11/07/30 12:20:27.24 PBcvYVo30
日が暮れる頃、避難所に戻りました。壁際に座り、被災者が大勢行き交うのを眺めていると、近くにいた家族の会話が聞こえてきました。
女の子は涙混じりの声で、残してきたペットを避難所に連れてきたい、と母親に訴えていました。母親は困った顔をして、
ここには連れて来るできないと娘に諭します。なんで? 皆の迷惑になるから。ちゃんと面倒みるもん。そういう問題じゃないのよ。
娘は激しく泣き出します。母親は娘を胸に抱きしめて、また新しい猫をかってあげるから、と言いました。買ってあげる、飼ってあげる、両方の意味でしょう。
それきり娘は嗚咽を漏らすだけで、何も言いません。母親もまた黙って娘を両腕と胸で守り続けました。
暫くして顔をあげた女の子の顔に涙はありません。次、かうときは、最後まで面倒みる、と言いました。母親はそれに微笑みで返事をしました。
君が見捨てたその子は他の動物の餌食になったかもしれないし、飢え死にしたかもしれないよ? と言い出したくて堪らない気持ちになりましたが、
じっと黙り、明日もまた猫を探しにでかけよう、あの女の子が可愛がっていた猫に会えたらいいな、と思いました。