【うわっ気持ち悪い】東京kitty粘着【ニート丸出し】 at LOBBY
【うわっ気持ち悪い】東京kitty粘着【ニート丸出し】 - 暇つぶし2ch150:名無しさん
11/06/17 21:00:33.37 KdzIPLoc
ツールバーにユキチカを表示してないようなもんだな

151: ◆8bVOdV11MI
11/06/21 18:34:53.73 DfJTawtI
遅くなってごめん。見てる人いないと思うけど。

「結論から先に述べますと、オガワ元少尉は三年前、当時対立していたブターンズと旧ソーカ残党との戦闘に巻き込まれて死亡しております」
真田中尉のその言葉は、私を絶望させるに十分な物であった。
ナツミ・オガワ元少尉。かつて私が少佐だったころ、一時的に戦艦『オオクボ』に乗艦していた当時12歳の少女。
旧ソーカの潜入工作員の少女張里美と金正子に学校の担任とクラスメイトを皆殺しにされ、一時的だが大量虐殺に手を染め、宇宙に上がった途端遠刕元中尉に目をつけられて性的に暴行されかかり、
挙句の果てには乗機のガンダムNEVADAが事故で破損したという理由で除隊され、艦を降ろされて以降はその行方がわからなくなっていた。
大佐になった途端に日本の仙台に配属となった私と同じように真田中尉は佐世保に配属される事となり、ならばと思いオガワ元少尉の消息を真田中尉に探らせたのだ。
だがしかし、ああ、この様な結果に終わるとは。

152:名無しさん
11/06/21 18:35:52.20 DfJTawtI
半年前、サイタマシティーに着弾したヲッスキャノンの犠牲者の中に妻と娘の名前を確認した時には流れなかった涙が、人前だと言うのにとめどなく流れ出す。
「大佐、まだ落ち込むのは早計と思われます」
「どう言うことだ?彼女が死んだのは間違いないのだろう?それとも私の心の中に生きているというような馬鹿馬鹿しい台詞を吐く訳ではなかろうな?」
「いえ、実は戦闘地帯からは彼女の遺体は発見されていないのですが、死亡証明書だけが近くの役所に出されたらしく…」
「彼女は自身の死を偽造して、何処かへ雲隠れしたと?何のために?」
「その件についてですが、実は彼女は連邦軍の情報部が七年前より極秘裏に暗殺対象としていたとの事です」
暗殺対象、だと?彼女は自分が知る限りではただの少女だったが… まさか。オオクボを降りた直後に何かがあったというのだろうか。

153:名無しさん
11/06/21 18:36:40.56 DfJTawtI
「あの時の大佐はルナツーで拘束、私はオオクボでレーダー改修に忙しんでいた故に知る余地は無かった訳ですが、オガワ元少尉の乗ったシャトルは地球へ向かう途中、ソーカの部隊による攻撃に遭い、撃墜されております」
「ば、馬鹿な!! 撃墜だと? ではそれから4年間の間は幽霊が目撃されていたとでも言うのか?」
「いえ、彼女はその後連邦の哨戒艇によって宇宙を漂っているところを発見、保護された後に無事地球に帰還したとの事ですが…」
真田中尉はそこまで行って口ごもる、何を言おうとしているのだろうか?
「中尉、一体何が…」
「オガワ元少尉は半壊したMSに乗っていたようで、これが唯一残った写真なのですが…」
その写真をみた私は驚愕した。右腕と両足がもげ、機体の色は茶色ではあったがその姿はまさしく…

「ブータ…ガンダム…だと!?」

154:名無しさん
11/06/21 21:08:00.14 8YEvbEd1
それが意外とここのスレ見てる人が多いんだよなw

155:名無しさん
11/06/29 02:57:41.60 URgLLQYP
いよいよ選挙開始だ

156:名無しさん
11/07/14 16:31:11.08 ajHDdSLU
ほむほむと思った?
残念、カワイイさやかちゃんでした

157:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/21 23:19:54.82 AbO7LE1c
新章
「機動戦士ガンダムBB(ダブルブー)~Eの血統」

イントロダクション

ネオソーカの武力蜂起はかろうじて連邦政府によって鎮圧された。
政府はその後、宇宙移民者への締め付けを強化。デモ、騒乱に対しての
一切の行動を禁止または監視し時には武力鎮圧も行った。各サイドの自治政府は
ネオソーカとの衝突で弱体化した連邦政府へ抵抗の意思を示したが次第に軍事力を
取り戻した連邦政府には逆らえない状態であった。同時に僻地の暗礁空域で海賊行為や
テロ行為を繰り返すネオソーカの残党に連邦政府は手を焼いていた。

この物語は厄介な血筋を持った15歳の一人のJK、いや少女の戦いを描く物である。

158:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/21 23:35:16.65 AbO7LE1c
「はあ~、どうしよ」

彼女は独り言をつぶやくと制服のポケットからタバコとライターを取り出し火をつけた
誰も居ない体育館裏。春の陽気とはうらはらに彼女の表情は重い。建物の向こうからは
歓声が聞こえる。彼女はタバコを吸いながら空を見上げ独り言をまたつぶやいた。

「おじさんに会わせる顔無いなあ・・・高校落ちたなんて言ったらおじさんどんな顔するかな
まさか貧乏なタイヤ屋のおじさんに私立の高校行きたいからお金出してなんて言えないし・・」

ふと体育館の隙間から合格発表を済ましてはしゃぐ親子の姿が彼女の目に入った
「両親か・・・父さんと母さんが生きてたらなあ」
彼女は青空を見上げる。タバコの煙が静かに空に流れ消えて行った。
「空は青いのに・・空・・宇宙・・このままどこかのサイドにでも行こうかな」
コンクリの基礎に寝そべる彼女は視線に気づいた

159:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/21 23:52:05.11 AbO7LE1c
「あらあら、あなたはどこの学校の生徒さん?タバコなんてダメねえ」
スーツを着た一人の女が彼女に声をかけた。
「誰?ヲマエ?(@wぷ」タバコの煙を吐き出すとぶっきらぼうに答えた。
「別に生活指導なんか怖くねえよ。あたしこの高校落ちたし別に関係ないじゃん(@wぷ」
スーツの女はニコリと笑うと彼女の手からタバコを奪い取り水溜りに投げ捨てた。
タバコはジュンと音を立てると煙を残して水溜りの中で沈黙した。女はそれを見届けると言った
「あらあら、あたしが生活指導の先生に見えるって?そんなチンケなモノじゃないわ」
彼女はその台詞を聞くと青ざめた
「ま。まさか、警察の補導の人・・・ですか・・」スーツの女は微笑みながら沈黙している
「すす。すいません、ち、違うんです。ここの学校落ちちゃったんで・・つい憂さ晴らしに」
必死に言い訳する彼女にスーツの女はIDを見せながら言った
「ふふふ。あたしはこう言う者なのよ」
「はぁ?連邦軍情報3課中佐、シマ四丈半?、ぐ、軍の人なんですか?」
「そう、あたしはシマ四丈半。チンケな軍人よ。あなたのお父さんと同じ」
その台詞を聞いた彼女は突然顔色を変えた。
「父を知っているんですか!!??」
シマはその反応に笑いを堪えながら切り替えした。
「あなた、お名前は?」一瞬、彼女はキョドりそして落ち着いて答えた
「え、えん、遠藤ヨシミ・・・です」
「いいえ、違うわ。遠刕ヨシミさん。はじめまして。あなたに話があるの」
シマはそう言うとヨシミの袖を引っ張り歩き出した

160: ◆8bVOdV11MI
11/07/22 18:28:30.35 8QQoH0ek
>>157-159
新章乙です。
先越されちゃったか…

161:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/22 23:38:01.57 +PBKrMpT
>>160
一ヶ月放置してあったんで暇になったから始めてみたw

「訳わかんない!放して!」ヨシミはシマの手を振り払った
「いきなり軍の人に、それに話があるから来てって言われたって。あたしただのJCだよ」
シマは回りをキョロキョロ見回す
「シーッ!大声出さないの。話もあるしあなたを保護しに来たのよ。ヨシミちゃん」
「はあ?保護?マジ訳わからないし!これ以上しつこくするならもっと大声だすよ!」
そんなヨシミの態度を見てシマの態度も変わった
「・・・あなた、お父さんの事。遠州芳鳴大尉の事知りたくないの?」
シマは背を向けるとゆっくり歩き出した。
「いいわ、上にはあなたを確保できなかったと伝えるだけだし。じゃあね、ヨシミちゃん」
体育館横の細い通路を歩いて去って行くシマをヨシミは急いで追った


「本当にお父さんの事・・・知ってるんですか?」
シマの運転する車の横でヨシミは疑い深く尋ねる。
「あらあら、あなたあたしを誘拐犯扱いしてたのにえらい変わりようね」
シマはハンドルを握りながらヨシミをおちょくる。

162:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/22 23:49:58.23 +PBKrMpT
ふて腐れるヨシミを尻目にシマは続けた
「遠州芳鳴連邦宇宙軍大尉、第一航空戦隊旗艦空母シナノ攻撃隊所属。あなたが
5歳の時に地球に降下してきたネオソーカの機動部隊と芦ノ湖上で邀撃任務中に戦死
兵站勤務からMS搭乗員に転科した異色の経歴の持ち主。あなた何も知らないの?」
シマの言葉に驚きを隠せないヨシミ。
「空母シナノってあの、芦ノ湖に突き刺さってる奴ですよね?小学校の時に遠足で見ました
あの船にお父さんが乗っていたなんて・・・そう言えばおじいちゃんもおじさんも軍人だった
って話は聞いた事があります・・・」ヨシミはボソっと呟いた
「おじいさん?光男少佐の事ね。そして叔父さんは・・・恒寿中尉ね・・」
「シマさん、お父さんのだけじゃなくお爺ちゃんや叔父さんも知ってるんですか?」
「知ってるわ。データ上だけだけどね。ところでヨシミ・・なんか呼び辛いわね
あなたの事、ニックネーム・・うーんそうね。よんよんって呼ばせてもらうわ」
シマの突然の申し出にヨシミは唖然とする
「何すか?その変なあだ名?訳わかんない!」
「やっと笑ってくれたわね。よんよん」
カーナビの画面をシマは指差しヨシミに見せる

163:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/23 00:03:38.72 JiJbQy5F
「富士山・・ですか?」シマの指差す画面上を見てヨシミは問いかける
「よんよん、あなた超克の碑ってご存知?」
「学校の授業で習いましたけど・・・前の戦争の記念碑って教わりましたけど」
「あなた何にも知らないのね?これじゃ高校も落ちるはずだわ。まあいいわ。」

二人を乗せた車はしばらく走ると連邦地上軍カマガヤエアベースのゲートに止まった
ライフルを担いだ若い守衛がIDの提示を求める
「身分証を。はあ、中佐殿。失礼ですが情報局がどんなご用件で?」
「あらあら。あなた何も聞いてないの?」シマが煽る
「中佐殿、ここは子連れで来る様な場所ではないのですが」
すると後ろから上官らしき守衛が駆け寄り若い守衛を手で遮った
「四丈半中佐殿!お待ちしておりました!おいゲートを開けろ!」

シマとヨシミを乗せた車はゲートを通過すると格納庫の前に止まった
「凄い・・・なんか映画みたい・・」
双発の垂直離着陸機を見て唖然とするヨシミ
「準備はできてるわね?」サングラスをした黒づくめの男達にシマは確認する
「中佐殿!いつでもOKです!」
「さ、よんよん乗って」
座席に座るとヨシミは言った。
「シマさんってホントに軍の人だったんですね。でもこれから何処へ?」
機体は滑走路に出るとすぐに離陸した。
「遠足の続きよ。あなたの為のね」
シマはそう言うとサングラスを外し窓のカーテンを閉めた

164:名無しさん
11/07/23 10:12:08.72 316gMGq9
>>161
まあ、いい事にしますわ。
先にそちらの方を進めてもらえば空白期間の話も進めやすくなりますしな。

165:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/23 22:44:08.80 JiJbQy5F
VTOL機内のキャビンは旅客機のそれよりも騒音がうるさい。だがヨシミは興奮した
「す・・凄い、なんかあたしセレブみたい!」
20分ばかり飛行しただろうか。シマはヘッドセットのマイクに話しかけた
「この辺りで降ろせるかしら?」その声にヨシミは窓のカーテンを開けてみた
「うわぁ、富士山の火口だぁぁぁ」

爆音と砂埃を立てて双発の機体は着陸した。ハッチが開くと黒いジャンパーの
左脇に片手を突っ込んだ男達が展開していく。一人が何やら合図を送った
「中佐殿、どうぞ。お気をつけて」
シマとヨシミは濃霧の中を歩き出した。
「シマさんここって富士山の頂上ですよね?」
シマは軽くうなずくと指を指した。正面に何やら巨大な石碑が見える
「これって?」
「これがさっきあたしが車の中で言った超克の碑よ、よんよん」
ヨシミはゆっくりとその石碑に歩き寄った

166:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/23 22:51:24.78 JiJbQy5F
ヨシミはしばらくその石碑をポカンと口を開けて見上げた、そして我に返る
「シマさん、これがあたしとどんな関係があるって言うの?ホント訳わかんない!」
「よんよん、あなたさっきこれが前の戦争の記念碑と言ったわね。半分当たりで半分ハズレ
あなたに関係大有りなのよね、ここは」シマは回り込みながら横の大石に腰掛けた
「だって訳わかんないし!超克の碑って掘ってあるだけじゃん。これが何なの?」
ジェットエンジン音が切れた富士山山頂にヨシミの声が響き渡った。
その様子を見ていたシマはふとヨシミから視線をずらすと静かに答えた

「ここはあなたのお父さんが戦死した場所、いえ、正確には消えた場所なのよ」
「え・・・お父さんが・・ここで・・死ん・・」

風は強くなり霧が濃くなってきたようだ。

167:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/23 23:03:18.72 JiJbQy5F
「シマさんは・・お父さんかどうやって死んだのか・・死っているんですか?」
その問いにゆっくりと立ち上がり石碑に手を当てながらシマは言った
「あなたのお父さん、遠州大尉は人類を破滅から救ったのよ。身を挺してね。最後は
敵もろともこの火口の溶岩の中に沈んで行ったの。あたしはそれをモニターで見ていた」
「な、なんで助けてくれなかったんですか!見てただけなんて!!」
「どうする事もできなかった。ネオソーカとの戦闘で連邦宇宙軍の機動部隊は全滅、シナノは
機関の故障で地球に留まったの。わずかに残された攻撃機であなたのお父さんは出撃した。その
前の核攻撃で富士山の火山活動はピークに達していた。どうする事も・・できなかったのよ」
悲痛な表情をするシマをみてヨシミは我に返った。
「お父さんは・・ネオソーカの敵を道連れに溶岩の中へ飛び込んだんですか・・?」
「あなたのお父さん、遠州大尉は被弾したMSから一度は生還した。でもあいつを止めるのが
自分の宿命だと言ってあなたのお爺様が作った兵器に乗って再出撃したの。そして」
「お爺ちゃん?え、お爺ちゃんってそんなモノ作ってたの?超克?超克・・超克?そう言えば
昔、そんな文字が掛け軸に毛筆で書いてあったような・・」
ヨシミの中で何かが繋がった

