか
いつもどおりのアナウンスを合図にドアが開く
あばよ、おっさん
そして、おっさんに寄生しているものたちよ
気持ちよく寝過ごして、後悔するのはおっさんなのか、寄生しているものたちか

つづく

14:狢
10/03/10 03:56:48 Ee6zq94y0
>>13のつづき

電車を降り人の流れに乗りホームを歩き階段を上り改札にカードを入れた財布をかざす
この辺は都内と言っても外れに当たる
すぐそばの川を越えれば千葉県だ
結婚を機に独身寮を出てアパートを借りた
さほど高くない給料の研究職だ
都内で駅から歩いて5分なんていうところにアパートが借りれるわけがない
薄暗い広くもない道路をアパートに向かって歩く
疎らな街頭に影が長く伸びる
15分も歩き、たかだか川幅10mくらいにかかる橋を渡る
菊が待つアパートはもうすぐだ
そして、この道を更に15分歩けば別の地下鉄の駅にたどり着く
権左右衛門が選んだアパートはそんな場所、運送会社が立ち並び物言わぬトラック達が
明日の活動を前にほんのちょっと憩っているそんななかにぽつんと建った4階建て
チャイムを鳴らす、そして小さな声でいう「ただいま、いま帰ったよ」
いつもの儀式
やがてドアチェーンを外す音が聞こえ、ドアが開き菊が顔を見せる
「おかえりなさい、おつかれさまでした」
あぁ、愛しい菊よ、俺はお前と会うために生を受けたのだとお前に会ってそう思った
今でもその思いに偽りはない
だが現実はどうだ
俺は菊を大切にしているのか

つづく

15:狢
10/03/10 04:00:10 Ee6zq94y0
>>14のつづき

実験が押してくれば、平気で何日も家を空ける
論文の執筆中は、菊からメールが入っても携帯を見ようともしない
未知の物、それを自分の考えた理論の中に取り込む
そして学会、晴れの席での発表
世界中が俺の講演を聴き、論文を読み、賞賛の声を上げる
その栄光と菊とどう比べたらいい?
俺の鞄を受け取り、居間へ先導しつつも今日あった日常の
俺からしたら些細な出来事を嬉しそうにしゃべる菊
愛しい
その口を俺の口でふさぐ
服の上から乳房を揉み砕く
狼狽しながらも喘ぎ声を漏らす菊
愛しい
引きちぎるようにボタンを外し、ファスナーを降ろす
いいんだ、これでいいんだ
これが俺が菊を愛している、その想いを具象化するのに何のためらいがあろう
想い?
これは俺の想いなのか、それとも俺に寄生しているやつらの想いなのか?
既に剥かれた白い乳房に噛みつく
右手はその外見から想像も付かない密林を分け入り俺のために用意された秘密の場所を探し当てる

つづく

16:狢
10/03/10 04:12:29 Ee6zq94y0
>>15のつづき

その場所を隠そうとするような脚を腕で広げさせ、腰と腰をあわせる
愛しい
権左右衛門自身が菊に分け入る
初めはゆっくりと、それでも最深部をめざし力を入れる
菊の細い指が背中にしがみつくのを感じる
愛しい
もう何も考える必要はない
心の赴くまま、腰を動かし続ければいい
菊の指に力が更に入る
心?
俺の心か?
ちがう
つい何時間か前、それが違うことを俺はあの研究室で確かめたじゃないか
それが何だ
いま、俺の粘膜と菊の粘膜が激しく擦れ合う、これは俺の物だ、そして菊の物だ
ざまぁみろ
その結果、感情の高ぶり、快感、そんなのを感じるのが俺じゃないのがなんの関係がある
俺はいったい何なんだ

畳の上に直接二つの裸体が並んでいる
動悸が収まらない
菊は完全に脱力している

つづく

17:狢
10/03/10 07:57:26 Ee6zq94y0
>>16のつづき

そうだよな、こうやって考えている方が俺だってこともあり得るんだ
右腕の上に菊の頭が載っている
その右腕を少し曲げて菊の顔を自分の方へ向ける
愛しい
愛しいと想うのが俺だ
この右腕こそ、おれに寄生しているんだ
閉じた目に優しく唇をあてる
菊の唇がわずかに動く
じゃぁこの肉体は何だ
単に移動する手段か、子孫を残すための道具か
いやちがう
この肉体に寄生している心だけで制限はあるものの移動は可能だ
子孫だって残している
肉体は意味がない

死のう

菊の頭の下から右腕を外し、上体を起こし、美しい裸の菊を見つめる
権左右衛門の両手が菊の首に廻る
これからはいつも一緒だ

タイトル:二元

第一話へはそのうち

18:1
10/03/11 00:59:05 VbWSF5SX0
まず全体的に表現が古いです。
揉み砕く、などという表現は今時幼稚園児でも使いません。
それに随分時間をかけて書いたみたいですが行為そのものは早いです。
早すぎます。
おかげで菊女の交歓の情がまるで伝わってきません。
まだ濡れてもいなかった彼女はきっと痛くて涙がでていたハズ。
それも気づかずに、いえ気づいていて尚自分だけ果てて・・・
この早漏。


19:呑呑 ◆d005eGRaX2
10/03/11 12:55:36 xIaw7G330
果てて候…

20:リアル朝鮮人
10/03/11 21:44:05 J8R0z3HmO
何にも現実感を感じられない状態を人は心に穴が空いたような状態というのだろうか。
学校から帰った私は、何度目かのため息をついた後、リビングの扉を開けた。
『あら、まだ着替えてないの』
リビングでくつろいでいた母Aが、学校の制服を着たままの私を見て言った。
今日こそハッキリさせなければ。私は意を決して言葉を紡ぐ。

『ねえ、私はお母さんが二人もいるのに、何でお父さんがいないの』
母Aそして、奥で夕食を作っていた母Bの顔がみるみる青ざめていくのが分かる。

『リツカ(私の名前)、あなたがそう言うと思って呼んどいたのよ』
母Bが客間に続くドアを開けると、そこには5人のイケメンさんがいました
て、5人とも私とたいして歳が違わなさそうじゃん。あんた、何歳の時に私を産んだのよ。
動揺する私をイケメンたちは抱き抱えると、客間のベッドに運び、乱暴に投げ落とし、私の服を脱がし始めた。
ちょっと、お父さんは娘に、こんなことしないわよ。お母さん助けて。


多分つづかない。

21:1
10/03/13 00:52:42 RzuCDfr00
規制が多すぎでございます。


22:1
10/03/20 00:55:11 6um6lVH30
ナントカホラー大賞とかホラー小説への登竜門の登竜門です。
もしかしたらそのまた登竜門かも。
実話もOKです。
要は怖けりゃいいんです。


23:本当にあった怖い名無し
10/03/22 11:26:36 sUEKxXfi0
三連キューなんてイラネーよ

24:リアル朝鮮人
10/03/26 19:04:10 UWDyzeCIO
おもしろそうだからage

25:神1
10/03/27 09:43:23 WP2ZzSJn0
お約束

読み終わった人が感想を各場合、文章の最後に必ず
「作家気取りかよ~、この○○が!」と入れて下さい、○○の中は自由です。

こうする事によって投稿者自身に庶民共の下品なヤジというものに抵抗力をつけます。
多くの作家気取りの連中は庶民の生活に疎く
彼らの下司なヤジに驚き恐れ、また傷つき忽ち萎縮してしまうことが往々にしてあります。
ホラー作家を希望する者の実に三割がこのような初歩的な障壁で潰れていくのです。
そんな彼らを生温かい目で見守るだけではなく、時には千尋の谷に勢いつけて落としてやってください。
鍛えてやってください。
あなたが荒らしのマネ事をすることで、もしかしたらこの板から未来のチンピラ作家生まれるかもしれませんよ。
往往にして

26:呑呑 ◆d005eGRaX2
10/03/27 12:51:37 DFiX2A5P0
ここでは 直木賞や芥川賞ではなくて
どっちつかずの中央公論新人賞(谷崎潤一郎賞)を狙うべきだろう
だってオレ ホラーとか興味ないし…

「文芸評論家気取りかよ~、この神その1が!」

27:神様1
10/03/29 10:43:47 Bv0Uki1d0
呼び捨てはやめろや。

28:呑呑 ◆d005eGRaX2
10/03/30 23:46:10 DJR3ogWI0
チンピラ作家ってかっこいいな

29:神その1
10/04/06 23:45:49 oo74VHbN0
神tes


30:本当にあった怖い名無し
10/04/08 23:06:41 rs1qpBAQO
あげ

31:本当にあった怖い名無し
10/04/10 03:06:45 SxJp2XfN0
ここ最近は直木賞も芥川賞も腐ってきてるからな
特に直木賞


32:本当にあった怖い名無し
10/04/13 01:28:30 tFvqi35B0
ひたすら神の降臨を待つスレになってきたな。
今まで降臨したのはtesする神とチョンコーと紙パックの焼酎だけかよ。

33:呑呑 ◆d005eGRaX2
10/04/13 12:35:03 Cmbn4fCP0
お前は
涙と共に紙パックの焼酎を飲み干した事があるか?
無いだろう 
だから そんな言い方が出来るのだ







まあ オレも無いが…

34:呑呑 ◆d005eGRaX2
10/04/13 12:40:19 Cmbn4fCP0
って言うか
「狢」ってのがエロ小説書いてたぞ
忘れてたな
本当にひでえ奴だ







まあ オレも忘れてたが…

35:リアル朝鮮人
10/04/14 00:50:28 /fZcsV3MO
待つ、神降臨
おおかみかくし

36:本当にあった怖い名無し
10/04/14 03:11:36 KzCusi1LO
ヒット作が出るとちょっと設定変えただけじゃん!てなパクリ作品の投稿が増えるそうな。
京極堂、十二国記全盛期の頃は特に酷かったらしい。

37:山本ミッドナイト監督 ◆Z.2D3iVVHs
10/04/14 12:10:21 7a+0oTi1O
チンボとマンコと熟女と浣腸の話を読みてぇ

38:神その3
10/04/15 20:53:05 wnUiWDSUO
やっと規制地獄から抜け出せたぜ、何ヶ月ぶりだ?

