11/12/01 01:54:40.02
岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)は、10月28日に開催した国家戦略会議で、
日銀による50兆円規模の外債を購入する基金創設を提言した。円高是正のためだ。
これに対し安住淳財務相は11月22日の衆院財務金融委員会で
「結果的に為替介入と同じになる。これまでのわれわれの考えとは違う」と慎重だ。
この提言で円高是正効果が期待できるかを考えてみたい。
その前に、今の為替介入の仕組みを見よう。
為替介入とは財務省の外為資金で外債(ドル建てが多い)を購入することだ。
購入するための原資は政府短期証券の発行である。カネを借りて財テクしているのだ。
この外債の購入と政府短期証券(為券)の発行事務は財務省ではなく
日銀が政府(財務省)の代理人として行っているので、
民間市場から見るとあたかも日銀が自己勘定で行っているようにみえるが、
購入・発行の指示は政府が出しており、日銀はあくまで事務代行にすぎない。
1999年より前は、政府短期証券は日銀引き受けされていた。
このため、介入額に相当するマネタリーベースの増加があった。
通常はこのマネタリーベースの増加を相殺するために日銀は売りオペを行う。
これが不胎化オペだ。このオペを行わないときには非不胎化といわれる。
しかし2000年以降、政府短期証券は市中公募されている。
つまり介入があってもマネタリーベースに変化がないわけだ。
本コラムの読者であれば、為替は2つの通貨の交換比率であって、
その価値は両通貨量(マネタリーベース)の比率でだいたい決まることをご存じだろう。
今の為替介入は需給関係を変え一時的に為替を動かすが、
通貨量の比率は変わらないので、その効果はすぐに消える。
しかし、岩田提言の場合、日銀が基金を持つために、外債の購入がそのままマネタリーベースの増加になる
(1999年より前の為替介入と同じ)。
そのため、通貨量の比率が変化し、為替は長い間変わったままの状態を維持できる。
つまり、「介入」の効果が持続するのだ。
この観点からいうと、安住財務相の答弁は間違っている。
一時的な需給関係では為替介入と同じだが、長期的な為替への効果という点で岩田提言のほうが勝っている。
質問者の西村康稔氏(自民党)が突っ込めなかったのは残念だった。
結局、安住財務相が財務省による効果のない為替介入を守ったことで、財務省は利権を確保したことになる。
為替介入という法律の権限を財務省は手放さない。
為替介入は民間金融機関に運用ビジネスを与えており、それで財務省は天下りその他の利権を得ているからだ。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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