11/11/12 00:17:37.00
「一日だって待てない」。
前日から延期された野田佳彦首相による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加表明を受け、産業界は歓迎する一方で、協定の早期成立を求めた。
日本企業は貿易自由化の遅れだけでなく、超円高や東日本大震災後の電力不足などの「六重苦」による競争力低下にあえいでいる。
このままでは生産拠点の海外移転による空洞化が加速し、日本の成長力がさらに低下する恐れがある。
日本自動車工業会の志賀俊之会長は11日、「協定の早期実現に向け、積極的な取り組みをお願いしたい」とし、交渉参加以上の成果を求めた。
「TPPに参加しなければ日本に将来はない」(ファーストリテイリングの柳井正会長)
「すべてを海外に移してしまう事態を招きかねない」(NECの遠藤信博社長)
産業界の声は悲鳴に近い。
日本は、経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)の締結で出遅れた結果、ライバルの韓国企業などに対し、極めて不利な条件での戦いを強いられている。
韓国は7月に欧州連合(EU)とのFTAを発効させ、米韓FTAの発効も国内での批准を残すだけだ。
貿易額全体に占める協定締結国の割合は約36%に上り、日本の約18%を大きく上回る。
交渉中を含めると韓国は約61%に達し、約37%の日本との差はさらに広がり、貿易条件で突き放されかねない。
薄型テレビや自動車など商品力でも格段に進化してきた韓国製品の関税がゼロになれば、日本製品はとても太刀打ちできない。
EUで10%、米国で2.5%の関税を課せられている自動車業界は、「韓国車と戦える対等な条件整備をしてもらいたい」(トヨタ自動車の小沢哲副社長)と訴える。
企業の日本脱出の動きは加速するばかりだ。
東レは、付加価値が高く成長も期待できる炭素繊維の工場を韓国に建設することを決めた。
これまで国内生産を優先してきた製品にも海外移転が広がっている。
鉄鋼業界では、粗鋼生産の要である高炉の建設には数千億円の資金が必要で、「生産拠点を海外に移すことは簡単ではない」(大手幹部)といわれてきた。
だが、合併に踏み切る新日本製鉄と住友金属工業は、「門外不出の高炉を初めて海外に建設することを視野に入れている」(業界関係者)とされる。
空洞化が進めば、国内の仕事は失われ、雇用や賃金が悪化し個人消費は縮む。
設備投資も落ち込み、日本の成長力低下に歯止めがかからなくなる恐れがある。
日本企業は、(1)貿易自由化の出遅れ(2)超円高(3)電力不足(4)厳しい雇用規制(5)高い法人税(6)国際的に不公平な環境規制-
という「六重苦」にさらされている。
「TPP交渉に参加するだけで何も変わらない。日本経済の沈下を止めるには、打てる手をすべて打つ必要がある」(財界首脳)。
日本はその一歩を踏み出したにすぎない。
ソース:MSN産経ニュース
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