09/11/23 12:32:56 oRYWyrB00
その後も汽車はどんどん進んでいろいろな人と出会い、別れていきました。
汽車はやがて天上の駅に着き、学生と子ども達も降りていき、遂にはカムパネルラと
ジョバンニの2人だけになりました。
ジョバンニはカンパネルラに
「僕たちは、どこまでもどこまでも一緒に行こうね」と言うと
「ああ、きっと行くよ」とカンパネルラは答えました。
でも次の瞬間、カムパネルラは汽車から居なくなり、ジョバンニは夢から覚めました。
夢から覚めたジョバンニは急いで牛乳を受け取りに行き、その後、カンパネルラが船から落ちた
ザネリを助けた後、行方が分からなくなった事を知りました。
カムパネルラがもうひとりで銀河のはずれまで行ってしまったことを感じたジョバンニは
いろいろなことで胸がいっぱいで何も言えず、河原を駆けだしました。
その時です。
「ぷ破ぁっ!!」
ぐったりしたカムパネルラを担いだ、寺生まれのTさんが夜の水面に顔を出したのです。
Tさんはジョバンニにカムパネルラの身体を預けると、やさしい、チェロのような声で話しかけました。
「今回は運良く助かったけど、本当のお別れってのはいつか必ずやってくるんだ。
終着駅は人それぞれ違う。お前はお前の切符をしかっりと持っておくんだよ」
そう言い終わるやいなや、Tさんはジョバンニの手から牛乳を取ると一息に飲み干し、また河に帰っていきました。
帰ってきたカムパネルラと空になった牛乳瓶を見て、ジョバンニは、何とも言えず
うれしいような悲しいような気がするのでした。