10/11/14 11:00:56 g+qe24Zj
678続き
>正倉院で調査をしてみると、奈良時代の絹の復元模造のためには、
>現在普通に生産されている絹は太すぎてしっくりしない。
>「小石丸」の糸が繊細で、奈良時代に用いられていたものに一番近いということが分かり
>ついてはご養蚕所の「小石丸」をいただけないかという申し出がありました。
>皇后さまは「小石丸」がそのような形で役立つことになるのをとても喜ばれ、
>正倉院に送るようになさいました。
>その結果、平成16年にはこの事業が無事に完了し、
>美しい光沢を帯びた絹織物を両陛下にご覧にいれた後、いくつかの博物館などで
>大勢の人たちに見てもらうことができました。
>その後、「小石丸」の糸は、宮内庁所蔵になる鎌倉時代の「春日権現験記絵」の補修に
>15年にわたって用いられることにもなりましたが、そうこうするうちに
>伊勢神宮の遷宮の準備が始まり、当時の北白川大宮司から、
>神様の近くに置かれている御神宝を遷宮に当たって新しく作り直すことになるが、
>その一部に絹織物があるので、そのためにご養蚕所の「小石丸」を頂けないものだろうか
>という申し出がありました。
>皇后さまは、神宮のお役に立つのであれば光栄なことだとおっしゃって、
>「小石丸」を伊勢神宮にお届けになる量だけ増産するよう手配なさいました。
>皇后さまは「小石丸」という種の保存を通じて、古来の伝統を大切に保とうとされたのですが、
>そのお心が正倉院の宝物の模造や伊勢神宮の御神宝という現代の貴重な工芸品を生み、
>将来に生き続けることとなったのです。