39:呑呑 ◆d005eGRaX2
10/04/23 22:19:29 556EvoGa0
批評家がウルサイせいか 投稿作品が来ない
すこし静かにするから 何か読ませろ

40:本当にあった怖い名無し
10/04/24 01:08:23 err9Bflu0
おす、オラごくう!
オス、おらゴクウ!
押忍、俺ら悟空!




41:呑呑 ◆d005eGRaX2
10/04/24 17:20:27 +bZQTIcy0
オカ板批判じゃないんだ。もちろん、オカ板無用論を説く
スレでもない。
おそらく、みんな思ってるだろうけど、最近のオカ板って
らしくないな。物足りないなって思ってるなら、離れるのも手じゃネーかな?
ごく普通に、ネットを離れ、実感を求めて街へ出る事は思いつく。
くどくなるが、ゲーテの『ファウスト』の中でも大博士ファウストは、自己に失望して
うざいほどの知識を捨て、現実世界に、悪魔メフィストを従えて飛び出した。

ようするに、行き詰った2ちゃんを超え出て、生のリアリティーに根ざした認識や創造を目指せるように
ろくでもない、現実世界に触れてみる事だと思うんだ。触れたら、戻って来るんだぜ!
しばらく離れたら、ここの良さも実感できる。離れる事は終わる事じゃない。
くだらないレスにだって、深みも見出せる自分がいるかもしれない。
なあ、はやく帰ってきて何か書き込んでくれよ。

42:呑呑 ◆d005eGRaX2
10/04/24 17:21:38 +bZQTIcy0

懐かしいなと思ったら負け

43:神その1
10/04/25 03:21:25 jLTQdCDp0
愛がないんだよ、愛がよ。
行間から漂う愛がないから無駄に寒いんだよ。
ホラーっての結局そこに行き着くと最近知ったワシ。


44:本当にあった怖い名無し
10/05/02 00:02:45 ie7n6eFF0
神はなにゆえにこのスレを立てたもうたか。


45:神
10/05/15 10:13:02 LMk05pZJ0
そろそろ書こうか

46:本当にあった怖い名無し
10/05/23 05:37:46 +edEPlFT0
こんな所に勿体無いな。



47:本当にあった怖い名無し
10/05/25 23:04:47 o+HC/khv0
えこえこあざらし

48:本当にあった怖い名無し
10/05/26 18:48:16 3jAtQ0S60
えろいむえっさっさ

49:本当にあった怖い名無し
10/05/28 00:46:38 fc7CTI4D0
降臨するまで落とすなよ、仲間たち。


誰がじゃ!



50:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 19:29:22 kDSCgSmP0

「泡兄弟の伝説」

母を捜す旅に出たのは、兄が8歳、僕が5歳のときでした
リュックサックに1万円札を1000枚ほど詰め込んで
僕たちは出発したのです
それはある夏の夜のことだったのです

いくら探しても母は見つかりません
心細くなった僕は、兄にすがるように聞きました

「お母さんはどこにいるんだろう。いつになったら会えるのかな」

兄が振り向いてこう言いました

「揺り篭から墓場まで探しても、見つかるのはせいぜい
 サイボーグの赤ちゃんとチャンチャンコを着た丸顔の少年だけだろうな
 お母さんは見つからないさ」

「兄ちゃん、何でそんなこと言うの? 何か知ってるの?
 もしかして、もうお母さんは死んでるとか?」

兄が悲しそうな目で僕を見つめました

「 生きてるとか死んでるとかのレベルじゃないんだ
  いいか、よく聞けよ。そもそも俺たちはな・・・

  水溜りから湧いてきたんだぜ 」


ーーーーー完ーーーーー

51:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 21:21:27 kDSCgSmP0
「ウソダラマジカル①」

吉田悟は子供のころから本が好きだった
「将来は何か本に携わる仕事がしたい」 吉田はそう思い、大学の文学部を卒業し図書館司書の資格を取った
しかし図書館職員の欠員はめったに出ないため、図書館司書の職には就けず
本屋でアルバイトをしていた

その後、軽い気持ちで小さな出版社の面接を受けたら、運良く受かってしまい
今では正社員として編集の仕事をしている

「うちでいくら経験を積んでも、他の会社の編集部じぁ通用しないから」
入社そうそう先輩からボソッと言われた言葉である

「たしかにそうかも知れないな」
吉田のいる編集部で出している雑誌というのが、怪しげな記事がオンパレードの
オカルト雑誌だっだのだ

「ガキんちょを騙すような記事ばかり載せてからに」
その記事を書いている1人が自分なのだと思うと、虚しくなる時もある

その雑誌には、運の良くなるペンダントだの、潜在能力が開発できるCDだの
さらに怪しげな広告が多数出ており、それが編集部にとっての大きな収入源なのだ

「いつか一流の出版社に就職したい」 
そんなことを考えながら居酒屋でひとり酒を飲み、自宅のあるマンションに帰ってきたのは
深夜の2時過ぎだった


52:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 21:24:59 kDSCgSmP0
「ウソダラマジカル②」

1階のエレベーターから3階のボタンを押す
到着音とともに扉が開き、吉田は3階のフロアーへ出た
廊下の一番奥の301号室が吉田の部屋だ
天井の蛍光灯が切れかけてパチパチと不愉快な音を出している
「管理人さんに取り替えてもらわないとダメだな」

普通、オートロックマンションの管理人は平日の朝8時から午後5時まで、1階の管理人室に在中し
廊下や非常階段の清掃やら、宅急便の受け取り代行などをして
土日・祝日は休みという勤務形態が多い
だが吉田の住むマンションはオートロックではない小さなマンションだ
大家の鈴木さんが管理人も兼任している
鈴木さんは朝6時にマンションに来ると、手早く清掃を済ませて自宅へ帰る
そのかわり何かトラブルがあれば、夜中でも駆けつけてくれるので なにかと便利ではあった


53:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 21:28:13 kDSCgSmP0
「ウソダラマジカル③」
自室に向かって一歩踏み出した時、吉田は金縛りにあったかのように動きを止めた
301号室のドアが開いたのだ
見知らぬ男が出てきた、暗くて顔はよく分からないが長髪なことだけは見てとれた
男がユックリと自分のほうに歩いてくる

「ここで止まっていたら自分が301号室の住人だとバレてしまうッ!」
ナイフで腹を刺された自分の姿が、反射的に脳裏をヨギル

吉田は平静を装いながらユックリと男に向かって歩き始めた
すれ違う時、男のクチビルが横に動いて何かを呟いた「ウッ・・・・・」
パチパチッパチパチッ 天井からのノイズが一段と大きくなった

男は静かにエレベーターホールへ消えていった

ドロボウに違いない! 吉田は自分の部屋へ入ろうと急いでドアノブを回した
開かない?鍵が閉まっている? 今の男は鍵を閉めて行った?
いや、鍵を閉める素振りもなかったし音も聞こえなかった 。どういうことだ?

吉田は震える手を胸の内側ポケットに入れ、鍵を取り出した
鍵が意地悪をするように鍵穴の周囲でカタカタ鳴りながら蛇のようにクネる
早く開けねば! 吉田は焦った
やっと鍵が開いたと思った瞬間、 ふいに吉田はさっきの男が自分の背後に立っているのではという観念に囚われた
背後を見た、誰もいやしない、いて堪るかッ!
ライオンに追われている人間のように、吉田は自分の部屋へ滑り込んだ


54:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 21:34:02 kDSCgSmP0
「ウソダラマジカル④」

「何やってんだ俺ッ~!!! なんですれ違う時に捕まえないんだ俺ッ!!!
 気が弱いにも程があるだろうがぁああアアアッツツツ!!!!!!!!!!」

台所から包丁とフライパンを持ち出した吉田は、ダッシュでエレベーターホールへ向かった
そこで吉田は2度目の金縛りにあったのである

エレベーターは3階で停止したままだった、中には誰も乗っていない

おいでおいでをするかのように、ゆっくりとエレベーターの扉が開いた
吉田にはソレが、まるで大きくクチを開けた禍々しい怪物に思えた
扉がゆっくりと閉じ、エレベーターは無人のまま下降していった
天井の電球が寿命を終え、吉田が立つエレベーターホールは静寂と闇に包まれた

部屋に逃げ帰った吉田は、とりあえず盗られた物がないかチェックしたが
貴重品類は無事のようだ

「いったいどういうことなんだ今の体験は? 幻覚? 統合失調症による幻覚?」

「病院に行かないとダメなのか」 暗澹たる思いが襲う

統合失調症・・2ちゃんネルでいうところのキチガイ・・失業・・廃人・・
まるで腰から抜けた気が、脳に侵入して空回りでもしてるかのように 頭がボーっとする


55:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 21:44:43 kDSCgSmP0
「ウソダラマジカル⑤」

「仮に病気だとしても、誰にも知られちゃマズイ
 いやまてよ、もうすでに俺は仕事場で変な言動をとっていて
 会社の奴らは俺のことをキチガイだと陰で噂しているのでは?
 自分では自覚できない病気らしいし・・」

そう思うと本当に発狂しそうになった

狙い済ましたかのように電話のベルが鳴った
こんな深夜に電話をかけてくるような知人など、自分にはいない
電話は鳴り続ける「早く出ないと隣から苦情が来るぞ」と脅迫をするかのように

