11/02/12 17:18:37 dd/Vt5hP
再び歌屋論争について・・・ソニープロデューサー酒井政利自伝本「プロデューサー」より抜粋
65年、テレビ座談会で淡谷のり子と対談。淡谷のり子は当時、過激なほど歌謡曲批判、歌手批判してた。
「今の若い人たちは歌唱力もハートもない。歌手とは呼べない、あれは歌屋です。」
美空ひばりを筆頭に人気歌手たちが次々に批判の的になっていた。
「歌はハートが大事。また正確に歌ってこそ歌なんです・・・」まさに正論だった。だが議論が始まると、
私は憤りに近い反発も感じた。
「大先輩が若い人を批判することはたやすいことです。反論ができない。でも歌謡界は年功序列の世界ではない。
ヒット曲のない歌手は骨董品のようなもの。歌はヒットすることで、初めて社会的な拡がりを持つ・・・」
と、私は反論し、ストレートに「いくらベテランでも、ヒットしなければ、一種の養老院歌手だ。」と言ってしまった。
「あなた!なんて失礼なことを言うの!」淡谷さんは怒って退場してしまった。
この歌屋論争は大変な盛り上がりだった。
だが、私が言ったことが間違いだったとは、当時もそうだが今も思ってない。もちろん、いい歌は歌唱力も素晴らしいもので
あるべきだ。しかし、歌唱力が素晴らしければ、ヒットなどしなくてもいいというのはやはり間違いだ。大衆の支持を
受けてこそ、歌は本来の歌謡性に達したと判断すべきなのだ。