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実話ナックルズ 2004年7月号
J D T 群馬県T部落 文・上原善広
同 和 地 区 指 定 さ れ て い な い 理 由 あ り の T 部 落
群馬県T駅に降り立ったのは午後3時くらいだろうか。私は駅を出ると横を通り
駅舎の裏側に出た。
部落は必ずしも一律全てが悪条件な場所にあるのではない、ということを以前
に書いたが、ここはそれとは正反対。いわゆる今までの偏見どおりの、条件が悪
悪い部落に入るか。 以前の地名は「××町」といい、道端の案内板によると、
昔は湿地帯の中を曲がりくねった道が続いていたので、それで××とつけられた
と、道端の案内板は解説している。
ここは非常に説明しにくい部落だが、非常に貴重な部落でもある。なぜなら
、ここから女性が一人、皇族に嫁いでいるからである。そもそもこの土地につ
いては、ある研究者の方に紹介していただいて知ったのだが、最初は私も半信
半疑であった。しかし今回実地に歩いててみて、それを確信するに至った。
まず、日本有数の企業N社がここから誕生しているのだが、女性はその社長
の娘だった。地元では「粉屋の娘」と呼ばれていたという。何代にもわたって
記録的な成長を続けてきたこのN社だが、それはやはり「差別からの脱却」が
まず根本に、怨念のようにあったからであろうと思う。江戸期から商いに奮闘
してきたその歴史は、彼の地にあるN記念館でも辿ることができる。老舗の醤油
屋も現在彼の地にあるが、その醤油屋から分家してできたのがN社である。「こ
な屋」と「醤油屋」はいずれも女性の一族の経営で、 故に彼の地ではうどんが
名物となっているが、これは不味いのであまり有名でない。醤油もそう良質な
醤油でなかったと聞いている。