負け犬のような気分で吉田は受話器を持ち上げた

「だ~れも知らない知られちゃいけ~ない~♪」
幼い子供の声がアニメ・デビルマンのEDテーマを歌った

吉田が恐怖したのは、その声でも歌でもない
吉田が恐怖を感じたのは場所だった

その子供の声は受話器からではなく、吉田の背後から聞こえたのだ
振り返った吉田の目に飛び込んできた物、それはテーブルに置かれた灰皿
吉田が100円ショップで買った黒い変哲のない灰皿
マイルドセブンを愛用している吉田の、その灰皿の中に、存在するはずがない
マルボロの吸殻が1つ入っていた


56:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 21:49:56 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑥)

「霊的な現象なのか? 心の病の前兆だったのか?」
堂々巡りをしてる間に眠ってしまったらしい
ポンと肩を叩かれて、吉田は電気ショックを受けたように飛び起きた
「どうした、体調でも悪いのか?」

目の前に先輩の村田が心配そうな顔で立っている
「うちでいくら経験を積んでも、他の出版社じゃ通用しないから・・・」
皮肉めいた忠告をしてくれた先輩、それが村田である
「すいません、チョット疲れてて」

「そうか、疲れてるとこ悪いんだけど、来月号に掲載する俺の記事 チョット見てくれないか?」

「えっ!村田さん、もう書き上げたんですか? 相変わらず早いですね」

村田こそ、その気になればマトモな出版社に就職できるはずなのに 、なんでこんなトコで働いてるんだろう?
吉田にそう思わせるほど、村田は書くのが早く、しかも抜群の文章力を持っていた
そのため、総力特集は村田が常に書いていたのだ

『総力特集・アトランティス大陸は月にあったッ!!!!!』
過去、多くの研究家や冒険家たちのチカラによってさえも、その正確な場所が
謎のベールに包まれていた伝説のアトランティス大陸
それもそのはず、アトランティス大陸は月に存在したのだッ!!!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
プッ!吉田は思わず吹き出した
「これはオカルトを超えて、もはやお笑いの世界に突入してるな」


57:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 21:52:07 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑦)

村田の書いた先月号の総力特集は『戦慄ッ!許すまじッ! ワタシはダルマ女にされかけた』
(被害女性に直撃インタビュー成功ッ!)

もちろん、村田は確信犯的に書いているのである
村田の記事だけで、この雑誌は持ち堪えているようなものである

「村田さん、凄いです、面白いです」
沈んだ心を一瞬、明るくしてくれた村田に吉田は感謝した

「そこまで喜んでくれなくても」
満足そうな顔で村田は自分のデスクへ戻っていった

「恐怖と笑いは紙一重である・・・」誰かが本に書いていたのを吉田は思い出した
そういえば「オカルト小噺」というのもあったな・・・・・


58:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 21:59:46 kDSCgSmP0
「オカルト小噺・百物語」

3人の若者が深夜、百物語に興じている

A 「さて、いよいよ99話目だ、B君頼むよ」

B 「先週の土曜の深夜、俺は1人で車でドライヴしてたんだけど
   制服を着た中学生らしき女の子がカーブの所でポツンと立ってるのを見つけた
   こんな時間に女の子が1人でいたら危ないと思って声をかけたんだよ
   するとその娘が、****中学まで乗せて欲しいというので乗せることにした
   しばらくして、その娘が変なことを言い出した
   
   (今からバレーの試合があるんですけど遅刻するところでした、本当にアリガトウございました) とね。

   (エッ? こんな時間にバレーの試合をするの?)俺は尋ねた、でも返事がない
    バックミラーを見たらそこには誰もいなかったんだよ
   
   後で聞いた話なんだけど、昔 バレー部でキャプテンをしていた女子中学生が
   そのカーブで交通事故に遭って死んだそうなんだ・・・」

C 「でも霊って哀れだよな、自分が死んだことに気がつかないんだもんな」

AとB 「そうだねぇ~」
     
A 「さて、いよいよ99話目だ、B君頼むよ」

B 「先週の土曜の深夜、俺は1人で車でドライヴしてたんだけど・・・」    


59:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:01:37 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑧)

吉田が担当する来月号の記事は「特集・読者が体験したストレンジネス」だ
いつもは読者からの投稿を3話掲載しているのだが、来月号はそれを10話載せるのである
投稿が集まらなかった場合は、吉田が話を創作して穴埋めをすればいいだけのこと
ハッキリいってチョロイ仕事だった

疲れた体を強引に動かしながら、吉田は読者からの投稿を整理することにした
投稿は全部で42通あった 「死に逝く」てか?
だめ!だめ!思考がつい暗黒的になってしまう 村田先輩のようにポジティブにならなければっ!

気を取り直して投稿を読んでいると、「おや?」と思う3通の投書を発見した


60:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:04:28 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑨)
「変な公園」
これは僕が去年の夏に体験した出来事です
午後2時頃、自宅近くの慣れ親しんだ公園で、携帯から2チャンネルの掲示板をみていました
すると突然、携帯に県外が表示され、画面に何も映らなくなったのです
それだけではありません、公園で遊んでいた子供たちも、犬を散歩させていたオバサンの姿もありません
いままで喧しく鳴いていた蝉の声もピタっと消えていたのです
無人、無音となった公園に、僕は取り残されたのです

僕が呆然としていると、公衆トイレの中から作業服を着た中年男性が現れました
手にはラジコンのコントローラーを細長くした奇妙な機械を持っています
そのオジサンは僕を見つけるやいなや 「う、嘘だろマジかよ?」と叫びました

続けて「君ッ!この公園から出たらダメだぞ、絶対にッ!分かったな?!」
そう言い残すとオジサンは慌てふためきながら、公衆トイレへ戻って行きました
僕は不安になりオジサンの後をすぐ追いました
しかし公衆トイレの中には誰もいません、オジサンは忽然と消えたのです

トイレから出てきた僕の耳に、蝉の声が響き渡りました
スベリ台を見ると子供たちが喜声を上げながら滑っています
芝生の上ではオバサンが犬を散歩させています
どうやら僕は、元の世界に戻れたようでした
それにしても、この体験は、あのオジサンはなんだったのでしょうか?

沖縄県 **市** 片岡 翼 68歳 無職


61:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:06:38 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑩)

「北海道のガソリンスタンド」1/2
去年の夏、わたしはオートバイにまたがり、北海道を独り旅していました
大湿原を横切る広大な道路。対向車も後続車もありません。ここは本当に日本なのか?
まるでハリウッド映画に出でくるような風景に、わたしは心を躍らせました

やがて前方に霧が発生しているのに気づき
わたしは一旦停車し、ライトを点けてユックリとその霧の中を前進しました
すると急に霧が晴れ、前方にガソリンスタンドが見えました
わたしは給油しようと思い、そのスタンドに立ち寄ることにしたのです

しかしスタンドの中にオートバイを停めても、中から店員が出てきません
セルフ式のスタンドかと思いましたが、そうではありませんでした
入り口のドアには「**スタンド 電話***」と大きく書かれています
でも全体的に錆びれた感じの妙な店でした

わたしはドアを開けて中に入りました
「すいません、誰かいませんか?」わたしが大きな声で呼び掛けても 、やはり誰も出てきません
そこは無人のガソリンスタンドだったのです


62:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:07:43 kDSCgSmP0
「北海道のガソリンスタンド」2/2

テーブルにはコーヒーが半分入った埃だらけのコップが1つ置かれています
嫌な感じがしたので、取りあえずわたしは外へ出ました
店の横の空き地に、引っ繰り返ったボロボロの耕運機が放置されているのが
わたしの目に飛び込んできたのです

「ここに居てはいけない」胸騒ぎを覚えたわたしは 、オートバイを全速力で走らせてその場を去りました

1時間後、気になったわたしはそのスタンドに電話をしてみました
驚いたことにすぐ電話に男性が出たのです

「エッ?さっき立ち寄ったけど誰も応対しなかったって?それは悪いことをしたね
 実はここは自衛隊の古い基地なんだ
 もうみんなからは忘れ去られているけどね、これ以上は言えない・・・」

唐突に電話が切れました
いったいあのガソリンスタンドは何だったのでしょうか?
北海道には人間が入ってはいけない場所が存在するのでしょうか?


63:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:10:32 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑪)

「赤い自販機」1/3
脳を活性化させると謳い文句の書籍に
「いつもとは違う順路で帰宅すると、それが新しい刺激となり脳を活性化させる」と書いてあったので
私は電車で帰宅途中、一駅前で降り、自宅まで歩いて帰ることにしました
時間は午後7時ごろだったように記憶しております

線路を最寄り駅に向かって歩いていると、喉が渇いてまいりました
その時ちょうど自販機が目にとまったので、ドリンクを買おうと思い近づきましたのでございます

その自販機は真っ赤でした
自販機上部の透明な部分には見本の缶が並べられており、どれもテレビのCMでよく知っている飲料水でしたが
左端の見本の缶だけ奇妙でした

それは真っ黒な缶に「アナタの歌」と印刷されており、 驚いたことに値段が1000円と書かれているではありませんか!

