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一階の両親の部屋にはまだ止まったままの彼らの腕時計が置いてある。
いや、この家にある時計は全部、動かなくなってからもう久しい。
そして俺も一度、こんな俺にも優しかった最愛の母親の後を追って、この家で死のうとした。
しかし、死に切れなかった。
母親の携帯はまだ解約すらしていない。
いつも自分の携帯と一緒に持ち歩いている。
母親の携帯には俺とのメールのやりとりや俺と交わした発着信履歴がまだ消えずに残っている。
俺はその携帯と一緒にこの家を出ることにした。
このままではいけないと都内に部屋を借り、再起をはかるつもりでいた。
結局、それも行き詰って、何もかもが手付かずで放置したままの、この静かな家に戻ってきてしまったが・・・。