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これが言いたい:TPPの問題は農業への打撃だけではない=色平哲郎
◇参加は医療基盤崩壊への道--佐久総合病院・地域ケア科医長、色平哲郎
国民の命を支える皆保険制度は元々、医療費膨張による財政悪化と医療への市場原理導入という
二つの危機に直面していた。
TPP参加は「最後の一撃」になりうる。米国が日本に医療市場開放を迫っているからだ。米国政府が
日本に突きつけた08年の年次改革要望書には「医療制度改革で米国業界の意見を十分に考慮せよ」
「米国製薬業界の代表を中央社会保険医療協議会(中医協)薬価専門部会の委員に選任せよ」など
露骨な要求が多く盛り込まれている。
最大の狙いは、医療側が勝手に値段をつける「自由診療」と公定価格(診療報酬)に基づく「保険診療」
を組み合わせた「混合診療」の全面解禁だろう。混合診療は日本でも一部の先進医療に限って認められ
ており、現行制度をうまく運用すれば患者の多様なニーズに対応できる。
しかし、混合診療が全面解禁されれば、効果が不確かな保険適用外の薬や治療法を多用し利幅を
広げる動機付けが医療側に生じる。裕福な患者を優遇する医療機関が現れ、製薬会社も利益拡大の
ため、あえて薬の保険収載(公的保険の対象とすること)を望まなくなる。
もうけの薄い農山村地域や救急医療などの分野では医師不足に拍車がかかり、満足に医療を受けら
れない国民が増えるだろう。所得による医療格差が大きな問題になっている米国と同じような状況に
なりかねない。
「トモダチ作戦」などで支援してくれた米国の要求は断りにくいという意見もある。しかし、支援への感謝
と国の在り方をめぐる選択は別次元だ。最近は米国や中国でも、日本と同じ国民皆保険制度を導入する
動きがある。世界最速で高齢化が進む日本こそ、50年間維持してきた同制度を守り育てるべきだ。
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