私は喉の渇きも忘れて、好奇心からその缶を購入することに決めたのでございます
私の1000円札がスルッと自販機に飲み込まれました
だがしかし、何も出てこないのであります

「チキショウ!べらんめぇッ~!」私は自販機をつい蹴り上げてしまいました

その瞬間、自販機から大音量で歌が鳴り響き出したのであります


64:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:11:41 kDSCgSmP0
「赤い自販機」2/3

Let's defy neck hanging 惨めな生き様を♪
Let's defy neck hanging 無意味な日常を♪

ママのお腹に置いてきた 生きるためのライセンス
お金も無いし恋もない 死にたい時に死ぬだけさ
掛けてみるかい 今夜 首に Good choice
ワイヤー入りさ 頑丈さ 
死後の世界で素敵な恋が待ってる
苦しみだけの人生 思い切り椅子をッ蹴っ飛ばせ
Let's defy neck hanging 惨めな生き様を♪
Let's defy neck hanging 無意味な日常を♪


65:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:12:48 kDSCgSmP0
「赤い自販機」3/3

私はビックリしてその場より、全速力で走り去ったのでございます
赤い自販機がドンドン遠ざかり、点になり、振り返っても視界にはもう入りません
しかし、その歌は何故か鳴りやみません、それもそのはず、歌は私の脳内で鳴っていたのです

『 命知らずの死に方は 天井からブラ下がる
  君の肛門 弛緩して 熱い糞尿 タレ流す

  いつ死ぬ気かい? 今夜はとても マトモな気分じゃいられない
  首を吊って見せておくれよ BABY♪~ neck hanging Time ♪
  苦しみだけの人生 思い切り椅子をッ蹴っ飛ばせ

  Let's defy neck hanging 惨めな生き様を♪
  Let's defy neck hanging 無意味な日常を♪ 』


「もう勘弁してくれ~ッツツツ!!!!」
私の絶叫と同時にピタッと歌が止まり、脳にようやく静寂が訪れました

あの自販機はいったい何だったのでございましょう?
そしてあの歌が私の歌とはいったいどういう意味なのでございましょう?

東京都 **区** 杉本 権蔵 15歳 家事手伝い


66:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:19:27 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑫)

書かれている話の内容と、氏名と年齢と職業がまるで噛み合っていない3通の投稿
その3通は、封筒に書かれた文字も、中身の便箋に書かれた文字も
定規をあてて書いたのが丸出しで、角々していた。 間違いなく同一人物によって書かれたものだ

3通の消印を見てみると、ちゃんと沖縄、青森、東京になっている
各地から奇妙な同一人物によって書かれた手紙が届くとは、「まるでウンモ星人みたいだ」 吉田は小さく呟いた

何より怖いのは、3通とも宛名が

東京都 新宿区 ** 雑誌「怪奇ゾーン」・読者が体験したストレンジネス係り担当 吉田悟 様
になっていることだった。 俺の本名までお見通しなのか・・・

しかも「赤い自販機」に書かれているこの歌は
俺が子供のころ、好きでよく見ていたアニメ・超音戦士ボーグマンの 『替え歌』ツ!!!

俺の過去も、趣味も、お見通し・・・

URLリンク(www.youtube.com)


67:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:24:21 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑬)
幽霊が切手を舐めて封筒に貼っているところを想像してみたが、 ちっとも笑えない
幽霊にこんな物理的なチカラがあってたまるか!
勿論、人間業でもない 、いったい俺を弄んでいる奴の正体は何だ?

それにあの長髪の幽霊男、すれ違うときに何を呟いたんだろう?「ウッ?・・」
そうだ!「ウゾダラマジガル」と言いやがった、間違いない、でも何の呪文なんだ?
吉田が頭を抱え込んでいると、本当に頭痛が襲ってきた

「無理せんでエエから」 編集長の許可がアッサリ出たので、吉田は早退することにした
自社のある雑居ビルを後にして、駅に向かった
ところが道を歩いていると、嘘のように頭痛は去ってしまった
今さら会社に戻る訳にもいかない
時計を見れば午後3時、中途半端な時間だ、飲み屋はまだ開店してない
しょうがないので繁華街の裏路地で缶コーヒーを買って一服することにした

あと2時間もすれば表通りには食欲をそそる焼き鳥の匂いが充満し、人でごった返すはずである
しかし吉田が今いる裏通りは、飲食店のゴミ置き場は静まり返って、生ゴミの匂いがするのみ
まさに陰と陽だな、吉田は自分の吐き出したタバコの煙をぼんやりと目で追いながら思った


68:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:27:18 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑭)

何気なく左側の路地を見た
そこは工事をしたらしく、アスファルトが継ぎはぎになってデコボコしてる
しかも誰が置いたのか分からないが、コブシ大の石が危険な角度で放置されていた

「キ~コキコッ・・・」、路地の奥から車輪が回転する音が聞こえてきた
吉田が注意をして見ていると、車椅子に乗った老人が現れた
車椅子のタイヤがその石に乗り上げ、あっという間に横転してしまった

「だ、大丈夫ですか」駆け寄った吉田は老人を助け起こした


「大丈夫です。なんと親切なお方じゃ、アナタもクトゥルフ様を信心されておるのでしょう?」


69:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:29:10 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑮)

「えっ!クトゥルフ?」吉田は老人をマジマジと観察した
その老人は華奢で肌が異様に白い。もしも立ち上がったとしたら身長が150センチもないチビだろうと思われた
その頭はまるで団子のようにツルリとしていて、毛根が皆無、それどころか光沢さえ反射していた
鼻筋は整っていてマネキン人形のような顔立ちをしている
そして、まるで彫刻刀で彫ったようなワザとらしい無数の皺が顔に刻まれていた

「クトゥルフ様の復活は近いですぞ、同志よ、その日まで共に信心に励みましょう
 今日のお礼はいつか必ずしますから、い・つ・か・必・ず」

老人はそう言うと、車椅子を押して去っていった
その後ろ姿をただ見送っていた吉田は、あることに気がついた
老人は両手を前方から後方へ動かしていたのだ
だとしたら車椅子は後進するはずである、だが車椅子はスイスイと前進して行く
幽霊船が風向きに逆行しながら進む話を、吉田はフト思い出した

老人を乗せた車椅子は、細い十字路にさしかかると 、ゴキブリのような素早さで右折して見えなくなった

「何だ、あの爺ィいは?」吉田は呆然とした


70:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:32:14 kDSCgSmP0



...    ( ゚д゚)  キーコキコ
   ~  (_ ゚T゚
       ゚ ゚̄



        ( ゚д゚ )
         (_ ゚T゚
          ゚ ゚̄


,


71:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:35:32 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑯)

「クトゥルフ」はアメリカの小説家ラビクラフトが作った作品
ラビクラフトの死後も、さまざまな作家によって書き継がれていて
今では壮大な神話体系と呼ばれている

吉田も高校生の時、夢中になって読んだ経験がある
「クトゥルフを呼び出す呪文で、ウゾダラマジガルなんてあったか?」いや、なかったはずだ
そもそも クトゥルフを呼び出す呪文は人間には発音できないという設定だったはずだ

午後5時前に帰宅した吉田は、部屋に入ると玄関、台所、トイレ、風呂、自室、テレビ
点けられる明かりはすべて点けた 。なぜなら怖かったから

ソファに座りマイルドセブンをユックリと吸う
「あっ精霊界・・・」ふと閃いた

吉田は霊能者スエーデンボルグのことを思い出した
この世とあの世が重なりあっている場所、それが精霊界だとスエーデンボルグは書いていた
死んだ人間はまず精霊界へ行き、生きていた時と同じ環境を自らの想念によって創り出す
やがて死を自覚した霊は天国へ昇天するが、想念で創り出したモノはそのまま残るのだという

編集部に届いた奇妙な3通の投稿 、「変な公園」「北海道のガソリンスタンド」「赤い自販機」
あの車椅子のハゲ爺ィさん、 この4つには共通点があることに吉田は気がついた


72:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:37:06 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑰)

「変な公園」は不慮の死を遂げた公園清掃員が想念で創り出した公園
生きた人間が彷徨い込んで来ないように、時空警備員が監視していたのでは?

「北海道のガソリンスタンド」は不慮の事故死を遂げた自衛隊員が 想念で創りだした店では?

「赤い自販機」は自販機のセールスマンが死後 やはり想念で創り出した機械?

死んだクトゥルフおたくが想念で作り出した擬似眷属 、それがあの団子ヘッド爺ィさん?

クトゥルフおたくが想念で創り出した擬似クトゥルフ
その本人が自分の死を自覚して天国に昇天した後も
彼が創造した擬似クトゥルフとその眷属たちは精霊界に残されたままだった
退屈を持て余した奴らは、時々、人間界にやってきては
ターゲットにした人間を弄んで悦に浸っている・・・

これで一応、すべてが説明できる

「あーよかった、本物のクトゥルフじゃなくて
 誰かが想念で創った擬似クトゥルフだからな・・

 ・・・でもどうやって退治しろと?」


73:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:42:20 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑱)

吉田が2本目のタバコに手をのばそうとした時
テーブルの向こう側、自分の正面にあの長髪の幽霊男が立っていた
その隣には全身真っ黒の影のような男も立っている

影男には薄っすらと陰影があり、立体的であることがどうにか分かった

「この影のような男、なんだか見覚えがあるぞ」
影男の輪郭が吉田を不安にさせた

長髪幽霊男と影男が顔を見合わせてボソボソと何かを話し始めた
「俺を切り刻む相談でもしてるのか・・」吉田の不安に恐怖が混入してきた
想念体とはいえ、奴らには物理的パワーがあるのだ

ジリッ・・ジリッ・・ジリ・・不快な電磁音が鳴り出した
「ポルターガイストか」吉田は天井を見た
天井灯は煌々と点いている

『でも霊って哀れだよな、自分が死んだことに気がつかないんだもん』

「なんでこんな時にこんなこと思い出すんだ?」吉田は不思議に思った


74:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:45:39 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑱)

「僕の部屋の前の天井灯はすぐ切れるから、気味悪いなと思ってたんですよ」
美術大学に通う山本が、自慢の長髪を掻きあげた

ジリッ・・バシッバシッ電磁音が大きくなった
吉田はテレビを見た、買ったばかりの液晶テレビの画面には、人気女優を起用したCMが
色鮮やかに流れている「どこの電気が切れかけてるんだ?」

『う、嘘だろマジかよ、君ィ~!この公園から出たらダメだぞ』

「あッ!」吉田は膝を叩いた
ウゾダラマジガルじゃない、この幽霊男はすれ違う時に、【嘘だろマジかよっ】て言ったんだ!」
でもどういう意味なんだ?

75:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 22:49:57 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑲)

「この間の夜、エレベーターの前で幽霊を見たんですよ  ハッキリと見ました、スーツを着た若い男でした」
その時のことを思い出したのか、山本の目に怯えが走る

バシバシッ!バシバシッ!バシバシッ!バシバシッ!電磁音が早くなった
どこだ?何の電気が切れかけてるんだ?吉田は周囲を見渡した

「で、家に帰って来ると灰皿にマイルドセブンの吸殻が1つ
 必ず入ってるんですよ、僕はマルボロしか吸わないのに」
山本が指差した灰皿には、確かにマイルドセブンの吸殻が1つ残されていた


『掛けてみるかい 今夜 首に Good choice ♪ ワイヤー入りさ 頑丈さ♪』 

まただ、なんでこんな替え歌を思い出すんだ?それにどこだ?切れかけてる電気は?
吉田は急に疲れを感じた


76:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 23:04:08 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル⑳)

灰皿の下から白いゴキブリが這い出してきた
ゴキブリが顔を上げて吉田を見て笑った
よく見ると、あの車椅子の老人だった。しかも素っ裸。

「お礼に参上ッ!」ゴボバボゥ~
老人はクチからナマコの腸のようなモノをぶちまけて、うつ伏せのまま動かなくなった

「お礼になってねぇよ!」
吉田はライターで老人を突いてみたが、完全に死んでいた



77:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 23:09:46 kDSCgSmP0
(ウソダラマジカル・21)

「正直に教えてください、僕がこの部屋に住む前に、何か事件があったんでしょう?」
バシバシッ!バシバシッ!バシバシッ!バシバシッ!電磁音がさらに加速した
問い詰められた大家の鈴木は渋々した顔で答えた
「実は以前、この部屋には編集者に勤めてたいた若い男性が住んでまして・・・」

ババババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!

「わかったぞ、俺の体の中から聞こえてくるんだ、糞ッ!もう限界だ」吉田は絶え絶えに呻いた


「ノイローゼになってこの部屋で首を吊ったんです
 ワイヤーロープで吊ったもんだから、首と胴が切断された酷い状態で発見されて
 有名な霊能力者の先生にちゃんと御払いをして貰ったんですけど」鈴木が言い終わった時

『バチンッ!』突然鳴り響いたラップ音に山本と鈴木は腰を抜かしそうなった
音のした場所を見ると、灰皿が真っ二つに割れていた
ぞの中に残されていたマイルドセブンの吸殻から、 脆く儚い煙が一筋の線となって立ち昇っていたのであった。


78:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 23:11:54 kDSCgSmP0
「ウソダラマジカル」

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79:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 23:14:37 kDSCgSmP0

(´・ω・`) 疲れた、さすがに・・・




80:貴地 涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/05/28 23:19:58 kDSCgSmP0
>>62の修正

いったいあのガソリンスタンドは何だったのでしょうか?
北海道には人間が入ってはいけない場所が存在するのでしょうか?

青森県 *市** 山田 ヨネ 8歳 小学生


81:神その1
10/05/29 23:47:31 Juakwrmz0
拝啓
前略
いきなりスレが80に増えていたので驚きました。
涯助様のレス大変興味深く拝見させていただきました。
キコのAA、とてもカワイイですね。
なんといっても>>78のレスをチラ見した時は目眩がするほどのカタルシスを覚えました。
ただ一点、
>>79の文章中ωが難しくて読めないのですがこれはいけません、異教徒の文字ですか。
なにはともあれお疲れ様でした、いつかまた弥勒の降臨する時におあいしませう。
早々。

追伸
神2と3は規制の嵐のためしばらく降臨できません、よかったですね。

それでは今宵はこの辺で。





悔い改めよ。


82:呑呑 ◆d005eGRaX2
10/05/31 02:08:37 lwgYoVk70
ついつい読んでしまいました
作中に「吉田が話を創作して穴埋め」とありますが
オレもそのような荒業に勤しんだ事があります
作品自体はオレの趣味にも主義にも合いませんが
発表する場に合わせて体裁さえ整えれば 十分に使える代物です
このまま突き進みましょう 4点



83:本当にあった怖い名無し
10/06/02 02:47:50 yva414PK0
↑紙パックがエラそーに。


84:本当にあった怖い名無し
10/06/02 03:09:45 yva414PK0
ってか一行で送っちまったじゃねーか!
せっかくオレの初恋の話をしようと思ったのに。


85:呑呑 ◆d005eGRaX2
10/06/02 17:42:40 2jy6r9+B0
お前なー
いつも紙パック紙パックって馬鹿にするけど
おれは「元・著述業」だぞ!作家として確定申告したこともあんだぞ!
前も言ったけど ホントにプロだったんだからな
もう忙しくて 講談社の仕事依頼も断った事あんだぞ!
書く仕事って一度断ると 二度と仕事来ないんだぞ!
けどエラそーだったのは詫びる アイムソーリーちゃん!

86:本当にあった怖い名無し
10/06/02 22:41:37 voOg5eHqO
お前の前世が紙パックで作った鉛筆立てだったのはわかった。
でその鉛筆立てが今こんな所で何しておる
破けたのか?

87:本当にあった怖い名無し
10/06/03 15:58:02 CeycwENgO
縦読みでレスするセンスも無いのね。
あなた、失格よ。

88:本当にあった怖い名無し
10/06/03 18:35:57 EcQitiv4O
つ、さく、オ、作、発、こ

「つさくおさくはつこ」


89:一句
10/06/07 21:00:49 Ps9vyHjmO
六畳間
天井に祖母
床下に母

90:本当にあった怖い名無し
10/06/09 08:48:03 zrmb5rAyO


91:神その3
10/06/09 09:21:36 zrmb5rAyO
稀人考 鱶編一

今日は一月ぶりの休みである。
予定では自転車を駆って近所の神社や史跡の散策でもしようかと考えていたが生憎関東は雨。
天気予報では午後から晴れるような事を言っていたが、すっかり出鼻を挫かれた俺はそのまま寝床の中でラジヲを聴いていた。
話題は天気予報から各地のニュースに移っていた。
再びまどろみかけていた俺の耳に不意に、鱶狩り、という言葉が飛び込んできた。
すでに終わりかけていたその小さなニュースは、どうやら九州は天草地方の伝統行事の事を言っているらしい。

鱶と天草という言葉に妙な引っかかりを覚えたが何をするでもなく、俺はそのまま布団の中からぼんやりと天井を見ていた。
ラジヲは既に長野の老人ホームで作っている稲の田植え作業の話題に移っている。

92:神その3
10/06/09 09:34:13 zrmb5rAyO
俺はふと思い出して寝床から這いだすと、仏壇の下の物入れから祖父の日記帳箱を取り出した。
全部で十冊ほどあるその大学ノートの何冊目だったか、確か年代順に番号をふっておいたはず。

その記述は七冊目にあった。
日々の出来事の中に「鱶と稀人の関係」と題された小論文とも言えない三ページ程の記述があった。
稀人は時に鱶の背に乗って、大きな禍と共に、いや福とともにやってくると言う書き出しで始まるその文章は、多分に抽象的であり書いてある事の半分も意味がわからなかった。
ただ一つ、おそらくそうであろう事は、この短い文章を書くために祖父は実際にその論考の元となった地、九州に行っているという事。
そしてその時の事を書いた記録はおそらく別に保管してあるということだった。

それにしても、鱶が糸を吐くとは一体どういう事なのか。

93:神その3
10/06/09 09:35:58 zrmb5rAyO
続きは週末。

追伸
句読点の打ち方がわかりません。

94:呑呑 ◆d005eGRaX2
10/06/09 17:36:35 80SHPMfI0
>句読点の打ち方がわかりません。

うぷぷ… 誰もが通る道なのだな
オレを見ろ すでにそのようなモノは不要となっている

週末と言わず 早く続きを読ませろ
このスレ自体を忘れそうだ

95:本当にあった怖い名無し
10/06/12 12:36:25 x8JLlQr+O
ツヅキマダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン


96:紙451
10/06/13 04:28:46 FT9Xl0dp0
稀人考 鱶編二
蔵の中
それから三時間ばかり後、俺は隣県にある某家の蔵の中にいた。
旧い大きな農家の六男坊だった父は東京の大学に入れてもらう事を条件に
山林や農地などその殆どの財産を放棄した。
しかし祖父が他界した後、田舎の農家にしてはけして少なくはないその蔵書と
祖父の書き残した日記のようなものをもらい受けた。
とはいえ当時東京で一介のサラリーマンだった父にその膨大な紙(屑?)
の山を収める場所など無く、その殆どは実家の蔵に預けたままになっていた。
後年、これまた偶然にも大きな農家に嫁いだ姉の婚家に蔵がいくつかあったのをこれ幸いとし
父はその蔵書の全てをその蔵の一つに持ち込んだのだった。
当時姉の婚家では嫁入り道具に紙の束を背負ってきたと、姉も随分と肩身が狭かったらしい。

