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生活保護の受給者数が過去最多になった。背景には働く能力のある中年層の急増があるが
、失業してひとたび保護を受けると、意欲があっても再就職のハードルは高い。東京23区
で最多の約2万5000人が受給する足立区で、現状を追った。【石川隆宣】
10月末。中高年の受給者を対象にした区の就職面接会が開かれた。専門家による面接
研修などをセットにした全国初の取り組みで、8月に続き2回目。32歳から63歳までの
36人が参加し、14社が面接を行った。警備や清掃、タクシー、建設関係の職が多い。
「自分は中間層だと思っていた。生活保護という制度があるのも知らなかった」。エント
リーシートの書き方を真剣に聞いていた男性(49)は受給して2年が過ぎた。大学の工学
部を卒業し、外資系企業でシステムエンジニアとして働いた。一時は年収が800万円あっ
たが、会社は国内から撤退。派遣で働き始め、08年秋のリーマン・ショックを機に収入が
途絶えた。車いす生活の父親もおり、賃貸住宅の立ち退きを迫られた時、生活保護を知って
申請した。
これまで70社に応募し、すべて不採用。短期のアルバイトでつなぎながら職種を広げて
探すが、保証人がいないことや年齢がネックになっている。面接で「生活保護を受けている
」と告げると、相手の態度が変わることもあるという。今回の研修には、すがるような気持
ちで臨んだが、すぐには決まらず、パート職の2次面接を待つ段階だ。
元コンビニ店員の30代男性は「いくらバイトしても自立できる収入にはならない。その
上、収入分が保護費から引かれるので、意欲が薄れそうになる」と言う。交通事故で足に
けがをして店を辞めた。この日の面接会では事務職に申し込んだが「未経験の人を育てる
余裕はない」とやんわり断られた。
会場にブースを設けたタクシー会社は「予想以上に良い人材がそろっていた」と驚いた。
しかし、参加企業はなかなか集まらない。「生活保護受給者というだけで敬遠されるのだろ
うか」と区の担当者は嘆く。
福岡県出身の男性(52)は塗装業を営み5人の従業員を雇っていたが、不況で受注が
減り廃業。ホームレスも経験した。「生活保護のおかげでどん底から抜け出せた。同時に
後ろめたい気持ちもある。仕事を見つけて自立したいのに」
8月の研修には59人が参加したが、本採用は1人。今回は当日中に就職が決まった人は
ゼロだった。足立区の高橋秀幸・自立支援課長は「就労にはきめ細かな支援が必要だが、
保護の新規申請手続きに追われ、現場は手いっぱい」と話す。
面接訓練などの就労支援は各地で行われている。厚生労働省によると、昨年度支援を受け
た受給者は全国で8万8631人いるが、このうち職を得られたのは35%、生活保護から
抜け出せた人は6%にとどまる。
埼玉県で生活困窮者を支援するNPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典・代表理事は「
雇用がなく格差と貧困が広がる現状で、自立できる収入を得られない人が多いのは当然。
行政は仕事おこしや専門家によるマンツーマン支援の体制づくりを急ぐとともに、生活保護
を受給しながら働く道をもっと積極的に認めていくべきだ」と訴える。
ソース:毎日jp
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