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◇菅政権、同盟頼み
日米安全保障条約の改定から50年。日米同盟を外交・安保政策の基軸に据えてきた
日本は、東アジアの安全保障環境の大きな変化に直面している。
中国は、領有権問題で近隣国への攻勢を強める。
一方、米国は対中政策で強硬姿勢にかじを切り、尖閣諸島沖の漁船衝突事件を
機に、アジアの安全保障秩序の形成により深く関与する構えを見せ始めた。
米中がアジアの主導権を争う中、日本外交は行く先を見定められずにいる。【「安保」
取材班】
◇対米、試された危機対応力
「中国は『力』のみを信じる国だ。今回の尖閣危機で日本の対応をテストしたのだ」
菅直人首相が日中関係の立て直しに躍起だった10月下旬、
米議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」
のラリー・ウォーツェル氏は毎日新聞の取材に中国側の見方をそう分析した。
駐在武官として北京の米国大使館に勤務した中国通だ。
尖閣事件で逮捕された中国人船長の釈放決定前の9月23日、
クリントン米国務長官は前原誠司外相との会談で「(尖閣に)
日米安保条約は適用される」と言明。菅政権は同盟の力で中国をけん制する態勢を
整えた。
「米国は慎重に事態を見極めていた」。米国の安保政策に影響力を持つ
米シンクタンク「新米国安全保障センター」のパトリック・クローニン上級顧問が、
オバマ政権内の様子を解説した。米国は今回の危機を単発の事件とはみておらず、
(中国の)潜水艦対策の研究に着手したという。
クローニン氏は「中国によるテスト」とは別の「二つのテスト」の存在を指摘した。
それは「米国による菅政権の指導力と、普天間移設問題で揺らぐ
日米関係のテストだった」と言う。
米中双方から試された日本。米国のアジア外交に詳しいリチャード・ブッシュ
元米国在台湾協会理事長は「日本は尖閣危機で米国の(東アジア情勢への)
より強い関与を引き出すことに成功した」とみる。
普天間移設問題を巡る鳩山前政権の迷走で日米関係が揺らぎながらも、
菅政権が同盟の力を頼みにしたことで、米国は尖閣危機をアジア回帰の
好機ととらえたとの見方だ。
だが、領土問題とは別次元である東シナ海のガス田開発で日中が
衝突したら、米国はどう対応するのか--。
「米国に日本支援の法的義務はない。日中双方との関係を維持したい米国は争いに巻き
込まれたくない」(ブッシュ氏)。同盟頼みの日本の限界は見透かされてもいる。
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