それにしても祖父よ、あなたは何故にこれほどまでの書物を集めていたのか。
祖父に関しては子供の頃の記憶しかないが、無口で朴訥な人だったと言うべきか。
土を耕す事を生涯の生業と決め、酒も飲まず博打も女ともおよそ縁遠い一生だったと聞く。
その祖父が家督を長男に譲り、自分は祖母と共に山の近くの小さな家(生家だったという)に引籠もってからだと聞く。
何年かに一度、農閉期になると祖母と共にふらりと旅に出るんだと言う。
何処に行っていたと聞いても二人とも静かに笑うだけで要領を得ない。
祖母を連れているのだからどこぞに女ができた訳ではなかろう。
まあ今まで働くだけが愉しみだったような人だ、言いたくなければそれでもいい。
一つ二つの秘密はあってもかまわない。
家の者たちもそう思って放っておいた。
と同時に家に五冊、六冊と東京の書店から本が届けられるようになった、時には出版社から直接に。
山の離れは狭いので届け先はいつも母屋になっている。
本が届くと祖父は、何時の間に手を入れてあったのか、蔵の一つを自分の書斎のようにして
届いた本とにらめっこしながら何か一生懸命に書き留めていたそうだ。
祖父の学歴がいつまでだったのかは知らないが、田舎の農夫には凡そそぐわない難しそうな本ばかりだったと。
そうしてたった一代で増えていった本を父がもらい受け、それがいま俺の目の前にあり
俺は姉の家の暗い土蔵の板敷きに座っている。

97:紙451
10/06/13 04:44:15 FT9Xl0dp0
ラジオの小さなニュースのどの言葉にそれほど引き付けられたのか、思い出せそうで思い出せない。
だからそいつを確かめに此処に来た、そんな感じだった。
俺の記憶が確かならここで見たはずだった、祖父の旅行記というべきか
ふらりと旅に出たその先の話。
祖父がそのころどこで何をしていたのか、そのいくつかを記した何の変哲も無い大学ノート
その中に確か九州らしき場所の様子が書いてあったはず。

と、書物を探す手元が暗くなった、とっさに顔を上げると黒い影のようなものが目の端をよぎる。
悪い予兆、またあいつだ。
実際この蔵で探し物をしていると幾度か経験する何か。
あいつが何なのかはわからない、最初はこの蔵に棲む座敷童かとも思ったがそんな日向くさいモノじゃない。
もっとジメっとした何か、今はモノとしか言い様がない。
だが、やつが通った辺りを探すと大抵探し物は見つかった。
しかしそうして見つかったものはまた同時に大抵のっぴきならぬ何かを俺に、または周りの人間に持ち込むのだ。
俺は恐る恐るその場所に近づき辺りを見回した。
だがノートらしきものは見つからない、半ばほっとして元いた場所に引き返そうとすると足先にコツンと当たるものがある。
拾い上げてみると一冊の粗末な装丁の本だった。
自費出版でもあるのか地味な色の表紙にタイトルと著者だけが書いてある薄い本。
「隠れキリシタンと生人形」、副題として~喜三郎がその手で捏ねたもの~とある。
何だこれは、なんとも泥臭いタイトルだ。


98:紙451
10/06/13 04:44:57 FT9Xl0dp0
しかもさらに驚いたのは、作者の欄に記された名前は紛れも無い父のペンネームだった。
そう、その名は確かに、サラリーマンと在野の民俗学者を気取っていた父がよく自慢していたペンネームだった。
それにしても喜三郎とはあの幕末から明治にかけて活躍した天才人形師、松本喜三郎のことか。
ミシッ、不意に屋根裏を歩く音がして俺は天井を見上げた。
屋根裏には昔この地方で盛んだった養蚕の為の蚕棚がある、今はもう誰も使っておらず道具だけがひっそり埃を被っている。
突然今度はピシャリ、ピシャリと音がする。
まるでまな板の上に生きた魚でも置いたような濡れた何かが撥ねる音。
とたんにそれは大ききくなりビシャリ、ドシャリ暴れる音にかわった。
姉は麦茶を板敷きに置くとすぐに出て行ったはず。
俺は屋根裏に上がる階段をじっと見つめていた。

99:紙451
10/06/13 06:53:57 FT9Xl0dp0
その日は姉の家で昼飯を馳走になる。
猪肉を焼き豚の代わりに使った炒飯だった。
三、四日前に義兄が地元のハンター仲間と仕留めたものだそうだ。
この辺では猪の他に鹿も出る。
特に鹿の皮で作った財布や巾着はこの地方の観光産物の一つだ。
少しパサパサしてクセのある肉を米と一緒に噛みながら考えた。
山間の地方は海の幸に飢えているせいか海を連想させる名前の物が少なくない。
今食べている猪は山間部では山鯨とも言う。
また東京都である奥多摩では山くらげなどという山菜(きのこか)がみやげ物として売られている。
兜エビはよく田圃の澄んだ水の中に棲息している。
鱶もまた海だけのものでは無いのではないか。
俺の部屋にあった祖父の文章を読むまでもなく、鱶、とは一般に言うサメの事だ。
鮫、鱶、鰐とその大きさや地方により呼名はまちまちであるが代表的なものは先の三通りだろう。
鮫とは狭目の事で、日本近海に棲息するサメのその特徴的な目からきているとも言われる。
中国地方の日本海側では鰐と言うし、もっと大雑把に小さいものを鮫、大型のものを鱶、とする地方もある。
鱶、魚辺に養はサメが卵胎生、体内で卵を孵化させるものが多くいる事から来ているらしい。
かといってサメは決して哺乳類ではないし親子の情が厚いわけでもない、多分。
また鮫は古くから多くの民話にも登場するし、何故か海とはまったく離れた場所でその名前を聞くことがある。
沖縄奄美では森で迷ったときに鮫人という妖怪に食べ物を恵んでもらう話がある。
また四国の山の中で鱶人に喰われかける話。
さらには東北の山中では雪女ならぬ鱶女に体を温めてもらうが、その鮫肌で体が血だらけになった話しまである。
どこぞの知事が若気の至りで書いた小説に「鱶女」なんていうのがあったが退屈なだけの駄作だったな。

そしてもっとも有名な因幡の白兎は鰐に乗って神の国に渡るわけだが、兎を担いでこの国に渡ってきたサメとは何者か。
サメとは稀人、渡来人と言い換えてもいいのかも知れない、の擬人化された者だとは多くの学者が指摘するところだ。
祖父のあの短い文章はその説をさらに大胆に進めたものの草稿といったところだった。

それにしても・・・、大胆すぎる。

100:紙451
10/06/13 06:56:06 FT9Xl0dp0
なんかうまく改行されません
だから今日はここまで

101:本当にあった怖い名無し
10/06/19 20:54:04 uW4JPzmg0
日本負けろ!


102:本当にあった怖い名無し
10/06/21 17:28:32 datdgfH5O
急に何もかも鬱陶しくなったので今日電車に向かってダイブしてみた。
確かにズルズルと内臓が車輪に巻き取られ、
バキバキと骨が断ち割られる感触があったのだが、今こうしてレスしてる不思議。
だがこの世界には鏡が無い。

103:本当にあった怖い名無し
10/06/25 19:41:24 pqAXRCy7O
続きは?

104:本当にあった怖い名無し
10/06/26 22:28:19 daUnABYHO
いまなら書けると思ったら今度は規制ですよ、まったく…

105:涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/06/28 20:12:07 YKkm4orQ0
「お猿マグラ」

ワシら夫婦は貧しかった
それもこれもワシの稼ぎが少ないからだった
ワシは本当に甲斐性なしだった
一人息子をどうにか社会人として送り出すことができて良かったと
心の底から思っている

しかしこの虚しさは何だ?
お金で幸せは買えないと俗にいうが、嘘だ、絶対に
やはりお金がないと人間は幸せにはならないと強く思う

商店街の外れで占い師に声をかけられた
ワシと同い年ぐらいのババァの占い師だった

「アンタはお金が欲しいと強く望んでるね?」
「お金が欲しくない人間なんておるのかい?」

「フフフッ・・アンタにピッタリの物をあげるよ
 なに、お金はいらないさ」

ババァが木箱を台の上に乗せた
蓋を開けてみると、ミイラの手が入っていた

「3つの願いを叶えてくれる猿の手だよ
 さぁ持って行きなよ、でもね・・
 願い事はよ~く考えてから願うんだよ」


106:涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/06/28 20:14:17 YKkm4orQ0
「お猿マグラ②」

占いババァの言ったことを信じた訳ではないが 、取り合えずワシはその箱を自宅に持って帰った
ワシは箱から猿の手を取り出して願った

「1億円をくれ」と

次の瞬間、電話が鳴ったのでワシは心臓が止まりそうになった
恐る恐る受話器を耳に当てると、警察からだった

「息子さんが車に跳ねられて死亡されました」

息子の葬式が終わりしばらくすると、加害者から慰謝料として1億円がワシの口座に振り込まれたのだった

あぁ~お金じゃ幸せは買えないというのは真実だったのだ
ワシはなんて間抜け野郎なのだ

「猿の手よ!2つ目の願いを言う 息子を生き返らせてくれっ!」

同時に玄関のドアが激しく叩かれた
ドアを明けるとそこには息子が確かに立っていた、ゾンビに成り果てた息子が・・


107:涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/06/28 20:19:28 YKkm4orQ0
「お猿マグラ③」

ワシは女房にロープを持ってこさせると、2人で息子をグルグルに縛り上げ
すぐさまマスコミに電話をかけた

世間はヒッチャカメッチャカの大騒ぎとなりおった
ワシら夫婦はマスコミからの取材料で、さらに数億円の金を手にしたのだ
それだけじゃない、ある研究所が息子の細胞から 、人類の長年の夢であった癌の特効薬の開発に成功
ワシには共同開発者ということで、年間に数百億の金が転がりこむようになったのだ
やっぱ金じゃよ、金、金持ちに越したことはないわい

そして10年後、人類は人口爆発によって滅んだ
ワシは滅亡の原因を作った人間として、そして最後の地球人として
このことを日記に遺したのである・・・

宇宙人A 「地球人ってバカだね」

「そうだね」そう言うと宇宙人Bは日記を空中に放り投げた
宇宙人Bの光線銃が光った

日記は着地することなく消滅した
2人の宇宙人はUFOに乗り込むと、アッという間に地球を飛び去った


108:涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/06/28 20:21:55 YKkm4orQ0
「お猿マグラ④」

「まだ願い事が1つ残ってるよ 、それでなんとかならないの?」

おおっ!!!そうだった!

