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福島第1原発事故による風評被害を嫌い、福島県外に拠点を移す企業の動きが相次いで
いる。スポーツ用品販売大手のゼビオ(郡山市)が本社を県外に移転する方向で検討して
いることが明らかになり、他にも複数の企業が県外に拠点を移したか、移転を決めている。
原発事故は収束の見通しが立たず、企業流出が止まらずに産業空洞化が進む可能性がある。
<寝耳に水>
「まだ何も分かっていない」
26日に郡山市役所であった市の記者会見。ゼビオの移転に関する記者の質問に対し、
角田武彦商工観光部長は移転話は寝耳に水で、情報収集にも至っていないことを明かした。
同社が移転検討を始めたのは3月の原発事故から間もなく。海外取引先を中心に、商談を
避ける傾向が強まった。放射能汚染を起こした原発がある県に本拠地を置くことで、負の
印象が深まるのは不利と判断。福島県から離れる方向で、仙台から東京にかけた地域で移転
先を探している。
放射能に対する海外の視線は厳しい。板金機械製造のトルンプ日本法人(横浜市)はドイツ
本社の意向で、福島市の福島工場を8月で一時閉鎖した。海外での営業、輸出に支障が出た
という。
福島工場には約15人の従業員がいて、大部分は日本法人本社に転勤したが、数人は異動
に応じずに社を去った。
<海外敏感>
日本法人は「ドイツは原発事故に敏感。福島から逃げ出すような形で生産を中止するのは
嫌だったが、本社の決定に従うしかない」と打ち明ける。
食品トレー製造の中央化学(埼玉県鴻巣市)も風評被害を理由に田村市の東北工場の操業
を休止し、生産機能を埼玉、茨城、岡山県などの工場にシフトした。
「取引先のスーパーやコンビニエンスストアから放射能を懸念する声が出た。食べ物に
関する製品で消費者の不安に直結する。原発事故が収まらない限り、操業は無理だ」と塚越
通永常務は話す。
東北工場の従業員約100人のうち約80人は他工場に異動し、残りは転勤を望まない
などの理由で退職した。
原発事故による労働力不足で生産拠点の主力を移したのは衣料製造販売のエスポアール
(田村市)。本社工場を縮小し、市内の系列2工場を閉鎖。5月に新潟県阿賀野市に新工場
を開設した。
約120人の従業員の3分の1を中国人実習生が占める。同社によると事故後、本国から
退避命令が届き、全員が帰国した。本社工場は原発から三十数キロ地点にあり、操業を再開
しても戻る可能性はなく、移転を決めた。
新潟県の新工場には、帰国した実習生のほぼ全員が復帰。結果的に福島からの離脱が労働
者のつなぎ留めにつながった。
佐久間孝志社長は「外国人は日本人以上に放射能を恐れる。実習生が戻る状況を早くつく
る必要があり、移転はやむを得なかった」と苦渋の決断だったことを強調する。
ソース:河北新報
URLリンク(www.kahoku.co.jp)
(つづく)