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米自動車大手が国内で大型投資を再開する。
ゼネラル・モーターズ(GM)はミシガン州に電気自動車(EV)などを生産する新工場を建設。
フォード・モーターは11億ドル(約840億円)を投じて主力工場を刷新する。
2008年の金融危機後、厳しいリストラに追われてきた大手各社は、
人件費の引き下げとドル安を追い風に新興国市場へ攻め込む構えだ。
GMはミシガン州デトロイト近郊で変速機の生産を手がけるウォーレン工場内に、
EVなどの生産設備の工場棟を新設する。稼働時期は非公表だが、1~2年以内を目指すとみられる。
GMはプラグインハイブリッド車に近い「ボルト」を発売済み。
13年に主力小型車「スパーク」のEVモデルを投入する。
新興国への輸出も視野に生産設備を増強し、エコカーで先行する日本勢を一気に追いつく考えだ。
ガソリン車への投資も拡大する。ミシガン州のフリント工場では3億2800万ドルを投じ、
大型車「シルベラード」の次期モデルを生産。
オハイオ州の部品工場やケンタッキー州の完成車工場でも増産に踏み切る。
09年末に操業を止めていたテネシー州の工場では、
当初はメキシコを予定していた中型車の生産を移して操業を再開する。
フォードは中部カンザス州の主力工場を強化する。
ピックアップトラック「F―150」の次期モデル生産に向け、
当初の投資計画から7億ドルを積み増して設備を新鋭化する。
同社は15年までに米国内で総額62億ドルを投じ、1万2千人を新規に雇用する計画を示している。
両社は全米自動車労組(UAW)との間で、4年に1度の労使協約交渉に合意したばかり。
医療保険などを含め割高だった人件費について、新規の雇用者を主な対象に大幅に引き下げる。
欧州債務危機などで世界景気は不透明さを増すが、足元はドル安の恩恵もあり輸出が好調。
クライスラーもUAWとの暫定合意を経て、近く国内投資の拡充を表明する見通し。
市場での信用も回復。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は9月末、
北米で継続的に利益を出す環境が整ったと判断し、
GMとフォードの信用格付けを「ダブルBマイナス」から「ダブルBプラス」に2段階引き上げた。
米国以外の自動車大手でも、製造拠点として米国を見直す動きが広がる。
独フォルクスワーゲン(VW)は北東部に比べて
賃金水準が低い南部テネシー州チャタヌーガに工場を設けて米国での生産に参入。
トヨタ自動車も11月にミシシッピ州で新工場を稼働させる。
ただ、急速な人件費の圧縮は、反ウォール街デモの主張にもみられる格差を広げかねない。
中間層の家計を圧迫し、長期的には米労働者の購買力を弱める恐れもある。
(ニューヨーク=杉本貴司)
米国の自動車生産台数
URLリンク(www.nikkei.com)
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