11/09/28 14:24:05.47 i3NYETrs
金子:ただ、練習番号W ちょうど、つまりノヴァーク版でシンバルとトライアングルが入るところには、スコアの上に欄外に、再度
“Trompeten Portamento”と書き込んであるんです。おそらく所定の位置に書ききれないから、上に書いたのでしょうけど。
朝比奈:これは、この16分音符ふたつをていねいにやってもらいたい、いうことだと思います。
金子:のばす、というか……。
朝比奈:いや、ここはヴァイオリンが刻んでるからテンポは動かせませんが、ヴァイオリンの3連音符の中に、トランペットの音が
ふたつ入っているわけですから、多少のことはできる。そのことは見れば分かるんですけどね。演奏上では、ヴァイオリン
がきちんと3連音符で弾かないと、とてもやりにくいんです。管と低弦楽器の16分音符がはまらない。
【中略】
棒は(ヴァイオリンの固まりふたつで)4つ動かしていくことで、16分音符の形がみんなに聞こえるように、それこそ、
トランペットを“sempre”で響かせたいと思ってやってるんです。
しかし、こうしたときに「ポルタメント」というのかなあ……。
金子:<5番>のルバートとか、このポルタメントのような書き方が、ブルックナーの場合ちょっと普通と違いますよね。
朝比奈:やっぱり、イタリア語の文法をちゃんとやらなかったんですよ(爆笑)。Portare なんてのはごく普通の動詞で、それの
形容詞型ですから、そんなに難しい言葉じゃない。まあブルックナーは、(ポルタメントをポルタートのつもりで)
そう思って使ってるんでしょう。