11/03/09 04:57:12.41 nZwum7Ga
幽鬼の如く『 としあき 』が青褪めたその顔を
鏡中に写したのは、3月のとある寒い夜の出来事であった
この『 としあき 』は確かに所謂『 ヘタレ 』ではあったが
それでも、この平成不況の中にあっても遠く親元を離れ
仮住まいの身分ではあるが一応、自立した生活を営んでいた
腕っ節についても、歳相応の力をつけていると自負してはいる
予備役の肩書きは伊達ではないのだ・・・まあ、臍周りについた
脂肪が証明している様に、随分と鈍ってしまっているのは
確かであったが・・・
そんな男盛りの『 としあき 』が、まるで瘧(おこり)に憑かれた
様にガチガチと歯を鳴らしている・・・灯油が切れてしまったとは
言えど、もう頻繁にストーブを焚かずに済む季節になってはいるのだ
一体全体、『 としあき 』の身に何があったのだろうか?
話 は 数 十 分 前 に 遡 る ・ ・ ・