猿の手よ!3つ目の願いを言うぞッ!

「戻れ戻れ時間よ戻れッ!ワシがあの占い婆さんに出会う直前まで
 メイド イン ヘブンーーーー!!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「さぁ持って行きなよ」
「いらんッ!そんな気味の悪い物は」

ワシは足早に自宅へ急いだ。 

「こうして人類は1度滅び、ワシによって再び蘇ったのじゃ」



109:涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/06/28 20:26:35 YKkm4orQ0
「お猿マグラ⑤」

「なに言ってんだよ、まだ願い事が1つ残ってるって、僕がいま教えてあげたんだよ
 その話、いま作りなおしたんでしょ? 勝手にお父さんをゾンビにしないでくれる
 宇宙人ABってなんなのさ? そんな嘘話はいらないから、プレステ3買ってよう~」

「誰に似たのか強欲な孫めがッ!コラッ!腕を引っ張るなって」
スポンッ!という音とともにワシの左腕を掴んだまま、強欲な孫が尻餅を着いた

「う、腕が、ワシの左腕が抜けたぁああ~?」
ワシの左肘から先に黒い金属製の筒のようなモノがあらわれた

「なんじゃコリャ?」
「左腕にサイコガンを持つ男なんて、宇宙ひろしといえど、あなただけでしょ、コブラ」

「コブラって?それにどうしたんだ孫よ、その女みたいな声は?」
その途端、孫の体が粉々に砕けて、女性型ロボットが姿を現した

「あなたはドミニクを失った悲しみから、再び自らの記憶を消して
 一般人に紛れて生きることを選んだのよ
 でもそれもどうやらゲームオーバーだわ、コブラ」

おお~ドミニク・・サラマンダーによって背中の皮を剥がされ殺された哀れな女
そして俺が最後に愛した女・・・・

そうだ、俺は宇宙海賊コブラだッ!


110:涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/06/28 20:28:36 YKkm4orQ0
「お猿マグラ⑥」

「どうやら記憶を取り戻したようね、でもコブラ、ストップよッ!」

「どうしたんだいレディ?何がストップなんだい?もしや新たな敵が来たとでも?」

「違うよ、もうその嘘話は止めてって言ってるの
 このままお爺ちゃんの話を聞いてると、僕、頭がオカシクなっちゃうよ
 それより早くプレステ3を買いに行こうよ~」

「だから腕を引っ張るなって!」

ーーーーーーー【完】ーーーーーーーー

111:涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/07/02 17:44:02 jYODzgUh0
「黒い記憶①」
わたしが小学生のとき、父が人を殺しました
わたしはそれを目撃してしまったのです
父を憎み父を恐れたわたしの、汚れた独白をどうかお許しください

わたしが8才、小学3年生のときの冬の出来事です
母の学生時代の友人が亡くなり、母は葬儀に参列するため
実家である岡山へもどりました

家にはわたしと父だけが残されたのです
夕飯は父がカツ丼の出前をとってくれたので、美味しい思いをすることができました
夜の9時になると、父が「早く寝なさい」としきりに促すので
変だなと思いながらも布団に入りウトウトしていました


112:涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/07/02 17:46:15 jYODzgUh0
「黒い記憶②」
やがて尿意をおぼえたので、トイレに行こうと思い、父が眠る寝室を横切ったときのことです
寝室から父の話し声がするのです、わたしは恐る恐る障子を少しだけ開けて中を覗きました
暖炉の火が怪しく燃えており、その弱い光の中で
父の背中が見え、その斜め向かいに黒いドレスを着た女の人が座っていました

「あけみ、今夜はタップリと可愛がってやるからな」
「いやだわ、可愛がるだなんて、スケベねぇ」

わたしは驚いて自分の部屋に戻りました

「父さんは汚い、汚いよ、母さんがいないのをいいことに
 部屋に浮気相手を引き入れるなんて」

わたしは涙で枕を濡らしました
なぜ大人の男はこうもスケベなのか?やがて自分もスケベな男へと成長していくのか?
恐怖にも似た感情がわいてきました
泣き疲れたわたしは、いつの間にか眠っていたようです



113:涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/07/02 17:50:08 jYODzgUh0
「黒い記憶③」
「パンッ」という銃声のような音で目が覚めました
わたしは急いで父の寝室に行くと、恐る恐る中を覗いたのです
暖炉の炎が仁王立ちした全裸の父を照らしていました
父の足元には黒いドレスと下着が落ちていたのです
でもそれを着ていた女の人はどこにもいません
同時にもの凄い悪臭がわたしの鼻を衝いたのです
暖炉の中で何かが、ジュルジュルと音を出して燃えています
父は女の人を射殺して、暖炉で遺体を燃やしていたのです

次の日の朝、父は平気な顔でコーヒーとトーストを食べていました
人を殺しておいて平気?なんという鬼畜ッ!
わたしは内心、恐怖に慄いたのです

帰宅した母に、そのことを言うおうと何度も思いましたが
結局のところ言えませんでした
それもすべては、わたしの臆病と弱さと狡さのためだったのです
一見、普通に見える父が、内面に悪魔を飼っていようとは
人は見かけによらないとは、わたしと同じような体験をした昔の人間が
作った諺だったのでしょうか?


114:涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/07/02 17:52:46 jYODzgUh0
「黒い記憶④」
それ以来、わたしは父が怖くて怖くて仕方がなかったのです
父がいつ普通の仮面を脱ぎ捨て、母やわたしに襲い掛かるのか
そんなことばかり考えるようになってしまったのです

やがて、わたしは父から逃げるように上京し、大学に通いました
その時でも、父が母を殺すのではないかという思いに囚われて
全く楽しくない学生生活を送るハメになりました

月日は流れ、刑事でも民事でも時効が成立し、誰も父を罰することができなくなりました
その父も今は癌に倒れ、骨と皮となってベットに横たわっているのです

父は小額ながら遺産を残しています
わたしはせめてもの罪滅ぼしに、その遺産を黒いドレスの女の人の遺族に渡そうと決意しました
そのためには、父からあの女の人の素性を聞き出さなければなりません
わたしは病院の個室で、父を問い詰めることにしたのです


115:涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/07/02 17:56:18 jYODzgUh0
「黒い記憶⑤」
父さん、よく聞いてくれ、父さんは僕が小学校3年生の時に、黒いドレスを着た女の人を殺しただろ
僕はその時、障子を開けて見ていたんだ
あの女の人はいったい誰だったんだ?詳しい素性を教えてくれ

「はぁ? お前はいったい何を言っておるんじゃ? ワシが人を殺しただと?」

父さん、シラを切るのは止めてくれ
父さんはもうすぐ死ぬんだよ、その前に自分に正直になって
少しでも罪を償うんだ、あの女の人は誰だったんだ、言うんだ!

「訳の分からんことを言うな
ワシが人なんか殺すわけがなかろうがぁ!」

まだそんなことを!僕が小学3年生の時、母さんの友達が死んで
母さんは葬式に参加するために岡山に帰っただろう
その日の夜、父さんは黒いドレスの女を寝室に連れ込んでいただろ
そしてその女を銃で撃ち殺して、暖炉で死体を燃やしたじゃないか!
僕はちゃんと見てたんだ、おの女は誰なんだ!

116:涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/07/02 18:03:44 jYODzgUh0
「黒い記憶⑥」
父はしばらく宙に目を泳がせた後、「あッ」と声を漏らしました

「危ない危ない、もうちょっとで息子に殺人犯と思われたまま、昇天するところじゃったわい 。お前は勉強ができたから賢い人間だとばかり思っておったが
とんだスットコドッコイ野郎だった訳だな 我が息子ながら情けないのぅ~」

「あの夜、ワシは母さんが留守なのをこれ幸いにと 黒いドレスのダッチワイフと戯れておったのじゃ
テープレコーダー内臓の喋るダッチワイフで、当時としては最高級のやつだった
ところがワシが激しく腰を振りすぎたせいで、ダッチワイフのやつが破裂しおったのじゃ
お前が聞いた銃声とやらは、その破裂音だろう
本物の銃声ならもっとドデカクて近隣に響き渡るじゃろうが?

そんでもってじゃな、破裂したダッチワイフをゴミとして外に出して
誰かに見られでもしたら恥ずかしいだろう?
だから暖炉に放り込んで燃やしたんじゃよ
人間の死体を暖炉で焼いたりなんかしたら、生焼けになって大悪臭を放って
持ち運びが不便になるだけじゃろうがぁ!このウツケ者がぁ!」

わたしの中で、何かが音をたてて崩れました
父はその一週間後、他界したのです


117:涯太 ◆uQ6bZWv4Co
10/07/02 18:06:03 jYODzgUh0
「黒い記憶⑦」

わたしは父の遺産でダッチワイフを購入しました
勿論、最高級のやつです

毎晩、父の分まで激しく腰を振るっています
それがせめてもの親孝行かな、なんてネw

・・・・・【完】・・・・・

118:本当にあった怖い名無し
10/07/02 18:17:44 EZAmBkvIO
父がカツ丼の出前をとってくれたので、美味しい思いをすることができました

なんか文章変だよ。


119:本当にあった怖い名無し
10/07/02 18:41:03 jYODzgUh0
夕食にと、父がカツ丼の出前を頼んでくれました
こんな美味しいものが食べられるのなら、1週間ぐらい母が帰ってこなければいいのに
そんな不謹慎なことを思ってしまいました

(´・ω・`) これでイイのかな?

