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「セシウムさん」は氷山の一角
<弱者イジメ、差別発言を笑うセンス>
東海テレビの情報番組「ぴーかんテレビ」が岩手県産米のプレゼント当選者を「怪しいお米 セシウムさん」と
テロップで表示した問題は拡大の一途だ。
同局への抗議は1万件を超え、降板するスポンサー企業が続出。今月11日には民放連も
緊急対策委を開き、徹底追及の構えだ。
東海テレビは「リハーサル用のダミーテロップが操作ミスで送出された」と平謝りだが、ダミーであれ、
放射能問題をジョークに落とすセンスはマトモじゃない。知性のカケラも感じられないし、笑いとしても低レベルだ。
ところが、弱者を笑いモノにする感覚は、テレビの制作現場ではむしろ当たり前だという。
「情報番組やバラエティーのスタッフには“テレビマンはジョークを飛ばして現場を和ませてナンボ”
みたいな風潮がある。男社会の制作現場で笑いが取れるネタは限られていて、代表的なものが下ネタ。
それと差別的なネタです。だから性器の俗語や出自を揶揄(やゆ)するような話題が飛び交っている。
どんな中身でも、内輪で笑いを取れば評価されるいびつな社会なのです。“ここは幼稚園か?”と
錯覚してしまう知的レベルの低い制作現場もあります」(ある制作会社社員)
最近のキー局は上場しているため、コンプライアンスに厳しい社員がいる現場ではタガが外れるケースは
少ないという。しかし、下請けや関連業者だけでリハーサルの準備をしたり、今回みたいにダミーの
テロップを作る際にモラルの低さが顕著になる。
フリーディレクターの中川勇樹氏が言う。
「ダミーテロップの制作は若いアルバイトにもできる単純作業。ベテランスタッフの中にはイヤイヤ
請け負うのもいます。だから問題も起きる。画面に映らないことが前提なので、退屈しのぎに
ブラックジョークを書いて遊ぶ人もいます」
表ざたになっていないだけで、放射能を内輪ネタに悪ふざけをしていた局はほかにもあるという。
米を侮辱された岩手県の達増拓也知事が「人の心の闇の奥深さを見せつけられた感じがする」と憤ったが、
“セシウムさん”のテロップを作ったスタッフに心の闇はないだろう。頭に闇を抱えているだけだ。
恐らくこんな騒ぎになっても、何が悪かったのか、いまだに理解できていないに違いない。
そーす ゲンダイネット
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