10/11/15 02:26:17 0
まるでKOされたボクサーのような顔で、上野が準決勝の畳を降りてきた。
開始早々、北朝鮮のキム・スギョンにこぶしで左目付近を殴られる信じ難い展開。
「グーで5、6発も殴られた」と振り返る。
うずくまって痛みをこらえ、腫れ上がったまぶたを引っ張って目を見開こうとした。
組み手争いで指が相手の目に入ることはある。
だが、握りこぶしで連打するなどという行為は柔道にはない。
審判が反則を取らなかったのが不思議だった。
園田監督は五輪を連覇した姉の雅恵さんを引き合いに出し、
「姉ちゃんなら殴り返していた」とユーモアに包んで憤りを表した。
以降、相手が二重に見えたと言う。「イラッときて、何が何でも勝ってやろう」と攻めたが
冷静さは失わない。延長の末に相手が片側の襟を同時につかんで技を掛ける反則で
指導を受け、勝負が決まった。決勝は互いに手の内を知る台湾の王沁芳と対戦。
内またで崩し、寝技に持ち込んで圧倒した。
9月の世界選手権でも準決勝で首を痛めながら、粘り強く戦いタイトルを連覇。
思いやりがあり優しい心の持ち主は、実は逆境に立ち向かうたくましさを秘めている。
「どんな状況でも勝つことがチャンピオンとして大切だと思う」と少し胸を張った。
青黒く内出血した向こう傷が、また自分を強くしてくれたと思っている。
ソース(時事ドットコム):
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