120:本当にあった怖い名無し
10/07/02 21:12:39 jYODzgUh0

(´・ω・`) 消える前に一曲歌います 聞いてください

自業が招く カルマを被り
過ぎてきた時が悔やまれる

無駄遣い し放題 底突く貯金
残った預金は 80円

いつか風が 揺らした死体
時がたてば 下に落ちるよ

*また黄泉に恋してる 憧れよりも強く
*生きるのが嫌になれる 心から

無知だっただけで 許されぬ罪
練炭買うにも 金足りぬ

安楽な方法に 戸惑うときも
水だけで命を つないでた

いつか雨に 打たれた頭蓋
目の穴から 花を咲かすよ

*リピート 
*リピート
 

121:本当にあった怖い名無し
10/07/09 11:56:28 yqGLkpQNO
まだだ
まだ終わらんよ~

122:本当にあった怖い名無し
10/07/17 23:48:32 304/VAkSQ

       ♪  ,,;⊂⊃;,、
     ♪    (・∀・∩)   カッパキザクラ♪
          【( ⊃ #)    カッパッパ♪
           し'し'


123:本当にあった怖い名無し
10/07/25 09:50:22 yydeYxYq0
書き込めました。


124:本当にあった怖い名無し
10/07/25 14:43:43 yydeYxYq0
外出するときは大抵メモ帳を持って出ます、所謂ネタ帳です。
中と小の二冊、小さい方には主に数字を書きます。
時刻や金額などですね。
中くらいのメモ帳はシャツのポケットに調度入る大きさの出来事や感想などを書いておきます。
何れも使い捨ての、一枚書いたら切り離すのですが切り離したソレは捨てずにメモ帳カバーのポケットなどに収めておきます。
一日が終わり旅先の旅館等で記憶違いや見間違えなどではなかったか見直してみたりします。
アパートに持ち帰り原稿やノートに写してもソレらは捨てずに煎餅の缶などに入れ放しにしておくものが殆どです。
いつも思うのですが大抵の場合、書き起こした原稿よりもメモ書きの方がはるかに面白く
興味をそそられるのはナゼ?

例えばこんな一枚が見つかりました。
(於地方のローカル線の車内)
女子高生とその母親らしき二人
シートの下に先程から裸の赤ん坊がころげまわっている

なんのこっちゃ?
字からして自分が書いたのは確かなのだが全然記憶が無いし、どこに行ったときのことやら。






125:本当にあった怖い名無し
10/08/01 03:02:31 NhUHQEIb0
自分もたまに謎のメモを見つけて困惑する。最近見つけたメモにはこうあった。

「さんおうは絶対回避する事 ◎ぜったいに!!」

筆跡は確かに自分のものだが全く記憶に無い。
丁寧な楷書で記されている。寝呆けてる時に書いたものでは無さそうだ。
さんおうって何だろう?回避しないとどうなるんだろう?色んな意味で怖い。

126:本当にあった怖い名無し
10/08/06 22:40:06 sDtQNRKDQ
お気に入り・ブックマークから書き込めない…という人へ
鯖移転でanchorage→tokiに変わってますよ~


127:本当にあった怖い名無し
10/08/14 00:15:33 e8XE1nks0
神々は消えてしまった…

128:本当にあった怖い名無し
10/08/14 04:26:56 KLOKU+4s0
神殺しというやつね。
神は一度は必ず死ぬものだ。

129:本当にあった怖い名無し
10/08/19 00:55:06 sbQNxWCUO
神待ちage

130:本当にあった怖い名無し
10/08/19 02:32:34 aNnn6l3+O
>>1落選て?
何に落選なの?頑張って!

131:本当にあった怖い名無し
10/08/19 09:02:33 XYszbpSSO
健三郎が穫ったやつだよ
筒井や村上よりは是非先に欲しいね。

このスレはそれまで残ってさえいればいいのだ。
障害児や自閉症文学の時代は終わった
これからはオカ文だよ。

132:本当にあった怖い名無し
10/08/29 07:36:04 IbmdzydwQ
じゃあ保守しとかないとダメじゃん

133:本当にあった怖い名無し
10/09/05 09:28:17 VKe7IVIeO
神も規制中?

そういえば規制方法が変わったみたい???
もしかして規制されてた人も書けるようになってるかも???


134:本当にあった怖い名無し
10/09/09 17:14:47 ZkwOKyyF0
tes

135:ごっど
10/09/12 15:59:17 QFgnVZhrO
どこぞのスレみたいに携帯小説をただダラダラ垂れ流してもつまらないと思うんですよ。
だからと言って今さら死にかけた出版社やテレビを利用するのも高が知れてるしね。
2ちゃんのゴミどもに
何かまったく新しい恐怖をお届けしたいわけです。

136:本当にあった怖い名無し
10/09/17 10:41:26 o65SXL5GO

+ + ∧_∧ +
  (0゚・∀・) ワクワクテカテカ
  (0゚∪ ∪ +
  と__)__) +


137:本当にあった怖い名無し
10/09/18 06:40:15 DM5eslEk0
今度こそ入選してくれよー頼むぞ俺の右手!

138:本当にあった怖い名無し
10/09/25 20:37:24 VPRyIwLpO
ガンガレ右手
ていうか脳もガンガレ


139:本当にあった怖い名無し
10/09/27 02:45:43 spYCnPPu0
何気に保守してくれている人がいると勝手に思い込みおk?
勝手にサンクス。

某ホラー大賞の締め切りまで間もなく二ヶ月を切ろうとしています。
まだ一文字も書けてません。
上がるまでは神返上。
名無しいっきマ~~ス!



140:本当にあった怖い名無し
10/10/03 02:58:25 itGPgvqX0
愚痴は言うまい、雑談スレ以外では。


141:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/09 02:28:48 M8K2D6rmO
ホラーって後味悪いのが多いからなあ
ハッピーエンドでおもしろいホラーって難しいのかな


142:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/09 05:51:44 NWgNR+D40
そうかな
絶望的な破壊の後に見える希望がホラーの一つのパターンでもあるし。
ホントの恐怖はどこか滑稽だし。


143:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/10 04:04:28 D5g3rz1j0
すごい雨だね。
こんな夜に腹がへったらどうするね?
車はあるけど、すでに運転できないほどベロン×2に酔っちまってる。
ってか一滴でも酒飲んだら運転したらアキマセン、これマジで。

しょうがないから歩いて行こうコンビニまで。

近くにコンビニできたって喜んでいたのが二年前。
でも車で二分は歩いて15分。

そんな村で起きた話な。



144:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/10 04:13:57 D5g3rz1j0
その村には湖があったんだ。
あった、という言い方は少し違うかな。
造った?
人造湖。

145:続きマダー?
10/10/16 21:34:05 Mbc+UxbfO

       ヽ|/
     / ̄ ̄ ̄`ヽ、
    /         ヽ
   /  \,, ,,/    |
   | (●) (●)|||  |
   |  / ̄⌒ ̄ヽ U.|   ・・・・・・・・ゴクリ。
   |  | .l~ ̄~ヽ |   |
   |U ヽ  ̄~ ̄ ノ   |
   |    ̄ ̄ ̄    |


146:|・上・|ψ
10/10/19 16:56:14 li7y3M8RO
こんな漢字

147:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/27 10:00:00 +B/Kzu1jO
締め切りまであと約1ヶ月?

148::|・上・|ψ
10/10/27 11:24:36 DiIO3OWE0
そーなのよ
短編枠狙うんだ
でもまだプロットもできてないのー



もう・・・アカン・・・。


149:安西監督
10/10/27 19:24:47 +B/Kzu1jO
>>148
あきらめたら そこで試合終了ですよ…?


150:本当にあった怖い名無し
10/10/27 21:28:46 +B/Kzu1jO
行き詰まってる時におすすめなのがウォーキング
座りっぱなしだと血行が悪くなります ウォーキングで血流を促せば
血液とともに新鮮な酸素を脳に送り込むことが出来ます
(安静時に比べて30~50%以上の酸素が脳に送られるとか)

また 一秒に二歩のペースで20~30分歩き続けると
βエンドルフィンという脳内物質が分泌されるそうです
続いてドーパミン 更に40~50分でセロトニンが分泌されます
これらの脳内物質が分泌されることによって
ハイでいながら集中力が高まるという
ある種の変性意識状態(トランス状態)が作り出されます
これは創作活動にうってつけの状態です
歩きながら考えていれば 何かアイデアが閃くかもしれませんよ?

クリエイティブな作業をしてる人が 行き詰まった時に
部屋の中をうろうろ歩きまわる よくある光景ですが
実に理に適った行動だったわけです
(ベートーベンが歩きまわりながら
 作曲の構想を練っていたというエピソードは有名ですね)
よかったら試しに歩いてみてください 上(神)さんガンガレ


151:本当にあった怖い名無し
10/10/27 21:32:07 +B/Kzu1jO
実は ある人から小説を書くことをすすめらました
というか 書くと約束してしました
その人はいわゆる文章のプロです
あまりにも恐れ多いことを約束してしまった感じなんですが
人間として アーティストとして そして異性としても大スキな人なので
いつになるかわからないけど どうしても応えたい
だから私もウォーキング中にあれこれ考えています
といっても 生きていくことに手一杯でなかなか進んでません
(しかもここ2ヶ月以上ウォーキングをサボり気味だったし…orz)


 タイトルだけはもう決めてある
 世に出してやろうなんて考えてない
 この世界でたったひとりに向けて いつか きっと



ちなみにその人もこのスレに何度か書き込んでます
まだ見てるはずだし 応援してくれてると思いますよ
自分語りの長文ごめんなさい 締め切りが間に合うよう祝っておきます


152:自治スレでローカルルール他を議論中
10/10/28 22:54:23 h6ADySO90
みんな頑張れ~


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