11/01/09 15:27:35
投薬バイトにすがる失業者。応募者続々・・・
新薬開発のため薬の効能を試す臨床検査アルバイトに、すがるような思いで参加する失業者がいる。長引く景気
低迷で就職のチャンスがなかなかつかめない中、モニターとして検査を引き受けると、3日程度で6~7万円の収
入を得られるからだ。高収入とはいえ、「体に悪影響は出ないのか」と不安もよぎる。
昨年3月に建設会社をリストラされ失業した札幌市清田区の男性(37)は週に1~2日、トラック運転手のアル
バイトをして暮らす。
今年1月、運転手仲間が1枚のチラシを持ってきた。「投薬バイト募集」とあり、病院に2泊して薬を服用する
スケジュールが並んでいた。病院名などの記載はなく、ちょっと不安になった。
アルバイト代は5万9千円。問い合わせ先の携帯電話に連絡すると、東区内の病院で健康診断を受けるよう指示
された。 病院では薬を飲みながら採血や採尿のチェックを受けた。暇つぶしに本を読んだり、テレビを見たりし
た。「こんな楽なアルバイトがあるのか」と思った。その矢先、病院から「今後、3カ月間は同様の臨床検査は絶
対受けないように」と言われた。体への影響が心配になり、背筋が凍りそうになった。
「臨床検査のアルバイトに飛びついたのも仕事がないから。でも、もう二度としないつもりだ」
それでも希望者は多く、募集担当者は「モニターはすぐ埋まってしまう」と話す。
昨年9月から失業中の同市厚別区の男性(32)は知人から臨床検査という高収入アルバイトの話を聞いた。イン
ターネットで「創薬ボランティア」「治験ボランティア」「臨床試験モニター」などのキーワードで検索してみた。
「2~3泊で6~7万円のアルバイト収入」と呼びかけていた。モニター募集病院の情報を販売するビジネスさえ
あることに驚いた。「医者がチェックするから大丈夫だろう」と、東京の事務局に登録した。
昨年11月に連絡が入り、札幌市手稲区の病院で健康診断を受けた。病院に2泊して協力費は4万円との説明を
受け、「そんなにもらえるのか」と心が揺れた。だが「その分リスクも高い」と、家族の顔を思い浮かべ断った。
新薬開発のため製薬メーカーから臨床試験を受託する専門業者の北海道進出も目立つ。東京に本社を置く業者は、
昨年8月に札幌営業所を開き、今春には旭川営業所も開設した。道外の営業所は埼玉など3カ所だけだ。
道内に力を入れる理由について、同社は「一定人数の確保を見込めるから」と説明する。景気の悪い北海道が狙
い目なのか。契約病院名などを尋ねると「具体的な取材にはお答えできません」と言った。