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天皇陛下は23日、77歳の誕生日を迎え、これに先立ち記者会見に臨まれた。
―問1 今年は日本人2人のノーベル化学賞受賞など、
晴れやかなニュースの一方、国内では高齢者の所在不明問題、対外的には
尖閣諸島問題などがありました。この1年を振り返り、
こうした社会問題や近隣諸国との友好・交流についてお考えをお聞かせ下さい。
ご回答
陛下 この1年を振り返りますと様々なことがありました。
質問の中で言及された高齢者の所在不明問題は、
私自身、思いも掛けなかったことで驚きました。
私はこれまで人々が無事に高齢に達することを喜ばしいことと思っていましたが、
元気に過ごしていると考えられていた高齢者の中に、
その生死が分からない状況にある人々がいることが明らかになったことは非常に
残念なことでした。高齢化の進む社会にあって高齢者がしっかり守られていくことは
極めて大切なことと思います。医療や介護に携わる人々の不足など様々な
困難もあることと察せられますが、高齢者のために力を尽くす人々が増え、人々の
老後が安らかに送れるようになっていくことを切に願っています。
今年は台風の上陸が少なく、死者を伴うような災害はありませんでしたが、梅雨期に
各地に大雨が降り、死者を伴う災害が起こりました。
また10月には鹿児島県の奄美大島を、この地域の人々がこれまで
経験したことがないような激しい豪雨が襲い、死者を伴う大きな災害をもたらしました。
亡くなった人々の家族の悲しみ、住む家を失った人々の苦しみに深く思いを
致しています。交通や通信が途絶した中で、かなりの時間を
過ごさなければならなかった島民の不安な気持ちはいかばかりであったかと思います。
40年以上も前に、私どもは奄美大島を訪れ、当時の名瀬市から、山道を通って、この
度大きな災害を受けた当時の住用村に行きました。当時を思い起こすとき、
このような道路が寸断された山地の多い島で、
救助活動に当たった人々の苦労がしのばれます。
夏は各地で猛暑が続き、多くの高齢者が熱中症で亡くなったことは痛ましいことでした。
一人暮らしの高齢者や農作業中の高齢者が、熱中症にかかっていることを
気付かずにいたために亡くなっている例もあることから、
熱中症に対する知識を深め、皆で健康に気を付けていくことが重要なことと思います。
猛暑は農業にも大きな被害をもたらし、農業に携わる人々の苦労が察せられます。
農業関係の大きな出来事としては、宮崎県で発生した口蹄疫(こうていえき)
があります。長年にわたって大切に育ててきた牛や豚をことごとく
処分しなければならなかった人々の悲しみ、ワクチン接種や殺処分など危険を伴う
作業に携わった獣医師始め多くの人々の労苦に深く思いを致すとともに、
この被害を他県に及ぼすことなく食い止めた県民の協力を深く多としています。
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