168:名無しさん
11/07/24 10:43:19.48 JWuAHuzL
新作ktkr

169:名無しさん
11/07/24 13:12:19.49 kPVW9nY7
URLリンク(chugoku.machi.to)
このスレッドを埋めてもらえないだろうか。

170:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/25 00:41:51.06 Tgk6raJ/
「あいつを止める?自分の宿命?何それ・・超克と関係あんの?」
混乱するヨシミ。
「シマさん!あいつって誰の事!!??お父さんはそいつの為に命を落としたの?誰なの!!」
「あなたの叔父さん。遠刕恒寿元連邦宇宙軍中尉よ。よんよん」

霧がうっすらと晴れてきたようだ。防寒ジャンパーを着ているとはいえ山頂は寒い
相変わらず黒づくめの男達は微動だにせず背中を向け左脇の手を突っ込んだままだ

「あなたの叔父さん、恒寿中尉はMIA つまり戦闘中に行方不明になった。無理も無いわね
ソーカの機動部隊に奇襲攻撃をされて艦隊は大打撃を受け残ったのは駆逐艦一隻のみ。そこに
あなたの叔父さんは帰って来なかった。あなたのお父さんは叔父さん、つまり自分の兄を探す
為に一大決心したのね。でも皮肉な事に恒寿中尉は生きていた。ネオソーカの士官「ブータベイダー」
としてね。お爺さんが作ったツネンゲリヲンと言う兵器でベイダーは人類を抹殺して自分の楽園を
作ろうとした。あなたのお父さんはそれを阻止した。体を張ってね。この碑はあなたのお父さんの存在した
証なの・・・」シマはヨシミの目を見てしっかりとした口調で言った

「お父さんは・・裏切った叔父さんのせいで死んだって事?あの恒寿おじさんのせいで?」

171:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/25 00:58:48.18 Tgk6raJ/
震えながらヨシミは大石に座り込んだ。
「あの・・恒寿おじさんのせいで・・嘘だ・・」
シマはヨシミの肩を抱きながら言った
「よんよん、この火口で二機のツネンゲリヲンが戦ったのよ。でもこれからあたしが
あなたに言う事はよい報せ。もしかしたらあなたのお父さんは生きてるかもしれないの」
「えっ?シマさん、ホントですか!!??」
「これを見て」
シマはバックからタブレット型の端末を出し画面をヨシミに差し出した
「これって?」
そこには焼け焦げたロケットの様なモノが写っている。中央のハッチは開いている
「今となってはこれがツネンゲリヲンのパーツの一部としか判断できないんだけどどうやら
アレの操縦席の様なものね。機体とは独立した設計になっていて緊急用の脱出ポッドみたいね
あなたの叔父さんが乗った機体はツネ零号機。お父さんが乗ったのはツネ初号機と呼ばれていた
初号機が零号機をマグマの中に連れ込んで心中した時にどちらかの機体のモノが本体から射出
されたみたいなの。ただこの脱出ポッドの外側は高温で焦げ付いていてどちらのモノかは判別がつかないのよ」
「それってじゃあ・・・お父さんかもしれないし恒寿叔父さんかもしれないって事?」
シマは指で画面をタップして新しい画像を見せた
「凄い技術よね。あのマグマの高温で外側は焼け焦げているけど溶融はしていない。ギリギリ
だったみたいだけど。カプセルの中も損傷はしていたけどね。ただあたし達3課がこのカプセル
を発見、回収したのは24時間後の事なのよ。謎の武装集団と銃撃戦の末にね・・」
「じゃあ発見した時は・・?」
「中はもぬけの殻。ただハッチが開いてった事は中に居たどちらかを誰かが連れ出したって事ね」

172:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/25 01:10:32.95 Tgk6raJ/
「お父さんが生きてる・・」ヨシミは微妙な心境になった。
「あらあら、よんよんお父さんが生きてるかもしれないのになんか顔色が浮かないわね」
「お父さんが生きてるって知ったら・・お母さんはどう思ったろう?」
「思ったろって?お母さん喜ぶじゃない」
「・・・・母は・・ネオソーカの空襲に巻き込まれて死にました・・・それであたしは
タイヤ屋の寿和叔父さんの引き取られて・・・でも高校落ちちゃったし・・どうしよシマさん」
「気にする事は無いわ。そう、あなた一人ぼっちなのね。でも今は頑張るしかないわねえ」
ヨシミは放心状態になったがまたすぐ我に返った
「シマさん!まさかそのツネンゲリヲンって光男お爺ちゃんが作ったの??」
「そのまさかよ。あなたのお爺さまは13機のツネンゲリヲンの量産に成功した。ご丁寧にブータベイダーの
地球侵攻に呼応するかのようにね。機体をコスゲビレッジの山奥に隠してたのは軍も
全く気づかなかった。でも・・・パクリって説なのよね」
「え?パクリって?」
「よんよん、あなた中学で旧人類説って習わなかった?」
「習ったけど・・・あくまでも仮説だって先生が言ってたから・・」
「じゃああたしが教えてあげる」
シマはドヤ顔になった

173:名無しさん
11/07/26 19:51:13.26 ZCOL2w1p
UC208年から10年後って事は…
史実では地球連邦崩壊の年だな

174:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/26 21:40:35.75 Wk2uGWWH
>>173
ごめん、酔っ払って書いてるからそのあたりの時系列まったく考慮してないんだわw

175:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/26 22:07:50.99 Wk2uGWWH
「あたし達の祖先、つまり人間の祖先って知ってる?」
唐突なシマの質問にヨシミは半切れ気味に答えた。
「シマさん、あたし高校落ちたからってそれ位知ってるよ。原始人でしょ」
「ブー、半分当たりで半分ハズレ。じゃあ原始人の前に地球に居た生物は?」
これまたヨシミは呆れ顔で答える
「・・・何かすげえバカにされてる気分・・・えっと、恐竜が居た」
「で、その恐竜は何故居なくなったの?」
「気候の変動で滅んだんですよね」
「じゃあここからが本題。その恐竜の代わりに高度に文明と技術を持った人類がもし
地球上に存在していたとしたら?あたし達の祖先はその生き残りって事よ。どう?」
「だって・・そんなの教科書には書いてなかったしそんな説もあるって先生言ってたけど・・」
「あなたのお父さんは戦死した。でもあなたのお父さんは生きているかもしれない。この話と同じ」
「シマさん、それってどう言う事?」
「あたし達、今の人類が誕生する前、この地球上にさっき言った通り高度な文明を持つ人類が居た
そしてその人類はある日突然姿を消した。と言うより自ら滅んだのよ・・ね」

ヨシミは全く話が理解できていないようだ

176:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/26 22:21:33.34 Wk2uGWWH
シマは腕組しながらドヤ顔で石碑の前を行ったりきたりしている。
それを困惑した表情で見つめるヨシミ

「その人類は今のあたし達と同等、もしくはそれ以上の文明、化学力を持っていた。そしてそれらは
人間のダブーとされていた神の領域に挑戦した。つまり神様を作る事。そしてなんらかの原因で滅んだの」
「じゃあ・・それがお爺ちゃんと関係があるんですか」
「あなたのお爺さま。光男少佐はこの箱根の軍射爆場でモビルスーツの開発実験をしていた。
彼は突然軍を除隊、その後、自ら超創会技術研究所なるモノを立ち上げたの。表向きはからの
兵器の実験委託。でも彼はこの射爆場地下に巨大なジオフロントと遺跡がある事を発見したのよ。だけど
その遺跡には膨大なエネルギーによる爆発跡があったわ。彼はその中で何かを見つけたらしいの」
「それって・・・」
「光男少佐は神様の設計図を手に入れたの。そして完成したのがその13体のツネンゲリヲン。あなたのお父さんが
行方不明になった時にその13体のツネンゲリヲンがここに集結。そして巨大なエネルギーを発生させたの。
それが我々人類に取ってよいモノか悪いモノかはわからないけど芳鳴大尉がそれを阻止したって事はロクでも
ないモノだったと解釈しているわ。その光源は今でも謎のままなの。ただひとつ明らかなのはあなたのお父さんか
叔父さんが生きているって事ね。この世界のどこかに・・・・」

ヨシミは頭を掻きながら
「シマさん、あたしをここへ連れて来た理由は分かったけどさっき言ってた保護するって?どう言う事?」

177:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/26 22:42:55.11 Wk2uGWWH
「大体、お爺ちゃんがそんな何万年も前の設計図なんて・・残ってる訳ないじゃないですか」
「原始的な・・石版か何かに掘ってあれば残るわ。ヒントみたいなモノでもね。光学的や半導体的な
記憶媒体は無理だとしても彼らはそれを風化させず何万、いえ何百億年も保存させる技術があったのかも」
あなたの保護わねぇ・・・」

一ヶ月前
シマ四丈半はワシントンの地球連邦政府合同庁舎内の軍参謀本部に出頭していた。
「何であたしみたいな情報部の人間がいちいち呼ばれるのよ・・」愚痴をこぼしながら
彼女は奥の庁舎を目指す。受付の守衛にパスを渡し指紋と網膜スキャニングを受ける。
同じ事を何回繰り返しただろうか。何度目だろうか。切れ気味にシマは守衛に尋ねた
「一体何回同じ事やんのぉ?あと何回やるつもり?」守衛は苦笑いしながら
「申し訳ありません中佐殿。何分規則でして。でもここが最後です。そのドアを開けたら
右の秘書官にIDをお渡しください。後は目的の場所ですよ」
ため息をつきながらドアを開ける。秘書らしき女性がIDの提示を求める。ウンザリした顔をしながら
シマは秘書に尋ねた。
「四丈半中佐。呼ばれて参りました!・・・あの、あたしで間違いないんですか?誰かと間違ってるんでは・・」
秘書はニッコリと笑いながら答える
「いいえ、中佐殿。あなたで間違いないですよ。奥で少将閣下がお待ちですよ」
ハァ、と愛想笑いをしながらシマはドアを開けた。
「待っていたよ。シマ四丈半中佐」
デスクから男が立ち上がった。ハッとするシマ
「新田・・・中佐・・いえ、新田少将閣下!!」
「ひさしぶりだね。10年ぶりかな?」

※ちなみにUC0217ですたw

178:名無しさん
11/07/26 22:43:52.81 ZCOL2w1p
おk、パラレルワールドとして考えておきますわ。
ただし、『驕れる者は久しからず』という事を覚えておくように…

179:名無しさん
11/07/26 22:46:08.24 ZCOL2w1p
あっ!?
本当だ。では地球連邦崩壊前y…
止めておこう。支障が出るな。

180:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/26 23:22:27.09 Wk2uGWWH
>>178 179
先はまだ続くけど地球連邦崩壊のケースも考慮してる。どうなるかまだ未定だけど

181:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/27 22:43:36.01 FhL3Dvut
「まあかけてくれ。」新田少将はシマに座る様にうながした。
「新田少将、まさかあたしを呼んだのはあなた・・いえ、閣下でありますか?」
「うむ。そうだ。元気そうで何よりだ。最後に会ったのはシナノの甲板上だったね」
「・・・そうですね。あの後、あたしは・・」
「知っている。君はスパイ容疑で拘束された。全くの事実無根の罪でな」
秘書がコーヒーを置いて去っていった
「閣下は今までどちらへ・・どこかのサイドへ行ってたのかしら?」
「私はあの後、仙台に転属になってな。艦隊勤務を解かれた船乗りなどただの役立たずだよ
まあ、あの一件の口封じ・・だろうな。閑職だったが突然ワシントンに呼ばれてな。こんな
不要な星の数だけ増えたわけだ。シマ君も中佐か。時の流れるのは早いな・・」

シマは一瞬窓の外に視線を移しすぐに新田に戻した
「・・閣下。昔話をする為にあたしを呼んだ訳ではないでしょう・・」
「そうだった。さすが情報局勤務は鋭いな。君に頼みがある」
「それは・・閣下の個人的なモノ・・それても正式な作戦としてですか?」
「無論、後者だ」
新田少将はファイルを引き出しから取り出した

182:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/27 23:15:22.81 FhL3Dvut
「ネオンジェネシスプロジェクト、プロジェクトツネを覚えているな」
「・・・忘れるモノですか。」シマは机の上に置いた拳に力をこめた
新田少将は同時に何枚かの写真をテーブルに広げる。
「あのツネンゲリヲンのパーツ・・脱出ポッドですよね?」
「そうだ。光男少佐の設計図ではエントリープラグと呼ばれていたらしい。あの事件の後に
火口脇に落下していたモノだ。君も知っているな。もっともこの一件で君は拘束された訳だが」
「あたし達、3課のチームは謎のパーツが落下しているのを衛星画像で確認しました。チームは本部に
出動許可を求めましたが許可が出たのは24時間後。現場に着いてプラグに向かった時に岩陰から武装集団
に襲われました。20分近く撃ち合った結果プラグの確保に成功しましたが・・・」
「後は君も知っている通りだ。プラグの中は空。そして2機あったどちらのツネンゲリヲンの物かは判別不能だ」
シマは焼け焦げたプラグの写真をジッとみつめた
「あの後、3課が回収したプラグは地上軍の特戦群に押収されあたしも拘束されました。もしかして
閣下はあの一件について何かご存知なのですか?教えてください。遠州大尉はもしかして生きているのですか?」
新田少将は立ち上がり窓の外を見つめた
「私もあの時は知らなかった。だが真実はひとつだ。単刀直入に言おう。遠州大尉、もしくはブータベイダーこと
恒寿元中尉は生きている。だがその行方は今の所不明だ。」新田少将は再びソファーに座った
「あたしに行方を捜せと・・・」
新田少将は首を横に振る。
「これを見てくれ」シマに一枚のリストが渡される
「これって・・・」
「ここ半年で遠刕と名のつく人間が殺害されている。それも片っ端からだ。タダの偶然ではない
女社長、書道家、医者etc職業性別はさまざまだが変死、原因不明の病死などで片付けられている」
「閣下、あたしは軍人であって刑事ではありません」
「遠州芳鳴大尉にひとり娘が居る」
シマの言葉を遮り新田は写真付きのファイルを取り出した。
「現時点での彼女の所在を突き止め身柄を保護してほしい。それが君の任務だ」

183:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/27 23:34:04.21 FhL3Dvut
シマは大きなため息をつくと切り出した
「閣下、あたしは連邦地上軍横須賀基地情報部第3課所属です。この任務はあたしの任務の
範疇、いえ管轄外です。それに基地司令の命令でない限りあたしは動けません。残念ですが・・」
新田少将はニヤリと笑った
「シマ中佐。君は現時刻を持って連邦統合軍中央即応集団(CRF)付情報部3課に転属を命ずる。これは命令書だ」
シマは命令書を見てギョッとする
「閣下、こ、これは・・」命令書には地球連邦オバマ大統領のサインがある
「シマ中佐。我々CRFは大統領直属の部隊だ。これはつまり大統領命令になる。わかるか?」
「わかりました閣下。質問してもよろしいですか?」
「許可する」
「遠州大尉の子供の保護とツネンゲリヲンパイロットの行方の安否にどんな関係が?」
「・・・君も知っている通り、ネオソーカの乱の後、連邦政府とコロニー連合の関係はかなり悪化している。あの
紛争の時に親連邦側に回ったサイドも今や反政府の立場を表明している。このまま行くと連邦政府と
コロニー連合の武力衝突が起きる。アースノイドが宇宙移民を必要以上に恐れたツケだな。我々はこれ以上
移民者を弾圧してはならない。オバマ大統領も関係改善に必死だが政府、軍の一部にはそれを良く思わない連中が居るのも
確かだ。だがアース、スペースノイドは共存しなければならないのだ。このままでは連邦政府そのものがかつての
ブターンズの様になってしまう・・・それは絶対に阻止せねばならない。」
新田少将はもう一冊のファイルを開いた

184:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/28 00:12:01.68 R60aYiQL
「CVN-45?新型の攻撃空母・・ですか」
「今は開発コードで呼ばれている。大きさは芦ノ湖に沈んだシナノの約半分の
大きさだか攻撃力は数十倍以上、革新的なシステムが搭載されるらしいんだが・・
儀装はほぼ完了しているが何故か進宙式の予定が立っていない。私も実物をまだ
見た事はないんだが・・」
「この空母とツネンゲリヲンに乗っていた二人がどう言った関係が?」
「空母の工期の遅れと遠刕兄弟がどうも関係あるらしいのだ・・」
新田少将はデータの入ったメディアをシマに渡した。
「二人の生死は全くの不明だ。だがツネンゲリヲンを操縦していた二人の拉致に
宇宙軍、いや政府の反コロニー連合の人間が加担しているのは間違い・・ないようだ」
「じゃあ、あの時にあたし達を襲った武装集団って・・まさか・・でも何の為に?」
「わからんな。謎はひとつずつ解いていくしかあるまい。四丈半中佐!遠州大尉のご令嬢の
確保に全力を尽くせ。日本での行動の自由の権限は私の名の下に与える。これは命令だ!
彼女を確保後、別命を待て。わたしからは以上だ。何か質問は?」
「閣下、遠州大尉のご令嬢は命を狙われていると言う事で理解してよろしいですか?」
「その通りだ」
「ご令嬢の命を守る為には友軍であろうと排除しても構わない訳ですね」
「もちろんだ。CRFのバックアップチームも同伴させる。敵はネオソーカでは無い。味方の中に
混じっている。気をつけろ。とにかく生きて彼女を保護してくれ。頼むぞ!」
シマはデータを端末に転送すると立ち上がり敬礼した
「閣下!必ずやご期待に応えてみせます!」

185:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/28 23:25:49.12 R60aYiQL
再び富士山山頂

「てことは・・お父さんが生きてるかもしれないって事とシマさんがあたしを保護するって
事は関係があるってことなんだ・・・シマさん、あたし・・誰かに殺されるの?・・」
ヨシミは不安そうな顔でシマを見上げた
「いえ、あたし達は絶対にあなたを守るわ。むしろあなたが高校落ちてくれたのがラッキー
だったわね。これなら暫くは姿を隠していても問題ないし。好都合ね」
「でも寿和叔父さんやおばさんなんて言うかな・・・」
「大丈夫、あなたの叔父さんにはあたしから上手く言っておくわ。さあそろそろ行きましょう」
シマとヨシミはVTOL機に向かって歩き出した。
超克の碑は再び霧の中に消えていった

同時刻
連邦政府防衛総省本部 一人の男が廊下を足早に歩いていく。
「失礼します」そう言いながらドアをノックする
「入れ」防衛総省の長官室のデスクに一人の男が座っていた
「中曽根長官、ご報告が、これを・・」部屋に入った男が端末のデータを渡す
「フム・・マルタイ42が6時間前から消息を絶った・・あの男の娘か?枝野補佐官!」
「そうです長官。一番肝心なマルタイが・・申し訳ありません」
「だから直接やれと言ったんだ。わざわざ遠回りしおって!」
「は、しかし42を確保するとなるとそれなりに根回しが必要でして・・」
「・・・情報局の仕業・・か?」
「そのようです。42が受験していた高校に合格発表を見に行ったのまでは確認できていますが」
「先を越されたな。42の身柄は絶対に確保しろ。情報局の人間は処分してもかまわん。いいな」
「わかりました長官。では直ちに・・」

186:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/28 23:44:00.84 R60aYiQL
「シマさん、これからどうするの?」
VTOL機は乱気流に捉えられたのか少し揺れている
「ひれから厚木ベースにおりて横須賀まで移動するわ。大丈夫、横須賀なら安全よ」

厚木に降り立ったVTOL機の真横に黒塗りのバンが横付けされた。
「要人輸送ならバックアップチーム用にあと2台位必要だけどあまり台数増やすと目立つしねえ」
シマとヨシミは真ん中の席に座る。運転席と後部座席にはジャンパーの男達が座る
「!!??シマさん、あれ本物?」
ヨシミは男達が乗り込むと同時に取り出したマシンガンを指差す。正確に言うと切り詰めたライフルの様だ
「あらあら、あの位無いとあなたを守れないでしょ?あたしも持ってるわ」
シマはそう言うとジャケット下のホルスターを見せた

バンは基地を出ると横須賀に向かった
「このまま飛行機で行けないんですか?」
「撹乱の為よ。わざわざ飛行機で乗りつけたらバレバレでしょ?」
「はあ・・」
ヨシミはスモークガラス越しから外の風景を見た。国道は少し渋滞しているようだ
「中佐殿!やはりつけられてますね」助手席のオペレーターが言った
シマはチラッと後ろを見る
「うまくまけるかしら?」
「やってみます」運転するオペレーターが言った瞬間だった

187:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/29 00:01:11.66 ZeX0LUCS
フロントガラス、いや車の窓と言う窓が白く曇る。クモの巣状にヒビが入っていく
「スピード上げて!!」言うやいなやシマはヨシミに覆いかぶさった
「大丈夫よ、防弾ガラスだから」
前を走る車を蹴散らしながらバンは猛スピードで走る。後ろから黒いSUVが追ってくる
シマはホルスターから拳銃を抜きながら回りを見回した
防弾ガラスに包まれた車体なのに弾はガラスを貫通している。助手席のオペレーターと
後ろ席のオペレーターは血を流して倒れている。運転手も左腕から出血している
「中佐!このままでは逃げ切れません。自分が囮になります!車から脱出してください!」
バンは駅前の細い路地を猛スピードで通りぬける。後ろのSUVも発砲しなが追ってくる
「こんな街中で発砲するなんて・・・どうしても消したいみたいね」
「中佐!そこの角曲がった瞬間にちょっとスピード落とします。その隙に飛び降りてください!」
後ろのSUVは通行人に躊躇したのか少しスピードが落ちているようだ
「横須賀で会いましょう!!」シマはそう言うとヨシミを抱いてスライドドアから飛び降りた
二人はゴミ捨て場に転がり落ちた。その横を猛スピードでSUVが走り去って行く
「うまく・・・行った・・かな?」
ヨシミは放心状態でシマを見つめていた
「あらあら、あなたいい度胸してるわね。あれだけのカーチェイス、そうそう体験できないわ」
シマは服の埃を落とすとヨシミの手を取った
「とりあえず・・・電車で横須賀に行くしかないわね。ここが駅前で助かったわ」

二人は横須賀までの切符を買うと構内のカフェに入った。
「とりあえず今、応援のチーム呼んだから。少しここで待機ね」
座った席は壁越しで駅のコンコースを見渡せる
「下手に歩き回ったらまた見つかるわ。ここに隠れている方が無難ね」
シマはそう言うとヨシミにコーヒーの入ったカップを押し付けた


188:名無しさん
11/07/29 17:21:20.43 eS5vOTjR
エンシュウ小説意外とベストセラーですね
油豚が書いたのは駄文だけど

189:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/30 00:15:39.13 CFSI6cyj
二人はテーブルに座った。
シマはコーヒーの入ったカップを取ると一瞬ギョっとした。
「シマさん・・血が出てるよ」
「あらあら、さっきの弾がかすったのかしら・・ちょっとトイレ行ってみてくるわね」
シマは回りを警戒しながらテーブル越しにヨシミに何かを渡す
「何かあったり気安く近づいてくる人が居たら迷わず使いなさい。弾は込めてあるから引き金引くだけ」
シマはそう言うとトイレのドアを開けて入っていった
「・・・ピストル?」
ヨシミの手には重たい拳銃が渡された。
「中学生にピストル渡すなんて何て人だろう・・・」
ふとシマが置いていったバックが開いているのが見えた。タブレット型の端末が見える
「これ・・さっき見せてくれた奴だ」ヨシミは回りをキョロキョロ見渡すとバックからそれを取った
「ツネンゲリヲン・・お爺ちゃんが作った・・写真でしか見た事のないお爺ちゃん・・ブータベイダー、写真でしか
見た事のない恒寿叔父さん・・そして・・お父さん・・超克?・・超克・・昔見た記憶が・・」
画面をタッチするとフォルダが出てきた。ロックと解除してあるようだ
「恒寿叔父さんのファイル?」
ヨシミはそれをタッチしてみる。
「こ、これって?」
そこには遠刕恒寿元中尉の写真と全てのデータが記してあった

190:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/30 00:36:07.05 CFSI6cyj
「叔父さんってお父さんに・・うーん似てるのかな?お父さんの方がカッコよかったな。
え。叔父さんって東京士官大学放校処分・・性犯罪で逮捕?学歴詐称?何コレ?経歴詐称で戦艦オオクボに
搭乗するも事故で新型モビルスーツを含む搭載機を全て破壊。艦隊勤務中に彩子上等兵及び小川ナツミ少尉に
対する性犯罪で逮捕、不起訴処分になる・・その後、爆撃作戦に参加中に編隊より無断離脱。以降MIA
7年後、ネオソーカの士官として地球侵攻作戦に参加。第三航空戦隊シナノと交戦。遠刕秀則少佐を射殺?え?秀則少佐って
写真で見た釜石の秀則叔父さん?恒寿叔父さんが殺したの?ツネンゲリヲン零号機で富士山山頂を目指す。人類超克計画なる物を
遂行中、遠州芳鳴大尉登場のツネンゲリヲン初号機に阻止され火口へ二機とも落下。うち一機のプラグを後日発見。二人の生存は不明・・
こ、これって・・恒寿叔父さんが全部いけないんじゃん・・これってこれって・・」
ヨシミは携帯電話を取り出した
「そうだ、寿和叔父さんにこの事教えなきゃ。それにあたしの事心配してるかも」
「おかけになった番号は電波の届かない所にあるか電源が入って」
「あれ?なんで出ないの?、叔父さんこの時間は絶対に工場に居るのに」
ヨシミは電話を切った。ふと人の気配に気づく
「見ちゃったのね、よんよん」
トイレから帰ってきたシマはヨシミから端末と拳銃を取り上げた
「ごめんなさいシマさん・・でも恒寿叔父さんって・・」
「仕方ないわ。あなたの叔父さん、恒寿中尉は・・とんでもない事をしてくれたのよ」
ふと店内のTVが騒がしくなった
「今日、午後2時頃、四街道シティーのタイヤ店兼住宅が爆発しこの家に住む夫婦二人が死亡しました。
死亡が確認されたのは・・」ヨシミはそれを見て顔面蒼白になった
「お、おじさん、あたしの家がぁ・・燃えてる」

191:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/07/30 00:47:30.13 CFSI6cyj
シマもハッとするが何かを思い出しヨシミに問い詰める
「よんよん、あなたさっき携帯持ってたわね?どこか電話した?」
ニュースを見てへたりこんだヨシミにシマは怒鳴った。回りの客が驚く
「電話した?どうなの?」
「・・・あたしの家、寿和叔父さんの所に電話・・した・・」半ベソかくヨシミ
「まずいわね・・チームが来るのが先か・・それとも敵が先か・・」
シマは拳銃の15連マガジンを抜くとバックの中の50連マガジンに差し替えた。
それをテーブルの下で握るとおおきな溜息をついた。
「よんよん、いいわね?あなたそこの観葉植物の陰に隠れてて。動かないで」
シマはガラス窓の向こうを見つめた。コンコースには人が行き交っている
「まさか・・これだけの人ゴミの中で仕掛けてくるかしら・・」雑等の中を掃除用のカートを
押している作業員が目についた。床にポリッシャーをかけている。
「ねえ、よんよん。あなたの叔父さん、恒寿中尉の話なんだけどねえ」
ヨシミに話しかけながらヨシミを見た。すぐにコンコースに視線を戻しながら話を続けようとした
掃除の作業員がポリッシャーをカートに突っ込んだのが見えた。その代わりに何やら棒状のモノをカートから
取り出し肩に担いでこちらに向けている。回りの人達が悲鳴を上げて逃げ出している。
距離にして100いや、150Mか?
「伏せてよんよん!ロケット弾よ!!」

192:名無しさん
11/08/01 12:23:07.41 Fpt62GDk
Wktk

193:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/02 23:24:47.50 OWbVWlV6
店内のガラスや壁が爆風で吹っ飛ぶ
幸いにも作業員らしき男が放ったロケット弾は狙いを微妙に外して着弾したようだ
だが店内にはテーフルやガレキが散乱して負傷して蠢く者や微動だにしない者も居た
ヨシミは観葉植物の鉢を手でどけて呆然とした。
「な、何なのこれって・・・」
一緒に伏せていたシマはヨシミの腕を掴んで立ち上がった
「逃げるのよ!よんよん!」
埃まみれの二人はガレキや死体を飛び越しながら走った。
「表は丸見えね!」
シマは店舗の厨房を抜けると通用口の扉を開けた。そこはコンコースに繋がる
通路だったが人々が逃げまとっていた。シマは直感でホームへの階段へ走った
「爆弾テロか!?」「怪我人が居るぞ!」
いたる所で怒号と悲鳴が駅構内で響いていた。
「とりあえず・・横須賀方面、いえ、逆か」
シマとヨシミが階段を降りきる直後、横の壁が激しく弾けた
「バチバチバチッ!」そんな音を立てながら貼ってあったポスターがちぎれ飛んでいく
ヨシミはそんなモノを見ている余裕すらなかった。二人は階段の後ろの小さなスペースに身を隠した
「シ、シマさん、もうあたし訳わかんないよ!家に帰りたい!」
「あんたさっきテレビ見たでしょ?あんたの家は爆破されておじさんとおばさんは消されたのよ」
叫ぶヨシミをなだめながらシマを回りを警戒した。隣のホームの階段からサイレンサー付きのマシンガンを
持った男が降りてきたのが見えた。シマはヨシミの頭越しに狙いを付けつぶやいた
「挟み撃ちにする気?でも迂闊だったわね」

194:名無しさん
11/08/02 23:29:53.41 +jyegQWW
ガンダムと銘打っているのにMSが影も形も出てこない件

195:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/02 23:52:58.81 OWbVWlV6
>>194
今地上編だからもう少し待って

196:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/02 23:54:57.92 OWbVWlV6
バリバリッと音を立ててシマの拳銃が火を吹いた。セミ、フルオートが選択できるマシンピストルは
女諜報員には最適な武器であろう。ヨシミは悲鳴を上げて地面に伏せた。シマの放った弾丸は作業員の
体を上から下へ舐めるように着弾していった。同時に男は血を流してホームに倒れる
空薬莢の飛び散る音が止んだ
「ひとりじゃないわ!仲間が居るはず、走るわよ!」
シマは再びヨシミの腕を掴みホームを走り出した。片方のホームには貨物列車が停車している
前の階段から再びマシンガンを持った男が降りてくるのが見えた。距離にして30M、いやもっとか?
咄嗟にシマはその男に発砲した。すぐに横の自販機の陰に隠れた
「当たって・・ないわよね」
シマはそう言いながら空になった50連マガジンを抜くと再びバックから同じマガジンを出した
「シマさん、やだよ。もう家に帰りたい!」再び叫ぶヨシミ
「死にたくなかったら黙ってなさい!」
ふと、後ろの電光掲示板が見えた。横浜方面の列車の発車時刻は20分後だ。だがこの騒ぎで列車は来ないかもしれない
横須賀方面の時刻は記されていない。代わりに貨物列車が止まっている。
「こっちよ、よんよん!」
シマはヨシミと貨物列車のタンク車のデッキ部分に乗り込みヨシミをタンクの下に押し込んだ
「絶対に出たらダメよ」
30Mほど先だろうか?階段の影でボソボソ話声が聞こえる。すぐに大きな声に代わった
「おい、女!その子供をこっちによこせ!命だけは助けてやる!」
その声と同時に連絡通路上で銃声とまた爆発音がした。
「救援チームも殺られた・・か」シマは肩を落とした





197:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/03 00:01:30.03 PwSPRn9s
その時、汽笛と同時に貨物列車が動きだした。ゆっくりと走り出す列車からシマは辺りを見回す
「女が居たぞ!」
反対のホームから丸見えの二人はマシンガンを持った男に狙いを付けられた
「終わった・・・」シマは直感した。だが発砲音は聞こえない
「バカ!よせ!撃つな!弾がタンクに当たったらどうするんだ!」
グリーンのエイムレーザーが二人を照らすも弾は飛んでこない。
シマは反対側のホームの男を瞬殺で倒すと階段の向こうにも威嚇で発砲した。敵は撃ち返してこない
ホームはどんどん離れていった

大船ステーションを出た貨物列車は次第にスピードを上げていく
「シマさん、怖かった!」ヨシミはシマに抱きついた。
「あらあらさっきは怒鳴ってごめんなさい。だもあたし達運がよかったわぁ。まさか隣に横須賀基地行きの軍需
貨物列車が止まっていたとわね。積荷が燃料だったから相手も撃てなかったみたいだしねえ」
空のマガジンを取り替えるシマにヨシミは尋ねた。
「もし撃たれてたらどうなったの?」
「この列車ごと駅でドッカーンよね」





198:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/03 00:13:18.73 PwSPRn9s
貨物列車は基地の敷地内に入線したようだ。ガクンとブレーキがかかり停車した。
「さあ、行きましょうか」二人は線路のバラストの上に降り立った。すぐに衛兵がライフルを構えてやってきた
「止まれ!その場で両手を頭の上に乗せて膝まづけ!」シマは銃を横に投げ捨てるとわざとらしくIDを頭上に掲げた
「貴様何者・・・ん?なんだこれは?」衛兵はIDを見ると後ろを向き無線で何か話し出した。
「中佐殿、大変失礼しました・お怪我はありませんか?」
「大丈夫よ、こんなの慣れっこ」シマはそう言いながら埃をはたいた。
「よんよん、あたしの仕事場にようこそ」

オフィスに入ったシマに部下らしき男がまとわりつく
「中佐殿、指揮官のあなた自らこんな危険な目にあって、万が一があったらどうされるんですか?次回は我々が行きます!」
「あらあら中尉?あなたがこの子を迎えに行ったらあなた通報されるわよ」
中尉と言われた男はウッとたじろいだ。シマは端末を見ながら顔が歪む
「送迎の車は基地に帰投していないのね?」「残念ながら現時点では・・」
「この中も安全なのは数時間・・時間の問題ね。ワシントンの新田少将に連絡。秘匿回線で!」

199:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/03 23:07:21.94 PwSPRn9s
防衛総小省長官室では枝野補佐官が容赦の無い叱責を受けていた

「君はテロリストかね?補佐官。大船ステーションでの一件。どう言うつもりだ?」
「はっ、長官。少々現場と連絡が取れてい・・」
「現場だと?私は42を殺してよいなどと言ってないぞ。生かして連れて来いと言ったのだ」
枝野補佐官を怒鳴りつける中曽根長官の横で軍服の男がそれを黙って見つめる
「やはりこいつか?シマ・四丈半。この女が動くとロクな事が無い。挙句横須賀基地にまんまと逃げ込まれるとはな」
長官はデスクの上にあった書類を叩きつけた。
「で?安部中将。やはり新田だと思うか?」軍服の男はうなずく
「ほぼ間違いないと思いますが彼の後ろには大統領率いる和平派が付いているようです」
「まあいい。「予備のパーツ」は後回しでかまわん。で、新型CVNの件は?」
「儀装はほぼ終了しています。あとはラボからの完成報告待ちであります」
長官はチェアに腰掛けると人差し指を立てた
「それともうひとつ。次期主力MSの件はどうかね?」
「現状でガンダムライトニングでほぼ間違いないですが調達が遅れています。ガンダムファントムも
かなり老朽化していますし時間の猶予は無いかと・・」

200:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/03 23:23:57.44 PwSPRn9s
安部中将の報告を聞いて中曽根長官は小さく頷いた
「ガンダムラプターは絶対にコロニー連合には輸出するな。我々も調達価格の高騰で
アレの断続調達には断念したがな。奴らにラプターを超えるステルス性能を備えたMSは開発できまい」
「長官。恐らくガンダムライトニングが最後の有人機になるでしょう。」
安部中将が端末の画像を長官に見せる。
「表向きはな。そちらは中将、君に任せる。枝野!ヲマエはラボに連絡を取れ。急がせるのだ!」
「はっ、長官!仰せのままに」
「新型CVNに搭載されるMSはコロニー連合どもの機体を凌駕するモノでなくてはいかんのだ。ライトニングよりも
ラプターよりも最強な機体だ。表向きのFXMS計画など奴らに好きなだけ見せてやれ。本番はこちらだ!」

市川シティー式場ラボ
連邦軍の地上軍病院として存在しているが脳波兵器の研究機関でもあるラボだ
そこに一人の男がタクシーから降り立った。彼は薔薇の花が咲く中庭を抜けると
ラボの玄関に入った。外来の受付時間外のようでロビーは静まり帰っていた。
その廊下を早足で歩く男に声をかけた
「博士!式場博士!!」その声に呼び止められた男は振り返る
「おお、真田君じゃないか?久しぶりだな」

201:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/03 23:39:40.14 PwSPRn9s
「ほほう、何年ぶりかね?星の数も増えたようだな」式場博士は真田の肩を叩いた
「10年ぶりですかね?大尉になりましたが今だにペーペーですよ。佐世保勤務からやっと
こちらに戻ってこれました。博士もお元気そうで」真田大尉は式場博士と握手した。
「そうか、それで今日はどうしたのかね?まさか風邪でもひいた訳ではあるまい」
「いや、そのまさかで昨日から風邪気味でこちらの外来に立ち寄らせてもらったのですが生憎時間外のようで」
式場博士は受付をチラ見すると小声で真田に言った
「午後の外来、一番で見て貰うよう私から話ておこう。しかし久しぶりだな」
「そうですね。博士。ツネンゲリヲンの件でご相談して以来ですから・・」
その時、式場博士の顔が一瞬凍りついた。だが平静を装う
「そそ、そうだったな。しかし光男もとんでもないモノを作りおる。まさかあんなモノをな」
「博士と遠刕光男少佐は兵学校時代、同期だったんでしたっけ?」
真田の質問に式場博士は歯切れが悪い。その時だった。館内アナウンスが鳴った
「ドクター式場。コード11!!」
「おお、真田君。急な呼び出しの様だ。今日は嬉しかったよ」
「ええ、博士。また今度ゆっくりと」式場博士は早足で廊下を奥の部屋に携帯を出しながら向かった。見送る真田
「わたしだ。何があった?何?10381-4543が覚醒しただと!わかった。すぐに行く!」



202:みぉ ◆SD9vBRvkBM
11/08/04 01:39:40.06 DnCgJbF3
東京さんとエッチしたいな。

203:名無しさん
11/08/04 12:00:44.44 UrJLxkCL
>>202
東京さんはインポでホモだからエッチできないよ
今は石川典行にぞっこんみたいだから。残念だったなw

204:名無しさん
11/08/06 21:26:01.53 2Hczyg0W
先が非常に気になる
あとナツミがどうなったのかもちょっとだけ

205:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/07 23:08:13.02 xx4hMLea
一夜明けた横須賀基地。シマ四丈半のオフィスに一人の将校が訪れた
「閣下!何故ここに?概要は昨日の暗号通信でお伝えしたはずです。オオヨドがベイに寄航したと
聞いていましたがまさか閣下が乗っていらっしゃったとは・・まさか・・」
新田少将は帽子を取りながらソファーに腰掛けた
「そのまさかだ四丈半中佐。これから君は遠州ヨシミと共にオオヨドに移乗後宇宙へ出てもらう」
「そ、そんな。まさかあたし達の為に巡洋艦までお使いになるなんて、大袈裟すぎではありませんか?」
「君はともかく遠州ヨシミを守る為には手段は選ばない。言ったはずだぞ」
「閣下、何故ですか?彼女は一体何なのですか?」
「中佐、話しているのは私だ。」二人の話を遮るかの様に随伴の将校が新田に耳打ちした
「・・・わかった。すぐ行く。中佐。私はすぐ戻る。二人でオオヨドに先に行っててくれ。話は後だ」

横須賀基地通信室。新田少将は溜息を付くと通信席に座った
画面に映ったのは防衛総省長官、中曽根であった
「少将、議会で武力鎮圧の議決が採決された。至急、艦隊を率いてサイド「ラサ」へ向かってほしい
君が艦隊の慣熟訓練で横須賀に居てくれてよかった。すぐ向かえるのは君の艦隊だけなのだ」
「長官、ラサで暴動でもあったのですか?この件は大統領も・・」
「無論だ。君にはただちに現場に向かってもらう。コロニーを包囲後指示を待て」
「・・・わかりました」

206:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/07 23:33:25.42 xx4hMLea
連邦統合軍第一艦隊第一戦隊旗艦「オオヨド」は宇宙に向け出航した
随伴艦艇は軽巡「イスズ」駆逐艦「ワカツキ」「ハツヅキ」の四隻のみである

オオヨドの居住区の一画にシマとヨシミの姿があった。通路のいたる場所にライフルをもった
屈強な男達が二人を誰にも寄せ付けないように防御を固めていた。
「よんよん、あなた宇宙酔いはしない?」
「シマさん、あたし宇宙は始めてなんだけど平気みたい」
シマはヨシミと話ながら感じていた。「私も大きな・・これまでに無い陰謀に巻き込まれている。この子のおかげで」
その時、部屋に新田少将が現れた。
「君が遠州大尉の娘さんか。私は新田、君のお父さんの事はよく知っているよ」
「お父さんを・・あの新田さん、いえ少将閣下。あたしはこれからどうなるんですか?軍にどこかに連れて行かれるの何故?」
その光景をシマは固唾を呑んで見守った。シマすら何故ヨシミ一人を守る為にこれだけの戦力が動員されるか知らないからだ
「この艦内なら安全だ。そろそろ真実を話さなければならぬ時が来たようだな。ヨシミ君。君の父上、芳鳴大尉が生存している
かもしれないと言う情報はこの四丈半中佐から聞いているな?だがもし、生きていたのが君の父上を殺そうとした恒寿元中尉だったらどうする?」
「どうするって・・・あたしはおじさんを・・恒寿おじさんを・・お父さんの仇を・・」
震える声で答えるヨシミ。新田は続けた
「君のお父さん、もしくはおじさんが今、宇宙軍で建造されている新型空母に「利用」されようとしている。
だが「何に利用されるのか?」我々も調査中だ。君らを迎えにきたのだがそれが裏目に出てしまった。司令部から暴動鎮圧の命令を受けた。
統合軍は地球上、宇宙空間、コロニー内と地上軍と宇宙軍の垣根を越えた作戦の展開を命じられる。いわば宇宙の海兵隊だ。途中、ルナツーからの
艦隊と合流する。その時に補給艦に移乗してもらい軍の施設に匿ってもらおう。」

207:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/07 23:54:29.54 xx4hMLea
「あの、閣下!」シマが声を荒げた
「質問は許可していない。中佐」
「まだ、何か隠していませんか?あたしも任務の目的がはっきりしないままなら遂行できません。
地上で部下を4人殺されあたしも命を狙われました、今、あたし達がどこかの施設に行っても結局
同じじゃないんですか?一体、このよんよん、いえ芳鳴大尉のご令嬢に何の秘密が・・」
珍しく激高するシマ。
「ヨシミ君、君はお父さんの為に死ねるか?」だまってうなずくヨシミ
「そうか、ならおじである恒寿中尉の為には死ねるか?」
父を殺したブータベイダーであった裏切り者の叔父。そんな叔父の為に死ねるか
「嫌です!」
防衛総省 枝野補佐官が電話で話をしていた。
「そうか10381-4543は使えるのだな。搭載も問題ないのか?よし急がせろ。積み込み搬出は今日中に終わらせ
明日、格納容器を工廠へ搬入、本体へ搭載する。いいな?急がせろ!」枝野はそう言うと電話を切った
「中曽根長官。「アレ」を明日工廠へ搬入、搭載します。配線接続終了後進宙できると博士から報告が」
「そうか!でかした。暗号で打電しろ。」横に居た安部中将がうなづく
「公試はいかがなさいますか?技術部にはなんと?」
「格好のターゲットがあるだろう。ラサだ。もってこいじゃないか」
中曽根長官はそう言うとデスクの上のコーヒーを一気に飲み干した


208:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/08 00:24:34.73 KGkHRCwj
重力を振り切った第一艦隊の各艦艇はブースターを切り離した。
「進路0-6-0、異常無し。」
新田少将はブリッジに立った。艦長の田口大佐が話しかける
「これが第一艦隊第一戦隊ですか・・名前だけは勇猛ですが中身はどうも・・」
10年前のネオソーカとの海戦で全保有艦艇の90%を喪失した連邦宇宙軍。このオオヨドも
その生き残りであり空間偵察機の母艦であったが格納庫を改造され司令部施設を与えられ
旗艦となっていた。今の連邦軍には旗艦を勤められる大型艦艇は皆無であった。
「司令!コロニー「インドストリアルミツビシ」の軍工廠で建造中の新型空母が進宙したら
オオヨドも旗艦任務からお役ご免ですかねえ?」田口大佐が笑いながら話しかける
「しかしいつになったら完成するんですかね?先日ミツビシに出張で行ったんですがほとんど完成してましたよ
何か不具合でもあるんですかね?搭載機はガンダムライトニングですかねえ?」田口大佐は饒舌であった
「その空母の矛先がどこへ向けられるのか?何の為の武力なのか?スペースノイドからアースノイドを守る為の空母なら不要だと思わんか?」
「しかし司令、まさか我々が異星人と戦うわけでもあれませんし・・コロニー連合との関係がこれ以上悪化するのはどうも」
新田少将はニヤリと笑いながら田口大佐に言った
「いい判断だ。君はよい軍人だな」その時通信兵が二人の下へ駆け寄る
「統合軍司令部より入電!艦隊はインドストリアルミツビシ泊地へ進路変更されたし。泊地にて停泊後別名あるまで待機、以上です!」
「何だと!!??」ラサへの急行を下命されていた二人は驚いた。
鎮圧作戦をあれだけせかしていたのに・・何か裏があるな・・まさか・・」
新田少将は動揺していた

209:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/09 00:02:54.24 p0tQSVTG
泊地の空域で停泊する第一戦隊の四隻の艦艇。すでに24時間が経過したが
司令部からは何も連絡が来ない。オオヨド艦長田口大佐はイラつき始めていた
「通信兵!司令部からの入電は?」
「はっ、いまだありません!」
「艦長!落ち着け。待つしかないだろう」そんな艦長田口を新田はなだめた

オオヨド居住区。窓からコロニー「インドストリアルミツビシ」をヨシミは眺めていた
「あの中にお父さんが居るの?・・」ドッキングベイの警告灯が点滅しているのが見える

オオヨド艦橋「その後動きはないか?」副長が観測員に尋ねる
「15分程前に輸送船が工廠のベイから出航したのを確認しました」
「輸送船だと?どこから来た」
「我々が停泊してから2時間後に地球から上がってきた船みたいです。反対側のドッキングベイに
入港していた模様です。積荷を降ろして戻るみたいですね。」観測員はデータを照合している
「新型空母用の物資輸送か・・呑気なモノだな」

同時刻 インドストリアルミツビシ工廠内
白衣を着た一人の男がゲートを通過していた

210:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/09 00:17:01.06 p0tQSVTG
「式場博士!空技廠技術部セクション1石川少尉であります!」
「おなじくセクション1横山少尉であります!」
二人の将校は式場博士に敬礼する。
「うむ、ご苦労。進捗具合はどうか?」
「格納容器の搬入、及びブレインユニットの設置は終了しています。配線接続作業も
間もなく終了します。ラボでのシミュレーター通りのスペックは問題無く出そうであります!」
先に報告した石川少尉に続き横山少尉が報告する。
「主電源も問題無く作動。予備、非常電源の確認作業及び冷却系統も全て完了しております」
式場博士の後ろから一人の将校が現れた
「博士。全ては予定通り。ブレインユニットを搭載した本艦は予定通り3時間後に出航しますが」
「そうだな。小泉大佐。全ては予定通り。長官にだいぶせかされたがそれも想定の範囲内だ。艦載のMS
の手配の方はどうかね?試作機でのシンクロ実験は成功しているが量産機はどうかな?」
その言葉に横山少尉が答える。
「99.9%の確立でシンクロは成功します。試作機との誤差は殆どありません。問題無しです」
「そうか、それを聞いて安心した。」式場博士はドックからその艦を見上げた
「光翁よ。私はヲマエを超えた!私の「ノアの箱舟」しかと見届けるがよい」
高笑いする式場博士に小泉大佐が声をかけた
「博士。そろそろ時間です。あとの指揮は先発の「オオヨド」から行いますので。移乗しましょう」
「うむ、そうだな。小泉大佐」
二人はドックを後にした

211:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/09 00:36:02.31 p0tQSVTG
オオヨド艦橋
「艦長!司令部より入電!0915、現泊地を出港。ミツビシよりの人員を収容後ラサへ向かわれたし
戦隊は空母「タイタニック」を護衛、作戦空域に向かわれたし。以上です!」
通信兵の報告を受けて田口大佐は驚く
「空母タイタニックだと?まさかミツビシで建造していた新型空母が進宙すると言うのか?
ルナツー沖で合流予定の「チヨダ」の間違いじゃないのか?」
やはり「アレ」が出てくるのか・・・中曽根長官め。時計の針を早めたな。新田少将は焦りを隠せなかった
新型空母の名は・・タイタニックと言うのか。かつて旧世紀に処女航海で氷山に衝突して沈んだあの船か。
窓を見つめる新田少将に伝令兵が駆け寄る
「閣下!ミツビシよりランチが接弦しました。指揮所へ参りましょう」

「式場博士、はじめまして。第一艦隊司令、新田です」
「閣下、間もなくタイタニックが進宙します。この瞬間に立ち会える我々は幸せですよ」
新田は式場博士の後ろに立つ長身の男に気づいた。
この男・・・どこかで会った事がある。
「閣下!この度、新鋭攻撃空母「タイタニック」艦長を任命されました、小泉大佐であります!」
小泉?小泉だと?まさか、新田は敬礼するその男を見つめた
「君はあの「オオクボ」元艦長の小泉艦長のご子息かね?」
「はっ、閣下!よくご存知で」
その時、観測員が叫ぶ。
「コロニーベイより艦影確認!タイタニックです!」
その艦影を見てオオヨドの乗組員は愕然とした
「何だ!あの艦影は!!」

212:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/09 22:46:44.35 p0tQSVTG
工廠のベイからレーザーラインに乗ってその艦は姿を現した
「オオヨド」のクルー達もその姿に固唾を飲んでいた。
「あれが空母?補給艦の間違いじゃないのか?観測員!他に艦艇は?」
田口大佐の呼びかけに観測員は振り返りながら答える
「艦長、他に艦影無し。一隻のみです。出港補助のタグボート以外はあの艦一隻のみです!」
その受け答えに小泉大佐がフフンと笑いながら割り込む
「田口艦長。あれがCVN-45「タイタニック」ですよ。間違いありません。私の艦ですから」
「しかし、空母と言うよりタンカーじゃないか?飛行甲板も無いし。あれでMSが運用できるのか?」
田口と小泉の会話にそらに式場博士が割り込む
「田口大佐。「タイタニック」は連邦軍が開発した今までにないコンセプトの艦です。あの艦は
補給艦でもタンカーでもありません。闘う姿を追求した真の戦闘艦なのですよ」
新田少将はその空母の姿を黙って見つめた
「あの中に・・遠州大尉が居るのか?それとも、恒寿中尉か?」

「あらあら、よんよん凄いわあの艦。連邦軍の新型空母ってこれの事なの。あら、どうしたの?」
窓からタイタニックを見たシマは任務を忘れてただ驚く。だがヨシミの様子がおかしい
「シマさん・・なんか・あの艦から嫌な感じがする。何?この感覚?」
「あらあら、大丈夫?でもあの空母にあなたのお父さんがクルーとして乗っているのかしら?それとも・・」
艦隊はタイタニックを囲む輪形陣を組みルナツー沖に向かった

213:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/09 23:07:27.52 p0tQSVTG
「小泉大佐。あの艦が我が軍の新型空母だと言う事は理解した。詳しく説明してもらおう」
新田少将の問いに小泉は答える。
「閣下、では分かりやすく説明させて頂きます。何故飛行甲板がないのか?今までの空母に
搭載されていたMS発艦用の圧縮空気カタパルト。高速で射出された機体は自機の推進装置と慣性の法則
によって加速し敵艦または敵機と接敵します。ですがなんらかの理由、つまり敵の攻撃やデブリの衝突で
甲板が使用不能に陥った場合、高速での発艦が不能になります。また加速用の飛行甲板がある為に今までの
空母は巨艦になっていました。タイタニックはVLS方式のリニアカタパルトでMSを射出します。また飛行甲板が
無い分、搭載機数が格段に増えています。前後片側に24機で上面だけで48機、上下で合計96機のMSを搭載できるのです」
それを聞いた田口大佐は驚く。
「96機だと?シナノでさえあれだけの巨体で搭載機数は予備機を入れて60機がいい所だったんだぞ。ありえん・・
しかしあれだけMSをギッチギチに押し込んでメンテナンスはどうするのだ?搭乗員の居住スペースは?武器弾薬庫だってあるだろう
搭載MSはガンダムライトニングか?だがまだ量産機は完成していないはずだが・・ガンダムホーネットを搭載するのか?」
手を後ろに組んでいた式場博士が乗り出す
「田口艦長。私がお答えしましょう。「タイタニック」に艦載されるのはライトニングでもホーネットでもありません。そもそも
今までの艦とは規格が違うのです。ニューコンセプトにはニューコンセプトなのです。答えはあれです」
式場博士が艦橋の窓の向こうを指差した。同時に観測員が叫ぶ
「艦影1接近!IFF確認しました。補給艦「オオスミ」です!」
「オオスミだと?チヨダの間違いじゃないのか?」
「いえ、間違いありません!オオスミより発光信号!ワレタイタニックニセツゲンスル」
オオスミはタイタニックの上方に付くとコンベアパイプを伸ばしてドッキングした。
「オオスミだと・・17年前もこの艦が厄災を運んできたな・・杞憂であればよいが」
新田少将はオオスミとタイタニックを見つめた

214:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/09 23:24:04.37 p0tQSVTG
オオスミの甲板からMSらしき頭部が見える。その機体のモノアイが点灯すると一斉に甲板から飛び出る
同時にタイタニックのVLSハッチが開く。その機体はまるでハチが巣に戻る様にハッチに機体を収めていく
「なんて練度だ?随分とエースパイロットを集めたようだな小泉大佐?それにあの機体は?」
「司令。あれがタイタニックと同時開発された新型MSです。「RCMS-968ツネッシ」です」
「ツネッシだと!!??」
まるで現代に蘇ったような鉄人28号のようなボディ。今までのMSよりも小型化されている。バックパックを
見る限りビームサーベルは背面には装備されていないようだ。機体は宇宙戦専用にダークグレーで塗装されている。
シールドは持っていない。新田少将と田口大佐はまたも呆気にとられる。
「むうう、新型のMSか。ライトニングより早く量産されていたとはな。しかし腕ききのパイロット揃いの様で
何よりだがどこから引き抜いた?ソロモンの343空か?」小泉大佐はドヤ顔で答える
「いいえ、田口艦長。あのツネッシは無人攻撃機なのですよ。連邦軍初のね」
その答えにさらに二人は驚愕する
「む、む、無人攻撃機?あのMSには人は乗っていないのか?」
式場博士が何やら連絡を取っている。そして二人を招く。
「閣下、田口艦長。今、格納庫に一機、ツネッシを着艦させました。お見せしましょう」

215:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/11 00:07:30.13 2uQLSlV8
「副長!少し頼むぞ」
田口大佐はそう言うと新田少将と艦橋のエレベーターに乗った。
オオヨドの格納庫は改装され前線作戦室になっていたがその端にそれはあった。
「博士!あれがツネッシか。今までのMSよりは随分と小型だな」
ツネッシからはまだ動力音がしている。その音は格納庫内に響いていた。
もういいぞ!式場博士の声と共にツネッシは駆動を停止した。直立で不動するツネッシ
停止と同時に頭が前方にスライドし首ねっこからオレンジ色の細長い物体が飛び出る。
「!!??」新田少将は驚きを隠せなかった。7年前に富士山の山頂に集結した量産型ツネンゲリヲン
と同じギミック。そして何より富士山の火口脇で発見されたツネンゲリヲンのエントリープラグそのものだった。
「式場博士。先ほどこのツネッシは無人で動いていると言ったがMSに対する指示はどこで出しているのかね?」
新田少将の問いに博士はドヤ顔で答え始めた。
「閣下、このツネッシは搭乗員を必要としません。先ほど申し上げた通り無人で動作します。ツネッシに対する起動、
発進、攻撃その他の命令はすべて「タイタニック」のブレインユニットから発します。もっともそのユニットに命令するのは
我々人間、その代表が小泉艦長でありますな。つまり母艦とツネッシには人口知能が搭載されているのです。我々に服従するためのね
そしてツネッシ。あの首に刺さっているのがダミープラグ。つまり搭乗員と言う人間をデジタル化してあります。そのデジタルデータ
には過去の歴戦のパイロット達のデータが全て入力されているのです。」
一人の作業員がリモコンの様なモノを首からぶら下げ博士の横に立つ
「つまりツネッシには○ムロレイやシャ○ア○ナブルやカ○ーユビダン諸々過去のニュータイプの
機動データが入力されている。と言う事か。つまりニュータイプの量産型だと?」
「かつてニュータイプと言う兵器を確立させる為に非人道的な機関が数多く存在しました。フラナ○ン、ムラ○メetc
ですがそれらは数々の人体実験に失敗し成功してもその力を発揮できず人命だけを無駄にしてきた。だが私は違う!
人間を使ってニュータイプなどと言うモノを作るよりそれをデジタル化すればよいのだと。人間を薬物投与で覚醒させても
所詮はアナログ。つまり私は魂のデジタル化に成功したのですよ閣下!」
その言葉を聞いた新田少将は嫌悪の表情に満ちた


216:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/11 00:27:35.82 2uQLSlV8
「あの人類を破滅に導こうとしたツネンゲリヲンのギミックを用いて神にでもなるのか?博士?」
新田の発言を聞いた式場博士は一瞬たじろいだがすぐ立ち直る
「閣下。今までMSのパイロットを育成するのに一体いくらの予算がかかったかご存知ですか?私の
ツネッシはその半分以下の経費でニュータイプを実現した。不死身の兵ですよ。これが軍隊の理想なのです
私は同期であった遠刕光翁少佐の夢を具現化させた。彼の遺作であるツネンゲリヲンと連邦のMS開発技術の結晶
このツネッシは究極のハイブリットMSなのですよ!」式場博士の横で小泉艦長が無言で拍手をしている。
「博士、もういい。で、このツネッシの概要は?」
「はい閣下、ツネッシは全長12.8M総推力は8万弱、装甲はステルスアンチサーモアーマーを纏い頭部に近接80mmバルカン
を2門。ビームサーベルは股間に装備されています。使用火器は作戦で変更されますが主にビームライフルとバズースなどの
対地対艦爆撃装備。尚、シールドは装備しません」横に居た技術官がリモコンを操作するとツネッシのプラグが素早く装填され
起動する。そして股間からビームサーベルが飛び出る。
「12Mとは随分小型だな。格闘戦には向かんな。推力が8万とはこれまた随分と非力だ。固定武装はいいとして
サーベルが一本しかないとはな。シールドが無いとなると敵弾に対する防弾性が気になるが・・」
新田のダメ出しに式場博士が答える
「閣下。このツネッシは格闘戦は考慮していません。何故なら敵はツネッシに近寄る事もできないでしょう。ツネッシには
ガンダムラプター以上のステルス性が備わっています。通常のレーダーには直径1Mほどのデブリにしか映らないでしょう。またこの
曲線のシェイプは敵のビーム弾に対する防弾性も備えています。シールド?そんなモノ必要ありませんな。サーベルはあくまで非常用。
もはやMSの戦闘は次の時代を迎えているのですよ閣下!」

