10/11/06 13:01:24 /GO+/eP1O
「カチカチ…カチャッ…グンッ!」
私はいつも通り壊れかけの鍵を開け、部屋に入った。今日は鍵の調子は良いよう。なにせ1グンッで挿した鍵が抜けたのだから。
いつもは5、6回グンッでやっと抜けてくれるのに。
荒らされた形跡はない…。
荒らされているはずもない。「というか、はじめから荒れてるか…。」ああ、いけない…また心で思っていることを声にして完結させてしまった。
いっそ荒らされていたほうが私の人生の起承転結の「起」にできるのに。
いや、「転」になるのかな。「結」になる可能性だってある。というか「承」ってなんですか。それに「起承転結」って事の成り行きはある程度決まってますってドヤ顔されてるようで癪に障る。そもそも犯罪に起承転結を求める他力本願の私の心は完全に「結」。
よし、声に出さずに済んだ。
「出てましたよ、声。」
なんだ今のは。
「はあ…。」
ついに私も幻聴が聴こえるほどになったか…。部屋に入る前以来の溜め息をつく。
私の幻聴って男の人の声なんだ…。男の人に話し掛けられたのなんて、黒板消しを「ウィーン」って綺麗にしているときに隣の席の伊藤君から以来だけど
「ウィーン」って結構大音量だし、「クラス1声が小さい伊藤君の小声との相乗効果でなに言ってんだかさっぱりわからなかったよ伊藤君。」
確かに即座に「ウィーン」をやめてあげなかった私にも多少非はあるかもしれないけど、「ウィーン」に惨敗するほどの小声の使い手の伊藤君はもっと悪いよ。
「覚えててくれたんですね。」
結