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就任から日の浅い野田首相と玄葉外相が、国際会議を除く初めての外国訪問先として、
そろって韓国を選んだ。
かけがえのない隣人同士であり、日本は韓国を重く見ている。そんなメッセージを
送ることができたのはよかった。
世界は大きく動いている。なのに、前の菅政権の時期は外交の停滞が目についた。
野田政権は多角的な外交をどんどん進めてほしい。
そういう意味では、今回の首相訪韓は上々のすべり出しだったといえるのではないか。
きのうの李明博大統領との会談で、経済や北朝鮮問題をはじめとして、日韓がさらに
深い協力をすることを確認した。
首脳間の頻繁な行き来が大事だということでも一致した。今度は李大統領にできるだけ
早く日本に来てもらいたい。
日本と韓国はいま、ライバルであるとともに、世界的な課題にともに取り組む間柄に
なっている。そのあり方を探るため、両国の有識者による第2期共同研究プロジェクト
立ち上げに合意したのもいいことだ。
こうした課題にのぞむにあたって、ことに日本には、スピード感が求められよう。
たとえば植民統治時代に日本に持ってきた朝鮮王朝の図書を今回、韓国政府に
引き渡したのはいいが、本来なら、「韓国併合100年」の節目だった昨年に渡しておけば、
もっと喜ばれていたはずだ。
外国との自由貿易協定の戦略でも、日本は韓国に大きく後れをとっている。
日韓の間にもちろん、わだかまりも依然として少なくない。折にふれて竹島問題は火を噴くし、
歴史認識や教科書をめぐっても、溝はなお深い。
大切なのは、ナショナリズムをあおって刺激しあうのではなく、とくに政治の世界で
立場の違いを上手に管理することだ。
従軍慰安婦への個人補償の問題がいま改めて出ている。韓国政府は日本に協議を求め、
日本政府は1965年の日韓協定で解決したとして拒んでいる。
ただ慰安婦などの問題は90年代あたりから浮上した。「65年時点ですべて解決済み」と
単純に言いにくい側面があるのも事実だ。だからこそ、日本で官民協力の「アジア女性基金」の
活動が行われもした。そんな背景は知っておかねばなるまい。
日韓を取り巻く東アジアは、中国の台頭や北朝鮮の不安定から、いわば動乱期にある。
そして欧州経済の動揺は世界にどう及ぶのか。時代は賢い日韓の連携をますます求めている。
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