217:名無しさん
11/08/11 05:22:29.21 /qM5aRJB
正直、人名や名称を伏せる理由がまったくわからん
ガンダムと銘打っているのだから大丈夫な気がするが

218:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/12 00:14:06.20 h5r0UHSO
>>217
酒呑みながら書いてる油豚小説だから細かい所は勘弁してくれw

式場博士の独演会は続く
「かつてこの広い宇宙空間で巨大な戦艦が主砲を撃ち合いMSは巨大化し大口径のビームライフルを
振り回した戦闘が様々な場所で展開されました。だが今は違う!ネオソーカの残党は暗礁空域や廃コロニーの
跡地に潜伏してヒット&ランで貨物船や輸送船を襲っている!そんな所に大規模な艦隊とMS部隊を派遣した所で
何の役に立たない。大型のMSは廃コロニー内のCQB(閉所戦闘)には対応しきれずそんな場所では大型のビームライフル
など糞の役にも立たずネオソーカのゲリラ部隊に血祭りにあげられている。もはや戦争の形態は変わっているのですよ!
ツネッシはCQBにも特化した機体ですが空間戦闘にもそのステルス性能を遺憾なく発揮できる次世代のMSでありそれをタイタニックと
運用する事によって各コロニーの裏バンチまでも制圧できる。それが現在の空母打撃群に求められるスペックなのです閣下!」
息切れしてゼーゼー言ってる式場博士だが眼光は衰えていない
「博士。わくわかりました。ではもうひとつ。このツネッシは無人攻撃機と仰ったがまさかあのタイタニックも人口知能を搭載した
無人攻撃空母と言う事で理解してよろしいのか?」質問する新田少将。
「いかにも。無人とは言っても艦長以下最低人数で運用できる空母なのです閣下。ツネッシの機体整備には各VLSに設置されたメンテナンスロボ
によって補給、整備から発進、着艦までこなす自己完結型なのです。無論、大破した機体は次に艦がドック入りするまでは出撃できませんがね。
タイタニック本体もアンチサーモステルスアーマーが装備され弦側装甲も強化されています。対空砲は上下甲板にそれぞれ・・」
ここまで言った所で新田少将が割り込む
「この人口知能。タイタニックやツネッシが暴走し友軍や民間人に危害を与える可能性は?」
この質問に黙り込む式場博士。

219:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/12 00:28:26.84 h5r0UHSO
「もう一度お伺いする。タイタニックやツネッシが暴走する確立。安全性はどうなのか?」
「・・・閣下。タイタニックとツネッシの安全装置は二重、三重に備えてあります。「絶対に安全」なのです」
新田少将は何も言わず艦橋へのエレベーター乗り場に歩き出す。
「博士、よくわかりました。」それだけ言って歩き出す新田を追う田口艦長。
式場博士と小泉艦長は黙り込んで彼らを見送った。

オオヨド居住区
ヨシミはタイタニックを見た途端に気分が悪くなる。
「あらあら、大丈夫?よんよん。軍医呼んだ方がいいわね」シマは部屋の外に居る
衛兵に声をかける。「ちょっと、医療班呼んでくれないかしら?彼女気分が悪いみたいなの」
「はっ!中佐殿!直ちに呼んでまいります!」エアロックから覗き込んでいた兵は走って行く。
だが5分経っても衛兵は戻ってこない。何かあったのか?軍医が捕まらないのか?
「おかしいわね・・・」シマは拳銃を抜くとスライドを軽く引く。薬室には金色の薬莢が見える
初弾は間違いなく装填されている。すると通路から人の走る音が聞こえてくる。
「お待たせしました!」先ほどの衛兵ではない。おかしい。さっきの衛兵はライフルを肩に下げていた
こいつ手ぶらだ。シマは彼を注意深く疑視すると言った。
「あら?あなた頼んだモノは持ってきてくれた?」
「は?あ、ああすみません。忘れてきてしまいました。」
「あらあら、あなた、私何も頼んでないわよ。それにその腰の拳銃、何でサイレンサーなんか付いてるのかしら?」

220:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/12 00:45:29.97 h5r0UHSO
同時に拳銃を抜く衛兵。シマは後ろ手に持っていた拳銃を衛兵にエイムする
シマは銃をホルスターから抜いて居たが予想外の動きに油断してしまった。
「この腐れアマが!」横っ飛びした衛兵を見失ったシマ。
パスッと言う静かな銃声が部屋に響く。シマは右腕を打ち抜かれ拳銃は床に落ちる
「残念だったな。任務5963(@wぷ」
衛兵はそう言うとシマとヨシミに狙いを付ける。油断した。と思った時だった。
背後から銃声がし衛兵が倒れる。
「間に合ってよかったですな。中佐殿」
「真田・・少尉?いえ大尉!」

真田大尉とシマ、ヨシミはオオヨドの艦長室に招かれる
「閣下、なんとか間に合いました」
「真田大尉。よく来てくれた。」握手する新田と真田
「どうやら横須賀から乗り組んで来た保安要員の中にスパイが紛れ込んでいたようだな。
射殺した一名以外は全員拘束してある。思ったとおりだったな。やはり・長官の差し金のようだな」
「黒幕を吐きますかね?」真田の問いに新田は首を横に振る
「彼らも軍人だ。そんな簡単には吐かんだろう。シマ君。腕の方はどうかね?」
「カスっただけです。たいしたケガでは。ですがよんよ、いえ、ヨシミが具合が悪いと・・」
包帯をしたシマの横でヨシミは青白い顔をした立っているのがやっとだ。
「間もなく艦隊は作戦空域に向けて出撃する。その前にオオスミに移乗してもらおう」
田口艦長がそう言ったその時だった。艦に微振動が走る

221:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/13 00:25:58.71 RWn4uje1
「艦長!オオスミのコンベアパイプの爆発を確認!」
「何!?敵襲か!?CIC!!」艦隊の回りには四散した補給物資が浮遊している
「いえ、レーダー感無し。全周囲異常無し」
タイタニックの上方に付いたオオスミはコンベアパイプの射出口から爆炎が上がっている
「敵襲ではないだと?テロか?それとも事故か?」
「オオスミより発光信号確認!「ワレソンガイハケイビナリ。キチニキトウスル」だそうです」
「まいったな。オオスミがあれではシマ君とヨシミ君を移乗させられないではないか。仕方あるまい。ランチでオオスミまで・・」
次の瞬間、またオオスミの今度は上部甲板で爆炎が上がる。
「おい!本当に敵襲ではないのか!?」
「オオスミより発光信号。「コンベアパイプノカサイガユウバクセリ。ショウカニセイコウ」であります」
オオスミはタイタニックから分離すると離脱を開始した。速度は落ちているが大丈夫そうだ。
「あの状態で二人をオオスミには移乗させられないな」新田少将がつぶやく
「艦隊は作戦行動に入ったし、シマ君。すまんが少々付き合ってもらうしかないようだな」
第一戦隊は二人のゲストを乗せたまま「ラサ」に向かった

「私を狙っていたのか?それとも他の目的か?それとも本当に単なる事故なのか?」真田は首をひねる
真田大尉は新田少将の前で敬礼する。
「空技廠検査課真田大尉であります。只今よりオオスミからオオヨドへ移乗。これより新型MS、RCMS-968の公試の検証に立会います」
真田大尉は命令書綴りを開く。そして足早に格納庫へと降りていった

222:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/13 00:45:35.74 RWn4uje1
「艦長、オオスミの先任クルー以外の人間は?」尋ねる新田
「はい閣下。あなたとシマ中佐。そしてヨシミ君、そして真田大尉。それと格納庫に居る
式場博士と小泉大佐。タイタニック付けの技術者3名だけであります。勿論、拘束した人数は除外してありますが」
「作戦行動中の艦艇内で堂々と暗殺作戦を実行しようとした不届者が居たからな。保安上は問題があるが
特例にてシマ中佐とヨシミ君に艦橋に居てもらう事にする。暗殺者もここでは手は出せまい。これは大統領命令だ」

その頃、格納庫ではツネッシの前で真田大尉と式場博士のチームが揉みあっていた。
「検証など必要無いのだ」突っ張ねるチーム式場
「制式兵器の公試の結果を報告するのが私の仕事だ!」押し返す真田大尉。
「真田大尉。また会ったと思いきや私の仕事の邪魔かね?ツネッシの安全性は私が保証しているのだ」
「博士!あなたこそ邪魔するのですか?そこまでするのならしかるべき筋に上申しますが?」
「公試の報告は私が責任を持って一括して防衛総省にする事になっている。君は関係ないのだよ真田大尉」
「博士!いくら元軍人とは言えあなたは今では軍の委託企業の下請け屋にすぎない。これ以上邪魔するなら」
そこへ小泉大佐が割って入る。
「真田大尉。命令する。この格納庫から出たまえ。無論、新田少将に報告してもらっても構わない。君は部外者だ。お引取り願おう
この案件はラボ式場が防衛総省から一括して委託を受けているのだ。と、言う事は大統領命令だ。これ以上騒ぐのなら君を命令違反で拘束するが」
小泉大佐の言葉に黙って引き下がるしかない真田であった

一方、空母タイタニック内。公試の準備中の石川少尉と横山少尉が居た。広いオペレーションルームには二人しか居ない
「なあ?ミドリ。これおかしくないか?」
「どれだよノリユキ?」モニターを確認しあう二人


223:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/13 01:01:47.05 RWn4uje1
「アヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ(@w荒」
モニターには意味不明な文字が並んでいる。
「こいつまだ主電源投入してねえのに立ち上がってんだよ。これオペレート用のモニターだもんな」
その奇妙な文字の映るモニターを覗き込む横山少尉。
「ただのバグだろ?一回予備も落として見ろよ。大体、ぶっつけの公試で御偉いさんも来てんのに問題
出たなんて言ったら俺ら配置転換モノだぜ?それで済めばいい方なんじゃね?」
「だな!」石川少尉はそう言うと予備電源を落とし再投入する。画面はクリアされる。
「ああ、直った。危ねえ。冷却系の温度少し下げてみよう。こいつ、10381-4543は温度に敏感だからよ」
「つか10381-4543って呼びづらくね?なんか可愛い名前付けようぜ」完全に悪乗りする二人
「可愛い子猫ちゃん、kittyでいいんじゃね?」
「よし、10381-4543!ヲマエの愛称は「kitty」だw」
爆笑しながらツレションに行く二人がモニターの前を去った後にモニターに字が浮かんでいる
「アヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ(@wぷ ヲ、ヲレ、ヲレ、kitty?、ヲレ(@w荒」
それは数秒表示されるとまた消え去った。

オオヨド格納庫。タイタニックモニタリングルーム
「をやをや閣下。遠足ですかな?子供もご同伴とは」
ヨシミとシマを連れて格納庫を訪れる新田少将に式場博士は言った。
「博士。査察の件ですがもう少しご協力願いたい。真田大尉も上からの命令で行っているのですから」
「いえいえ、閣下。ですからこれは防衛総・・・」
「私の命令でもそれは受け入れられんと言うのか!」格納庫内に響く新田少将の怒号
式場博士は無言で書類を開く。そこには大統領のサインが記してあった。
「博士、大声を出してすまなかったですな。続けてください。」新田はそう言うと黙り込んでしまった
「閣下!間もなくラサの空域に到達します!」

224:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/14 00:43:51.86 FQDN0+MD
艦橋に戻った新田少将に真田大尉は駆け寄る
「少将閣下、奴らは何かを確実に隠していますね。我々に知られたくない「何か」を」
「うむ。あの大統領のサインも恐らく中曽根長官による偽造書類だな。かつて大学の卒業証書も偽造した輩も居たがな
だが公に書類が存在してると言うのなら仕方あるまい・・・・小泉大佐をここに呼んでくれ。」

「閣下、呼ばれてまいりました!」小泉大佐が敬礼をしてやってきた。
「小泉大佐。単刀直入に聞きたい。タイタニックのクルーで遠刕と言う男は乗っているのか?それも兄弟でだ」
その様子を浮かない顔色で見つめるヨシミ。小泉大佐はフッと笑うと答えた
「そのような名前の人間はおりません。今現在、タイタニックに搭乗しているのは石川、横山の両少尉のみですな。
私も後で移乗します。先に述べた通り、あの艦には最低限の人間しか乗り込みませんので」
「艦隊!ラサの接続空域に入ります!ラサの守備隊より領空侵犯の警告がきています。どうされますか!!」
小泉大佐の返答を遮る様にオペレーターが叫ぶ。
「全艦停止!機関中立!対空監視を怠るな!」田口艦長の下命が飛ぶ。
さて、いよいよだな。オオヨドとワカツキはタイタニックを護衛。
イスズとハツヅキは反対側のベイに回りこむ。守備隊の魚雷艇が出てきたようだ。

225:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/14 00:54:41.01 FQDN0+MD
「魚雷艇及びミサイル艇を確認!数12!こちらに来ます!」
「対空戦闘用意!命令あるまで発砲はするな!」艦橋が慌しくなってきた。
「おやおや、随分なお出迎えだ。これでは私もタイタニックに移乗できませんな。
閣下!敵MSが出てくるのも時間の問題。ツネッシの出撃許可を」小泉大佐が言った。
その時、通信兵が新田に駆け寄る
「司令部からです!第一戦隊は空母タイタニックの戦力を使用しラサの叛乱分子を駆逐、鎮圧せよ。作戦名は
オペレーションスチールストーム!以上です!」指令書が暗号電で送信されてきた。それを見た新田は凍りつく
「ラサに対しBC兵器を使用。その後、対コロニー弾でコロニー本体を破壊せよだと・・」
新田少将は指令書を破り捨てた。
「これはただの虐殺ではないか!作戦はマトモじゃない!作戦中止!イスズとハツヅキを呼び戻せ!」
新田少将の指示にざわめく艦橋クルー達

226:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/14 01:10:03.70 FQDN0+MD
「司令。ラサ内の連邦政府総督府が放火されたそうですよ。このまま暴徒を見過ごすのですか?」
小泉大佐が意見をする。そして続ける。
「司令部から下命された以上、これは正式な作戦です。我々は軍人であり政治家ではありません!攻撃なさるべきです閣下。
まさか連邦政府左派のあなたがよもやここまで来てラサの和平派と交渉をしに来た訳ではないでしょう?我々は軍人なのですよ閣下」
「小泉!貴様ァ!上官に向かってなんて口を聞くんだ!侮辱罪で軍事法廷に行きたいか!!」田口艦長が怒鳴る
「田口大佐ァ、軍事法廷に行くのはあなただ。このまま命令違反で艦隊を帰投させたらどうなるかわかるでしょう」
そのやりとりを見て新田少将が繰り返す
「作戦は中止だ。艦隊は帰投する。異論があるかね小泉大佐?これは命令だ」
「・・・・・閣下、残念です」小泉艦長はそう言うと腰の拳銃を抜き新田に突きつけた
「閣下、あなたを反逆罪で拘束します。命令が遂行されない以上、あなたに指揮官の権利はない。田口艦長、あなたもだ。
以降、タイタニックと艦隊の指揮は私が執る。衛兵、閣下と田口艦長をお連れしろ。丁重にな」
「小泉!キサマ!!ふざけるな!」衛兵の手を振り払う田口艦長。
「ふざけてなどいない。タイタニックの力をラサで試す事によってコロニー連合に対するいいデモンストレーションになるのだ
オペレーションスチールストームはタイタニックとツネッシの初の実戦テストなのだよ!!」

227:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/14 22:48:06.14 FQDN0+MD
突然の司令官更迭劇にうろたえるオオヨドの副長以下クルー達。
「副長!君はどうする?田口艦長につくか私につくか決めたまえ!彼につけば命令違反で軍事法廷行きだがな」
「・・・・小泉大佐殿に従います・・新田少将と田口大佐を営倉にお連れしろ」
「キサマァ!寝言はそこまでだ!!」田口艦長も拳銃を抜いた。
「パン!」乾いた音が艦橋内に響く。血を流して倒れたのは田口艦長だった
「命令違反は銃殺だ。」小泉大佐は後ろを振り返りシマに銃口を向けた。
「四丈半中佐。あなたの銃も出してもらおう。そこのお嬢さんといっしょに営倉に行ってもらう」
「反逆罪はあなたの方ね」シマは拳銃を小泉大佐に渡す。ヨシミは促されシマに付いていく
「真田大尉。君はどうするね?」
「・・・小泉大佐のご命令に従います」
「賢明な選択だ。今後、私や博士にあまりたてつかぬ事だな。まあ君は優秀な技術士官だからな」
小泉大佐はそう言うと真田の肩を叩いてキャプテンシートに腰掛けた。
「副長!オオヨドの艦長代理は君だ。」小泉大佐が副長をけしかけると同時に通信兵が駆けつける
「大佐殿!これを」司令部からの暗号電だった
「ふむ、わかった。諸君。これより第一艦隊第一戦隊は独立空間408戦隊と部隊名を変更する。これより
連邦政府転覆を企てる逆賊共に天誅を与える。ツネッシ1~24番機まで出撃させろ!」
タイタニックの前部甲板のハッチが開きツネッシが勢い良く飛び出していく。

228:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/14 23:01:49.97 FQDN0+MD
「最初からおかしいと思ったのだ!」新田少将はそう言うと営倉の壁を叩いた。
「中曽根長官に・・・まんまとはめられたって事ですか?」シマが話しかける
「ラサの暴徒鎮圧なのに陸戦隊を乗せた揚陸艦が居なかった。長官は最初からラサを艦隊と
MSで破壊するつもりだったのだ。ここに居ては取り返しのつかない事になる」
「取り返しのつかない事とは?」シマは表の衛兵の様子を伺いながら話しかける
「大統領はコロニー連合の和平派と水面下で交渉を続けている。今、ここで中曽根長官率いる
強行派がラサを攻撃してみろ。コロニー連合は手のひらを返した様に態度を硬化させてかつての
ソーカ戦争の時の様に未曾有の大戦争になるぞ。いや、あの時以上だ。なんとかしてこの事を大統領に伝えねば」
その時だった
「おい、変わりはないか?」
「ハッ!異常ありません」
外の衛兵が誰かと話をしている。
「奴らを衛星軌道上の補給ステーション「ミノリダイ」まで護送する。軍事法廷の前に自殺でもされたら適わんからな」
そう言いながらドアを開けたのは真田大尉だった。
「閣下。移送になります。後ろの二人も来い」
「あの・・大尉殿、その様な指示は受けていませんが・・」衛兵が困惑している。
「当たり前だ!司令系統が変わったのだ。グダグダ言ってるとキサマも軍事法廷に送るぞ!」一喝する真田大尉
「搭載しているランチを準備させろ。作戦行動中だが小泉大佐の命令だ。わかったな!」

229:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/14 23:17:08.18 FQDN0+MD
後部甲板への細い通路を歩く真田大尉と新田少将、そしてシマとヨシミ。
「大尉、君はそれでいいのか?」前を歩く真田に問いかける新田。だが彼は黙ったままだ。
ランチの前で衛兵が二人敬礼をしている。真田は命令書を衛兵に渡すとランチに乗り込んだ
「さっさと乗れ!」捕われた3人は衛兵にせかされながらランチに乗せられる。後から衛兵も乗り込む。
真田はコックピットに座ると一人の衛兵に話しかけた
「すまんが君。先ほどのオオスミの事故の影響でハッチがリモートで開かない。手動で開けてきてもらってよいか?」
「はっ大尉殿!直ちに」ノーマルスーツを来た衛兵がランチから飛び出す。一瞬、コックピットから立ち上がった真田は
もう一人の衛兵に拳銃を突きつける。
「ライフルを床に置いて降りろ。早くしろ!!」4人を乗せたランチは宇宙空間に飛び出した。

「小泉大佐!後部甲板からランチが射出されましたが!」オペレーターの声に振り向く小泉
「まさか!!・・・・まあいいか・・」彼は一度立ち上がるがそのままキャプテンシートに腰を降ろした
「ツネッシで追撃させますか?」副長が駆け寄る
「まあいい。放っておけ。逃げれば罪が重くなるだけだ。それに作戦機を減らしたくない。ツネッシの展開は完了したか?」
「ハッ!現在守備隊の防衛線を振り切りベイに向かっています。各艦援護射撃用意よし!」
「敵の魚雷艇、ミサイル艇は艦艇で撃破する。ツネッシアルファチームはベイへ突入させよ。ベータチームは
敵のMSの監視を怠らせるな。チャーリーは突入支援に当たらせる。いいな!!」

230:名無しさん
11/08/17 13:40:57.63 vcPQSZ/F
wktk

231:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/18 00:04:10.43 6i1eWWT+
オオヨドから脱出に成功した真田大尉操るランチ内
「大尉!あなたは敵なの味方なの?」
「最初から味方ですよ。小泉を騙す為に一芝居打ったのですよ、四丈半中佐殿!」
真田のその一言を聞いて安堵する一同
「しかし小泉大佐め。まさか田口艦長を射殺するとは・・計算高い所も父親譲りですかね
まあ自分の芝居に引っかかるとは底の浅い男ですわ」真田は自動操縦に切り替える
「いや、芝居にひっちかかったのは我々かも知れんな」新田少将がつぶやく
「どう言う事ですか?」シマは真田から拳銃を返してもらいながら聞いた
「最初から我々をオオヨドから追い出す手はずだったんだろう。正規の手続きを踏むより
このまま我々を消して口封じをした方が得策だからな。このランチが遭難すれば奴らは一挙両得だからな」
「そう言えばランチの格納庫の警備も手薄でしたね。まさか!」真田がコックピットへ戻る

オオヨド艦橋 小泉大佐はキャプテンシートから立ち上がった
「副長、私は発令所からツネッシに指示を出す。艦橋及び艦艇の攻撃は任せたぞ」
足早にエレベーターに向かう小泉。発令所のフロアに下りると式場博士が立っていた

232:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/18 00:16:39.89 6i1eWWT+
「大佐殿。新田少将と四丈半中佐と真田大尉、そしてあの小娘がランチでオオヨドから逃げたとお伺いしましたが」
「ああ、新田少将は勝手に自滅してくれましたよ。このまま拿捕されて逮捕されるも遭難され・・」
そこまで言いかけると式場し博士の右ストレートが小泉大佐の顔面を捉えた
「ブフッ!な、何するんですか!」
「小泉大佐!君はホントにウスラバカだな。バカさ加減は父親譲りかね?あの娘。コード42事、遠州ヨシミが
もっとも「大切なパーツ」だと言うのに。肝心な事を聞いとらん役たたずが!」怒鳴りつける博士
「すぐにツネッシでランチを追撃させ42事、遠州ヨシミを捕らえるのだ。勿論生かしてな。他の3人は
どうでもいいが42を殺したらキサマも軍事法廷行きだぞ小泉大佐!!わかったら直ちににとりかかりたまえ!」

オオヨドから脱出したランチ内
「くそっ、やはりコンパスが壊れてやがる。機位がわからない。工作してあったのか!」パネルを叩く真田
「空気と食料はどれ位持つんですかね」シマが不安気に尋ねる
「脱出艇だから四人だと空気も食料も一週間は持つな。ビーコンを発信すれば友軍が救助に来てくれるが
今、出せばあのツネッシにこちらの位置を教える事になる。このまま飛び続けてなんとか自力で近くのサイドか
補給基地にたどり着ければいいんだが」真田はコンパスの修理を試みるが無理のようだ。
「上も下も右も左も真っ暗闇か。さてどうするかな」
新田少将は帽子を取って座りこんだ。

233:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/18 00:32:07.08 6i1eWWT+
「なあノリユキ。小泉艦長からツネッシでランチの追跡命令が来たぜ」
タイタニックのCICで横山少尉がモニターを見ながら話かける
「えっと、さっきオオヨドから出てったランチだよな。何なんだこれ?」
「よくわかんないけどスパイでも逃げたんじゃね?」
「よし、ツネッシ25.26.27番機発進!」石川少尉がモニターに指示を出す
「あれ?またバグってるよ」
画面にはまた例の「アヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ(@wぷ」が表示されてる
石川少尉はテンぱる。その時、横山少尉が叫ぶ
「ノリユキ!メインも入れちまえ!!」その言葉通りメイン電源を投入する。フリーズか?
画面が一旦、クリアされる。ツネッシのVLSハッチが開くがツネッシは出撃しない
「ヲ。ヲマエは誰かね?(@w荒」モニターに不気味な一行が映し出された
「ヲイ!ミドリ!こ、こいつなんか質問してきたぞ!!」
「ノリユキ!お願いしろお願い!早くしろ!小泉艦長マジ怒ってるぞ!!」
キーボードでコマンドを入力する石川少尉
「あ~、kittyちゃん、お願いだからツネッシ3機発進させて。じゃないと艦長に怒られるのよ」
「kitty?ヲレはkittyと言うのか・・・艦長って何かね?(@wぷ」
「なあノリユキ、これっと式場博士に報告した方がいいんじゃね?」焦る横山少尉
「ちっと黙ってろ!艦長ってのは一番偉い人。kittyはその命令を聞かないといけないんだよ。ね、頼むから」
「ヲ、ヲ、じゃあヲレと友達になってくれるかね?(@w友」
その間にも小泉艦長からツネッシの出撃命令が何度もモニターに表示されている
「わかったから、友達でもなんでもなるから!早く出してくれkitty!!」

234:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/19 23:53:39.35 dcxOJ9fo
ラサ守備隊のMS部隊
連邦政府の旧式の払い下げの機体であるジムⅢによって編成された部隊である。
展開する独空408戦隊の艦艇を睨みつつサイドの哨戒飛行で出撃していた。
「隊長!方位2-8-5に敵艦隊見ゆ。主砲こちらを指向。尚、敵MSは確認できず!」
前方に突出していた数機の偵察部隊が報告を送る
「敵MS及びコロニー内制圧部隊を搭載した揚陸艦は確認できませんが大型空母を視認
データにない艦影です。どうやら新造艦のようです!!」その言葉に守備隊の隊長は驚く
「・・・敵空母の飛行甲板に注意!MSの発艦を確認したらすぐ報告しろ!いいな」
隊長はその報告を聞いて動揺を隠せない
「脅しだ。絶対にそうだ。陸戦隊を随伴していないのならサイドを包囲しているだけだ」
だが彼の読みは完全に外れる。
「こちらは連邦政府独空408戦隊。指揮官小泉大佐だ。ラサの守備隊に告げる。直ちに投降せよ!
君らの行為は連邦政府総督府に放火する野蛮人達への加勢行為である。受け入れられないのなら武力制圧に移る。繰り返す!」
その呼びかけに守備隊は萎縮した。その証拠に彼らのミサイル艇、魚雷艇も全て408戦隊にはそれ以上近寄れずにいた。
「隊長!我々はラサの市民を守る為の部隊ですよね?これは明らかに連邦政府による弾圧行為です。攻撃許可を!」
血気盛んな搭乗員から攻撃許可を求める通信が入る。
だが次の瞬間、彼の上方で小さな爆発炎が上がる

235:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/20 00:11:58.32 9ByyG5WN
「おいどうした!?発砲許可は出していないぞ!」
「隊長!本田が食われました!攻撃許可を!!」
だが対空砲、艦砲の発砲炎は全く見えない。ミノフスキー粒子が高濃度で散布されているので
レーダーは全く役に立たない。だが敵も同じだ。彼は自分に言い聞かせる。次の瞬間、下方でまた爆発炎が見える
「おい宮永!!どうした!返事をしろ」
「隊長!レーダーには何も感がありませんが何かこちらに向かってきます!!なんだアレは??」その交信を最後にその搭乗員からの
交信は途絶する。一体、何が起きているのか?次の瞬間、爆炎と共に隊長機のジムⅢも四散する。

「ツネッシアルファチーム防衛ライン突破!コロニー空気供給ブロックへ侵攻中!」
「ベータチーム両ドッキングベイにタッチ!爆破準備よし!」
その様子をご満悦で見つめる小泉大佐と式場博士。
「どうやら敵はツネッシの侵入に全く気づいていないな。さすか最新鋭ステルス機。ミノフスキー粒子が散布されているとは言え
彼らはツネッシを一機も迎撃する事はできない。ツネッシは音も無くコロニーの奥の奥へ侵入するのだ」
「RCMS-968ツネッシ」その機体は隠密作戦時には圧搾空気で推進しバーニアによる推進炎で敵に感知される事なく接敵できるのだ。
その機体はブータガンダムで実用化されていた「ステルスチェーン」を板状にし装甲にしている為脅威のステルス性能が発揮でき
かつツネツシが装備するアサルトライフルはビーム方式ではなくこれまた圧搾空気で実体弾を発射するサイレント仕様であった。
その弾頭は信管により敵に接近すると破裂、ニードル状のタングステン製子弾が敵を襲う非人道的な兵器であった。
「ははははははははははは!ジムⅢなどそんなポンコツ100機でも私のツネッシには勝てんわ!!」式場博士は狂喜した

236:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/20 00:30:41.02 9ByyG5WN
ラサの空気供給ブロックに侵入した8機のツネッシ
彼らは空気供給ファンの前に立つと背中のボンベのバルブを解放した。
ボンベの中身は神経ガスだ。ガスはファンによってコロニー全体に送られる
ラサの連邦政府総督府前には数千人の市民が殺到していた。皆、政府の弾圧に対する抗議デモ参加者だ。
デモ参加者の一人の女性が言った
「何コレー臭~い!」と同時に次々と倒れていく市民。ツネッシの毒ガスによって倒れていく
コロニー外に展開していたラサ守備隊の艦隊も後方のMS隊の撃破を見て混乱する中、408戦隊の艦砲射撃で
沈められていく。完全なワンサイドゲームだ。小泉大佐は神経ガスの効果をツネッシのモニターで確認する。
「もうよかろう」その声と同時にラサの両方のベイが爆破される。
そしてタイタニックから4発の対コロニー弾が発射される。この弾頭はコロニーの外壁を貫通した後に内部で
激しく炸裂しコロニー自体を内部から破壊し強度不足に陥ったコロニーをサバ折状態で自壊させるこれまた非人道的兵器であった。
「艦長!ツネッシ24機全機帰還しました。損害無し。」その言葉を聞いた式場博士は満足気だ
408戦隊の艦艇は全艦反転する。後ろではラサがバラバラに砕け散って行く。一体、何千、いや何万の命が散ったのだろうか?
「損害報告!イスズに敵ミサイル一発命中するも損害軽微!戦闘になんら支障なし!」
伝令兵からその言葉を聞くと小泉大佐はキャプテンシートに座った
「艦隊は次の作戦空域に向かう!同時に脱走した遠州ヨシミの確保を急がせろ!」

237:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/20 23:45:54.94 9ByyG5WN
「閣下。質問してもよろしいですか?」
目を閉じランチの座席に座る新田にシマは問いかけた
「あの・・よんよん、いえ、遠州ヨシミはどうするんですか?彼女は只の民間人です
ビーコンを発信して友軍の救出を待った方がいいのでは?いえ、決して閣下を売り渡そう
と言う考えではなく人道的な観点からです。彼女はまだ子供ですよ」
その問いに新田少将は目を開いた。
「四丈半中佐。確かに君の言う通りだ。私は自分の命など惜しくはない。かつてネオソーカ
の地球侵攻の時にヲッスキャノンの爆撃で私は妻子を失った。娘も生きていればヨシミ君と同じ歳だったろう。
娘をスペースノイドに殺されはしたがだからと言って私は彼らを恨んだりはしない。私の立場で出来る事は
スペース、アースノイドの戦争を早く終結させる事だ。娘もそれを望んでいるだろう。だがこのまま犬死にはしない。
中曽根長官の暴走を止めねばならぬ。君の言う通りだな」
新田少将がそこまで言うと窓の外のはるか彼方で大きな閃光が走った
「どうやらラサが破壊されたようだな。小泉が我々を追撃してくるのも時間の問題だな。」
新田は立ち上がり帽子を被った。
「真田大尉!救難ビーコンを発信しろ。小泉に捕まるか。他の友軍に救助されるか賭けようじゃないか」
「しかし閣下。その前にツネッシに襲撃されますよ!」反論する真田
「私のカンだが「アレ」は恐らく来ないだろう。大丈夫だ」
新田はそう言うと怯えるヨシミの頭に手を乗せた。
「若い命。無駄には散らせん。今、君をここで死なせたら君の父上、芳鳴大尉に合わせる顔がない」
「閣下。ありがとうございます」
シマはそう言うと新田に頭を下げた

238:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/21 00:03:07.63 Ubj9UHQy
空母タイタニック格納庫にオオヨドからランチが到着した。
公試と初の実戦テストをオオヨドの格納庫でモニターしていた技術スタッフと
式場博士。そして小泉艦長がタイタニックに移乗した。ブリッジに上がる小泉艦長
「おいやべえよノリユキ!艦長来ちまったぜ!!どうすんだよ?」
「だってこいつ言う事聞かねえんだよ!おいkitty!艦長怒ってるぞ!!」
オペレートチャットモニターに話しかける両少尉。kittyの答えは
「艦長?何それ?(@wぷ 食べれるものかね?(@w荒」
その答えに両少尉は愕然とした。
「なあ、ミドリ?こいつ壊れてるよな・・・」その時、CICに小泉艦長がやってきた。
敬礼で迎える両少尉
「貴様ら!何をしとるか!!何故ランチ追撃のツネッシを発進させん!!」激怒する小泉大佐
「申し訳ありません艦長!!なにぶんオペレートシステムがフリーズしてしまい・・」
その言葉に式場博士がモニターに駆け寄る。
「おまえら勝手に主電源を投入したな?公試が終わるまで予備で作動させめと言ったのに。しかも冷却水の温度
もかなり上がっとるな。一体、何をやらかしたんだ!!」怒鳴る式場博士。その時、モニターにkittyからの返事が映る
「ヲレヲレkitty。アヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ!!(@w荒」
「おい石川!!貴様、10381-4543にくだらんニックネームなど付けおって!!」
「ですが博士!こいつはそうでもしないと言う事を聞かないであります!」
直立不動で立ちつくす両少尉。
「バグッた時はこのフォルダを開け!!」式場博士が両少尉にモニターで示す。
「このフォルダは何でありますか?」
「これは「ミツヲウモードと言ってな。10381-4543が暴走した時に役立つプログラムだ」
すると画面が消え元にもどる
「ご命令をどうぞ。小泉艦長」と正常な画面が表示されている。
「しかし確かに10381-4543では呼びつらいな。石川、ヲマエが名づけたkittyと今後は呼ぼうじゃないか?」
「はっ、博士!ありがとうございます」
「だが今後は異常があったら逐一報告しろ。kittyが命令を一つ成功させたらこのボタンを押せ」
「なんすかこれ?」博士が指差す赤いボタンをみつめる両少尉

239:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/21 00:22:21.47 Ubj9UHQy
「このボタンはな。kittyに対するいわば「ご褒美」だ。電気的な信号でkittyに射精時の快感、
つまりオナニーを教えてやる。こいつはそれで学習して行くと言う訳だ」
式場博士の答えに横山少尉が口を開く
「へえ、博士!人工知能もオナニーするんすか?なんか生きてるみたいだなkitty!」
その言葉に式場博士は目を細める
「生きて・・るだと?んんんまあそんな所だ。まあいい。何かあったら報告しろ。いいな!」
そのやりとりに小泉大佐が割り込む
「博士!オナニーはいいですから追撃のツネッシを!遠州ヨシミの確保が重要なんでしょう!?
石川少尉!オオヨドから脱出したランチの方角はトレースしているな?」
「はっ!ミノフスキー粒子が濃く、現在位置はロストしていますが大体の位置と方角は計算で
割り出してあります!ツネッシを出撃させます!!」命令をkittyに入力する。
「ツネッシ射出!!」3機のツネッシは暗黒の宇宙空間に飛び出るとタイタニック頭上で旋回すると飛び去った。

「閣下!レーダーにうっすらと反応が出ました。艦隊接近中!」
ランチのコックピットから真田が飛び出てくる。
「小泉の艦隊かね?」
「いえ方向が違うと思います。数も合いませんし・・・中型艦1隻と駆逐艦クラスが3隻みたいですが・・方位1-9-7です。やや下から来ます」
「大尉?こちらに気づいてると思う?」問いかけるシマ
「恐らく向こうはこちら感知していますね。速度、方位そのまま。どこの艦隊だ?」
助かった。シマはそう思った。これでヨシミを何とか逃がせる。
艦艇の推進炎(ウェーキ)が見える。その外側にMSの推進炎らしきモノが3つ見える。同時にランチの無線が鳴った。

240:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/23 00:30:41.27 8s5G4trv
「こちらヒ57船団空母カイヨウ所属の救難チームである。救難信号を受信した。応答せよ」
すぐさま真田大尉が通信機のマイクを取る
「こちら連邦軍第一艦隊第一戦隊旗艦「オオヨド」搭載のランチ、真田大尉です。怪我人は無し。速やかな救助を求む」
3機のMSはランチの周りを旋回している。返事を待つ真田大尉。
「空母カイヨウだと?どうやらセンカクの船団に遭遇したようだな」窓の外のMSに目をやる
「ガンダムF2か。ツネッシが飛来したらイチコロだな」
「真田大尉、ランチの機関を停止してください。本隊まで曳航します」一機のF2が手を振っている。
「従うとしよう」真田はそう言うと機関を停止し曳航ロープを射出した。

F2に曳航されたランチはカイヨウの格納庫に収納された。ランチのハッチを開けると
拳銃を持った臨検隊が並んでいた。「そのままにして居てください!!」船内に雪崩れ込む臨検隊
だがゆっくりと立ち上がった新田少将の姿に気づく。
「し、少将閣下、大変失礼しました!!」4人は艦橋に案内されると一人の男の謝罪を受ける
「空母カイヨウ艦長、一色大佐であります!先ほどは臨検隊が失礼しました!」
「いや、かまわんよ一色大佐。こちらも助けられて御礼を言いたい」
一色大佐は新田少将と握手を交わす。
「閣下?一体どうなされたのですか?「オオヨド」が遭難したと言う報告は聞いておりませんが」
「うむ、大佐。君達の艦隊は輸送船の護衛かね?」
「はっ、木星からの資源輸送タンカーの護衛任務の帰途であります。「センカク」に帰還するのも半年ぶりですから」
コロニーセンカク。コロニー連合の中でも和平派の多いコロニーである。領空内に資源衛星「センカク」があるものの
その領有権を巡って連邦政府と小競り合いを起こすも争いを嫌う彼らはそれ以上、事を大袈裟にはしなかった。

241:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/23 00:48:54.41 8s5G4trv
「閣下をとりあえずセンカクまでお送りします。ご無事で何よりです!」
真田は新田にそっと話かけた。
「閣下。彼らは木星帰りでまだラサが破壊された事は知らないようですね。ですがこの先、
タイタニックが来たらマズいですよ。ツネッシは絶対に追ってきますよ。ましてこの低速な輸送船団なら尚更ですよ」
センカクのヒ57船団は護衛空母カイヨウを中心に駆逐艦1とタンカー2隻で構成されていた。
「一色大佐殿、タンカーの積荷は何でありますか?」真田の問いに一色は答える
「ああ、木星の資源衛星からの天然ガスが主な積荷だな」
ヤバイ。真田は思った。低速な輸送船団に可燃性の積荷。最悪な展開だ。

タイタニックCIC
「艦長!哨戒中のツネッシ26番機が艦影を捉えました。ランチが逃げ去った方角です!」
「何?居たのか?」シートから身を乗り出す小泉大佐
「ミノフスキー粒子がレベル3弱あるので画像が少し荒れてますが・・・タンカーが確認できますので輸送船団のようですね」
「他のツネッシのセンサーには何もひっかからないのか?」
「はっ!25.27番機の索敵センサーには何も・・」
「ふむ。そうなると奴らはあそこに逃げ込んだ可能性があるな?どこの輸送船団か照合できるか?」
「はっ、少々お待ちを・・・ああ、センカクの輸送船団のようです。」
それを聞いた小泉大佐は不敵な笑みを浮かべる。
「ちょうどいい。センカク沖でツネッシを展開させる予定だったのだ。資源衛星センカクを武力制圧しろとの
長官命令だからな。新田め。簡単に逃げられると思うなよ。まずはツネッシでセンカクの船団を停船させろ!話はそれからだ!!」

242:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/23 01:10:38.85 8s5G4trv
「しかし、狭い空母だな」
居住区に案内された新田少将はつぶやいた。
「この艦もネオソーカの乱の生き残りですよ。ネオソーカの乱の前に旧式になったので
センカクに売却された空母ですね。ベイダーの乱の前に譲渡された艦ですから古いのは否めませんね」
「しかし、ブータベイダー事、恒寿元中尉の所在が未だに掴めないとはな。とてもタイタニックに乗っているとは思えんし」
制服の襟元を緩める新田少将に真田は少し考えてから言った
「閣下・・・・生きて乗艦してるだけとは考えられませんよ。それがベイダーか芳鳴大尉であっても」
「どう言う事だ?」
「ラボ式場は生体兵器や脳波兵器の開発に携わっていた。私の仮説ですがもし遠刕兄弟の片方が
タイタニック、もしくはツネッシの人工知能システムの生体パーツとして使われていたら・・・」
「バカな!!式場博士は神にでもなるつもりか!!」
空母カイヨウ格納庫。
トイレ帰りのヨシミはシマとはぐれてしまった。
「あれえ?シマさん何処に行っちゃったんだろ?この船ゴチャゴチャしてて訳わかんないんだけど」
逸れたヨシミはメンテナンスラダーの横にたどりついた。
「これがモビルスーツ、お父さんもこれに乗って戦ってたの?・・・・」
ヨシミの目の前でガンダムF2がメンテナンスを受けていた。
「オラッ!なんで子供がこんな所に居るんだよ!!??」
ふとヨシミの背後からがさつな女の声が聞こえた。ふりかえるとノーマルスーツを着た女性パイロットだ。
「す、すみません、あ、あの迷っちゃったモノで」怯えるヨシミ
「フン。あんたさっきあのランチから救出された子だろ?こんな所ウロついてんなよな」
その時、ヨシミを探していたシマがやってきた。
「あらあら、よんよんこんな所に居たのね?ダメよ勝手に歩き回ったら」
女性パイロットは髪の毛を縛りながらシマをチラ見した。
「あんたこの子の保護者?ダメだろ子供野放しにしてたら。って」シマの階級証を見て口が止まる
「し、失礼しました!中佐殿!」
「ふふふふふふ、あなた小川ナツミ中尉ね。知ってるわよ、あなたの事」
その名前を聞いてヨシミは固まった
「オガワナツミ???シマさんのファイルにあった恒寿叔父さんが性的悪戯したって・・この人なの?」


243:名無しさん
11/08/24 00:59:50.87 bbocAnV0
やっとナツミが来たか
たしか正しければ29歳だっけ?

俺にとっていっちゃん脂の乗った時期だと思うがと油豚風に言ってみたり

244:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/24 07:06:10.69 R5SJ+CGj
>>243
NEVADAから17年後の設定だから30歳のモイキッシュバーハソになってるんじゃないかな@w荒

245:作者 ◆XvQzUZ.XyY
11/08/24 23:34:16.60 R5SJ+CGj
「しかし閣下、何故「オオヨド」のランチで漂流していたのでありますか?何か訳でも?」
一色艦長と新田少将は「カイヨウ」の艦長室に居た。
「この空域はミノフスキー粒子の濃度が何故か高めなんですが・・・あと先ほど、独空408戦隊
と言う部隊が近辺で作戦行動中って事を索敵班から聞かされましたが何か極秘作戦でも?」
一色艦長の質問に新田少将はコーヒーカップを持った手を止めて言った
「艦長・・・私が漂流していた理由・・・知りたいかね?」
「いえ・・閣下がお喋りになりたくなければ私は・・」その時、扉がノックされた
「失礼します!!小川ナツミ中尉、呼ばれて参りました!!」
その名前に新田はハッとした。
「小川・・・ナツミだと!??!」

「閣下が彼女、いえ、小川中尉をご存知だったとは・・・」
「私が「オオクボ」勤務の時だったからかれこれ17年も前の話だ。佐世保から乗り込んだ私は
小川中尉の働きに驚いたよ。何せ私の嫁に行った長女と同じ位の歳で新型のMSを訓練無しで乗りこなし
ソーカの地上部隊を相手に互角に戦った。まさか君がセンカクの部隊に居たとはなあ」
小川中尉、ナツミは表情を変えず答えた。
「閣下、私はオオクボを降りた後、いろいろあってセンカクに渡り再びMS搭乗員の道を選びました。」
「いやあ、閣下。彼女はたいしたモノですよ。この護衛任務中もネオソーカの残党のMSを2機撃墜してますから。
アシの遅い輸送船団ですから彼女のような歴戦のパイロットが居てくれて我々も助かります」
一色艦長は帽子を取って頭を掻きながらナツミを称えながら言った
「しかし、小川中尉、君は何故オオクボを降りたのかね?」
「艦長、その質問にはお答えしなければいけませんか?」
ナツミは一色艦長を睨みつけた
「いや・・・別にいいんだが・・」


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