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○イラン:改宗の牧師、死刑の可能性 欧米で批判高まる
イスラム教からキリスト教に改宗したイラン人牧師に対し、死刑判決が確定する
可能性が高まり、欧米の政府・人権団体から批判が高まっている。イスラム共同体の
安定を重視するイランと、個人の自由を優先させる欧米との価値観の違いが対立を
生んでいるようだ。
牧師はイラン北部ラシュトで約400人の信徒を持つ男性のユセフ・ナダルハニ
被告(32)。イラン学生通信などによると、被告は、キリスト教に改宗したとして
09年10月に、イスラム教侮辱の疑いで逮捕された。弁護士は「牧師は19歳で
キリスト教徒になった。それ以前に特定の宗教を信じているとの認識がなかった」
とし、改宗に当たらないと主張。しかし、09年11月にラシュトの地裁はナダルハニ
被告に死刑を言い渡し、10年9月に高裁もこの判決を支持した。
一方、最高裁は今年6月、高裁に審理の差し戻しを命令。高裁は9月末、イスラム
教徒に戻るよう再三求めたがナダルハニ被告が拒否した。高裁は今月9日、判決を
前に最高指導者ハメネイ師に死刑是非の判断を委ねた。
イスラム教シーア派を国教とするイランでは、キリスト教やユダヤ教の信仰を
認めている。しかし、イランに限らずイスラム社会は改宗を許しておらず、原則的に
死刑が相当と考えられている。人権問題に詳しいテヘラン在住のキーア・メマルザデ
弁護士(36)によると、これまで改宗を理由にした逮捕者は複数いるが、死刑が確定
した例はないという。
米英政府や欧州連合のほか各地の人権・キリスト教団体は、イラン政府に牧師の
釈放を要求している。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のジョー・ストーク
中東局長代理は「イランは21世紀に入っても個人に『信仰か死か』の選択を迫る
数少ない国のひとつ。死刑は論外」としている。
□ソース:毎日新聞
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