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台風12号による豪雨で、大量の土砂が自宅に流れ込む被害に遭った和歌山県
上富田町、会社員の岩本さん(62)は、間一髪で難を逃れた。きっかけは、一緒に
暮らす雌の黒猫「アンちゃん」の鳴き声だった。岩本さんは「命があるのは
アンちゃんのおかげ」と話している。
4日午前2時半ごろ。掃き出し窓に接するベッドで寝ていた岩本さんは、
「バリバリ」という大きな音を網戸越しに聞いて目を覚ました。雷と思って網戸を
開けると、濁った水が前の溝を流れていた。この時、大きな音は雷ではなく、
裏山の木が倒れる音だったことに気付いた。
直後、同じベッドで寝ていたアンちゃんが「ギャー」と鳴き、部屋を飛び出した。
岩本さんは、アンちゃんがこれまでに聞いたことのない声を出したことに驚き、
後を追うように部屋を出た。
大量の土砂が流れ込んできたのは、岩本さんが立ち上がって動きだすのと
ほぼ同じタイミングだった。足には泥が付いていた。ベッドを見ると、直径
約10センチ、長さ約3メートルの倒木が横たわっていた。少しでも遅かったら…。
岩本さんはぞっとした。目を覚ましてから、わずか1分足らずの出来事だった。
近くの集会所で一睡もできないまま夜を明かした岩本さんは、夜明けとともに
自宅に戻った。「助かったという喜びと、もう家は使えないという悲しみが混じり、
複雑な気持ちになった」と振り返る。
ただ、アンちゃんがベッドから向かった先の台所や洗面所には、土砂の流入が
まったくなかった。反対側の客間、玄関には、窓を突き破るほどの土砂が流れ
込んでいた。
岩本さんがアンちゃんと出会ったのは5月下旬。自宅近くにある池のそばに
いたところを保護した。以来、仕事で疲れて帰宅する岩本さんを、癒やす存在に
なった。いまは100メートルほど離れた場所に住む長男の家で暮らすが、
もちろん、アンちゃんも一緒。近く、町営住宅に移るという。
「命の恩人ならぬ、“恩猫”やね」。岩本さんはそう話し、目を細めていた。
上富田町によると、台風12号による家屋への土砂流入で、市ノ瀬地区の
1世帯(3人)も自宅に住めない状態が続いている。この家族も、近く
町営住宅に入る予定。
URLリンク(www.agara.co.jp)
【「命を救ってくれた」と感謝しきりの岩本正さんと黒猫のアンちゃん】
▲紀伊民報(2011/09/24)
飼い主の命救う、黒猫アンちゃん 台風12号豪雨被害
URLリンク(www.agara.co.jp)