11/03/09 06:33:08.39 nZwum7Ga
>>675の続き
後姿からははっきりと判らなかったのだが
その女性は『 独り 』ではなかった・・・
『 としあき 』が振り返って先ず、肩を落とす結果になった理由の
一つは、その女性が小さな『 乳 母 車 』を押していた事
更に春めいてきたとは言えど、赤ん坊を夜に散歩させるなんてなんと
非常識な・・・などと割合に古い価値観を捨てきれぬ『 としあき 』が
その女性の思考に幻滅を覚えた事
そして何より肌に粟立つ思いをしたのはその女性が押している小さな
『 乳 母 車 』の中には赤茶けた『 石 仏 』が鎮座していた事
その赤茶けている『 石 仏 』がまだ新しい動物か何かの血で
ぬめぬめと光っていた事
其れらがはっきりと判った時、その女性がおずおずと自分に
拾ったタオルを差し出すのも構わず
『 としあき 』は脱兎の如く逃げ出していた