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生前の被害者渡邊泰子さんの投稿。
朝日新聞/1980年5月5日/声欄
<理性を失った米国民の判断>
アメリカの無謀な人質救出作戦に、全世界があぜんとする中、当のアメリカ国民の中には、
この強行策を是認している人が多いという。そこには、国際法上から、また、成功の可能性か
ら、作戦自体は愚挙とみなされないという考え方があるともいわれる。
だが、行為の原因の正当性を主張することは。今回のように、その影響が極めて重要な場合、
妥当であるとは考えられない。すくなくとも、今世紀のプラグマティズムの母体であるアメリカ
で、こうした議論がなされているということは、判断が、いまや感情的なものになっているこ
とを示すものではないだろうか。
効果の有用性のみをもって、真理の価値を判断するという、プラグマティズムの思想的基礎
が、正しいか否かは議論の余地がある。だが、抽象的議論をする場合は別としても、効果の有
用性が価値として評価されるなら、それは、アメリカが最もよく理解しているはずである。
それにもかかわらず、各国に対して、今回の作戦を批判する資格はないというアメリカ国民
は、もはや、いらだちから理性的判断を失っている、としかいえないのではないか。
日本や西欧諸国が、これを戦争行為と決めつけるのは避けるとしても、軽々しく、「人道的
見地から、心情的に理解できる」とい態度をとってよいかどうかは疑問である。