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アダルトビデオ(以下AV)業界の中でも、日雇いで性を売り、過激なアダルト企画のために使われ、
捨てられていく「企画女優」と呼ばれる女性たちが置かれた現実を、優しいまなざしながらも、
赤裸々に描き出した映画『名前のない女たち』の主演を務める安井紀絵と佐久間麻由が本作について語った。
年間に誕生する女優は、合計で1万人以上ともいわれているAV業界。人気が出なければ使い捨てにされてしまうという、
残酷な現実を抱える「企画女優」を演じるにあたり、佐久間は「彼女たちに尊敬の気持ちを持たないと演じられない。
結局はきっかけなんだと思います。そういう仕事をされている方とお会いしたことがあるんですが、していることが
違うだけで自分と全然変わらない」と断言。
すると安井も「この映画をやる前までは、AVの世界はまったくわからなかったんですけど、
本当に普通の女の子がやるんだなと。わたしは寂しがり屋なので、(安井演じる企画女優の)
ルルちゃんみたいに、必要とされるとうれしいと思う気持ちはわかります。ファンの方から本当に
わずかな一言をいただけるだけで、落ち込んでも頑張ろうと思えます」と続けた。
本作で描かれる、いたって普通の女の子たちが傷つき、悩み、
居場所を求める姿に、女性として共感を抱いているようだ。
そんな2人の絡む本作のハイライトに、互いに裸になってビールをかけ合うシーンがある。
AV女優としての閉塞(へいそく)感が2人を包む中、つかの間の安らぎを感じるという非常に
重要な場面で、そこで見せる、あまりにも無防備な2人の表情は、かつてピンク四天王と
呼ばれた鬼才・佐藤寿保監督の演出によるものだ。
通常、映画撮影などで裸になる際には、「前張り」と呼ばれるものを
張り付けるのが一般的だが、この撮影ではそれを使用しなかった。
佐久間が「ほかの作品でしたことがあるんですが、やはりあるとないとでは
気持ちが違いますね。前張りがあると、演技なんだと気持ちが守りに入りますよね。
多分あのシーンは演技を超越したかったんだと思うんです」と語ると、
安井も「現場もピリピリしている、気迫のあったシーンでした。
カメラも今までと違い3台使って、10分くらい回していたので、失敗したら大変だなとドキドキでした。
でも不思議と解放感があったんです。佐藤監督の演出に助けられました」と充実感に満ちた表情。
企画女優について描くというセンセーショナルな面に目が
奪われがちな本作だが、青春映画としての側面も垣間見えた。
ソース(シネマトゥデイ):
URLリンク(www.cinematoday.jp)