11/11/23 13:46:25.46
>>1のつづき
一方、1~4号機は非常用ディーゼル発電機がすべてタービン建屋の地下1階に設置されてい
たため水没し、冷却用の海水を汲み上げるポンプも常用電源のポンプと同じく海側に並んで
いたため津波によって壊滅した。外部電源を取り込むための電源盤も水没し、電源車を接続
することができなかった。
直流電源(バッテリー)も1、2、4号機は地下にあったので水没した。3号機はたまたまスペ
ースがなくて中2階に置いてあったことが幸いして生き残ったが、充電を取り込む所が水没
したため8時間しかもたなかった。
ちなみに、福島第二原発と女川原発は外部交流電源が1回線のみ健全で、東海第二原発は外部
交流電源をすべて喪失したものの非常用ディーゼル発電機が健全だったため、いずれも“
首の皮1枚”で事故を免れた。
ということは、非常用電源の冷却用ポンプが常用電源の冷却ポンプの隣に並んでいる「設計
思想」そのものがおかしいのではないか、という疑問が出てきた。“たまたま設計時になか
った設備”が、生き残った原子炉ではカギとなっていたからだ。そこで原子力安全委員会の
「設計指針」を読み直してみたら、なんと、こんなことが書いてあった。
「長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧または非常用交流電源設備の修復が
期待できるので考慮する必要はない」
「非常用交流電源設備の信頼度が、系統構成または運用(常に稼働状態にしておくことな
ど)により、十分に高い場合においては、設計上、全交流動力電源喪失を想定しなくても
よい」
私は、開いた口がふさがらなかった。これが、実は直接の事故原因だったのである。つまり
、交流電源が全部喪失する事態は想定しなくてよいと設計指針に書いてあるから、東電も
日立も東芝も、そのとおりに原発を造ったのだ。
ところが今回は、すべての交流電源が長期間にわたって喪失した。このためECCS(緊急炉心
冷却装置)やホウ酸水注入系など原子炉で想定される最悪事故に備えた安全装置が1つも
機能しなかった。だから原子炉や使用済み燃料プールを冷却することができなくなってメル
トダウンと水素爆発が起き、放射性物質が飛び散ってしまったのである。
つまり、福島第一原発事故は大地震・大津波による「天災」ではなく、誤った設計思想に
よる「人災」だったのだ。なぜ原子力安全委員会がこんなバカげた文章を入れたのかわから
ないが、その担当者を明確にして、きちんと責任を取ってもらわねばならない。
※SAPIO2011年12月7日号
-以上-