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紀子さんの嫁ぐ日が、間近にせまったある日、辰彦さんは淡々とした口調で
「紀子の部屋が、毎日少しずつ片付いていって、空間が徐々に
広がっていくことに気づいている自分がいる、というのでしょうか…」
と、語りました。この言葉のなかには ゛父親 ゛としての寂しさが
詰まっているように思えます。結婚の儀に参列した辰彦さんは、
娘の十二単を、「静かな水面に映える虹の七色にも似た一つの厳かさと、
それに重なるように、美しさに心の静かな動きと漂いを覚えるような
気がしました」と、語りました。このときの辰彦さんの優しさにあふれた目は、
この朝、娘の乗った車が見えなくなるまで送りつづけていた目と同じでした。
娘の幸福を心の底から願っている、本当に優しい父の目でした。
今年１０月下旬、紀子さまがお母さまになられるということは、
川嶋家にとっても喜びはひとしおのことと思います。
深い愛情につつまれ、家族と共に２３年間お過ごしになった
紀子さまもきっと、よりいっそう愛情あふれる家庭を、秋篠宮さまと共に
お築きになることでしょう。