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取材で知ったことを報道の目的以外に使ってはいけない。ましてや、捜査対象となっている相手に伝えるとは、
報道の基本を踏み外している。警視庁が大相撲の野球賭博問題で家宅捜索に乗り出すという情報を、NHK
スポーツ部記者が、渦中にあった時津風親方に携帯メールで送っていた。今年7月、親方の部屋が捜索を受ける
9時間前である。親方は当時、賭博に関与したとして捜査の対象になっていた。警視庁はこの記者から任意で
事情聴取し、証拠隠滅や犯人隠避などにあたらないか調べている。そうした刑事責任の有無を別にしても、記者
の行為は重大な問題をはらんでいる。記者はNHKの内部調査に対し「関係づくりに生かそうと思った」「手柄
になるかもと考えた」と話している。
NHKでは2年前、記者ら3人が特ダネ情報を入手して一足先に株を売買するインサイダー取引が発覚した。
その後まとめた「新放送ガイドライン2008」にも「業務上知ることのできた機密や個人情報、プライバシー
などの情報を、決してほかに漏らすことはしない。情報漏洩(ろうえい)は重大な不正行為であることを認識し、
適正に管理する」とうたわれている。明白な違反だ。メールを送った記者は、他社の記者から聞いた捜索情報だった
と説明しているそうだが、記者だから知り得た情報である重大さに変わりはない。新聞や放送の記者は、知り得た
情報を読者や視聴者に届けることを使命としている。法廷や競技場の最前列で取材できるのは人々の知る権利に
応えるためだからこそだ。決して記者個人や所属する組織の利益のためではない。今回のような逸脱が続けば、
報道機関全体への信頼がゆらぎ、ひいては自由な報道で国民が情報に接する民主主義の根幹を揺るがしかねない。
NHKは警視庁の捜査を待つだけでなく、第三者委員会を設け、問題の記者をふくめ報道局全体で過去に情報漏洩
がなかったか調査すべきである。
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