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東京電力の福島第二原子力発電所で働く女性社員が、
東電本社の幹部に、現場の状況を電子メールで伝えてきた。
事故を起こした企業の社員であり、被災者でもある立場の苦しさもつづっている。
両親の行方はわからないという。
メールを受けた幹部はかつて女性の上司として第二原発で働いていた。
幹部からメール転送された東電関係者が、社員の名と所属を伏せて記者に見せた。
関係者は「いまの状況で見せることが適切なのか迷ったが、
社員の希望でもあり、現場の様子を知る参考にしてほしい」と話す。
メールの送信日時は23日正午過ぎ。送り主は46歳の事務職の
女性社員だ。次のような内容でつづられている。
「1F(福島第一原発)、2F(第二原発)に働く所員の大半は地元の住民で、みんな
被災者です。家を流された社員も大勢います。私自身、
地震発生以来、緊急時対策本部に缶詰めになっています。個人的には、実家が(福島県)
浪江町の海沿いにあるため、津波で町全体が流されました」
「実家の両親は津波に流され未(いま)だに行方がわかりません。本当なら、
すぐにでも飛んでいきたい。でも、退避指示が出ている区域で立ち
入ることすらできません。自衛隊も捜索活動に行ってくれません。こんな精神状態の
中での過酷な労働。もう限界です」
福島第一、第二原発では、2010年7月時点で東電の社員約1850人、関連会社や
原発メーカーなど協力企業の社員約9500人が働いている。東電によると、
9割が福島県内在住で、そのうちの7~8割は原発周辺の双葉地域の住民。
事故後は東電、協力企業の地元社員だけでなく、全国から集められた社員らが交代で
作業している。
「被災者である前に、東電社員としてみんな職務を全うしようと頑張ってます。
特に2Fは、自分たちのプラントの安全性の確保の他に、1F復旧のサポートも
同時にやっていた状況で、現場はまるで戦場のようでした。
社員みんな心身共に極限まできています。どうかご理解下さい」
「今回の地震は天災です。でも、原発による放射性物質の汚染は東電がこの
地にあるせいです。みんな故郷を離れ、いつ戻れるかどうかもわからない
状況で、不安を抱え怒りを誰にぶつけてよいのか分からない! それが今の現実です」
社員は「この現実を社内外に届けてください」と伝え、本社の支援を求めている。
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