11/02/08 21:36:35
国際的な取締り
スイスに拠点を置く「国際資産回収センター ( International Centre for Asset Recovery ) 」の事務局長ダニエル・テレスクラフ氏に
よれば、デュバリエ元大統領の資産問題は新法の有効性を試す機会になると見ている。
新法はいわゆる破綻しかけている国家にのみ適用されることをテレスクラフ氏は強調する。それ以外の国々は元独裁者に対して
有罪判決を下さなければならず、社会的激変の禍中にある国にとってこれは容易なことではない。また、法律が適用される前に
資産は凍結されていなければならない。つまりこれは、独裁者がどこに資産を隠したかを当該国は承知しているということを示す。
これでは予防措置としての法律の有効性は限られるとテレスクラフ氏は指摘する。そのほかにも考えられる問題はある。
新法では疑わしい取引きの報告を義務付けているが、現在のところ報告はごく一部に限られている。
こうしたことを受け、もし独裁者の資産を阻止したいなら「国際的な連携が重要になる」というのがテレスクラフ氏の意見だ。
つまり、疑わしい国際取引に関する情報交換、独裁者が外国に預金口座を開設したり政権内に国際的な金融調査の追跡のみを
行う専門家がいる場合には早い段階で通知することなどが挙げられる。これには前述のマーク・ヴラシッチ氏も同様の見解だ。
「横領された資産の安全な避難場所はどこにもないということを明示するには、国際的な協力と的確な行動によってのみ可能だ」
スイスも支持している「世界銀行の不正資産回収イニシアチブ ( Stolen Asset Recovery Initiative ) 」によれば、
重要な国際合意や共通基準に向けた公約はこれまでに数多く交わされてきたという。
「次の課題は、こうした合意を実行に移すことだ。マネーロンダリング ( 資金洗浄 ) の阻止、調査による資産回収の進展、
成果のある訴訟手続き、不正資金を返還して当該国の発展と貧困削減に役立てることなど」という構想を世界銀行は呼びかけている。