10/07/20 16:54:18 0
By 六九郎 (日本) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: シンデレラ・サマー feat.初音ミク (CD)
孤高のアーティスト、中村イネが膨大な数のネットアナーキスト達の不当な暴挙により叩き潰されて一年余りが経つ。
そもそもカリスマの喪失という物語はロックの歴史には少なからずついてまわるものだ
カリスマに酔いしれながらも、その逃れられない運命を予見してしまいどこか冷めててしまっている自分…
そんなパーソナリティーは最早クリシェといっていいほどありふれており、そういう意味において中村イネの喪失も諦められると思っていた
しかし、にも関わらず私のショックは予想を超えて計り知れないものとなった
なぜならば、中村イネの喪失はようやく花開いた「ゼロ年代的なもの」の黄昏をも同時に意味していたからである
彼は来るべき１０年代への希望の架け橋として必要不可欠な存在であったはずなのに
カリスマと文化の両方を失ってしまった私の感情の矛先がネットアナーキスト達に向くのはある種必然だった
（Kids are not alright…ピート・タウンゼントは間違っていたのか
いや、誰がこんな未来を予測しえよう）
「アナーキスト」、とはいえそこにはかつてのパンク勃興期におけるシチュアシオニスト的知性の残滓などは望めない
彼らの行動原理はただただ矮小なルサンチマンのみである
（だからこそ権威を否定しつつも権威に擦り寄ってアウトサイダーを叩くという矛盾が成立する）
こんなに不毛で悲しいことはない
しかし、2010年
中村イネは戻ってきた
こんなに喜ばしいことはない
正直このＣＤのクオリティはどうかと思うが、彼が戻ってきた事それ自体が祝福すべきものだ
これからの活動に期待を寄せて評価させていただく
ここから１０年代が文字通り自由（＝１０）な、実りあるディケイドになることを願って
なんだ？この強力な電波は・・・。