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読売新聞 5月10日(火)22時28分配信
福島県川内村は、菜の花畑や豊富な山菜が見られ、初夏の色彩に包まれていた。
穏やかな風景を前に、防護服に全身を包んだ住民は、
やりきれない思いで通帳や衣類などを袋に詰めていた。
午前11時過ぎ、村民体育センターからバス5台に分乗して出発。
約20人の報道陣も防護服を着て別のバスに乗り込み、後に続いた。
気密性の高い防護服は暑くて息苦しく、汗ばんだ蒸気でゴーグルは曇る。
新緑の山道を約30分走ると、吉野田和地区に到着した。10世帯17人が帰宅する地区だ。
同県矢吹町で避難生活を送る秋元昭一さん(60)は自宅前で一度立ち止まり、
恐る恐る犬小屋に近づいた。
震災後、ペットの犬2匹に餌を与えるため自宅に数回戻ったが、この40日間、世話ができなかった。
今回の帰宅の目的は、愛犬の様子の確認だった。
「ジョン」。
1匹の名前を静かに呼んだが反応がない。近づくと、2匹は体を丸くして固くなって死んでいた。
「助かる命だったのに、本当にごめん……」。
秋元さんは肩を振るわせ涙を流しながら、亡きがらをそっと抱き、わらを敷いた穴に埋めた。 .
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