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今にして思うと、マイケル・ウッドフォード氏は、オリンパスの今年のアニュアルリポートで
自らの失脚を予言していた。「『変化』というのはシンプルな言葉だが、その変化の実現に
成功しようと思ったら、会長と極めて緊密な関係を持っていなければならない」
そのため、オリンパスの前CEO(最高経営責任者)が先週、会長の菊川剛氏に、買収に伴う
評価損計上や得体の知れないアドバイザーへの手数料に13億ドルを注ぎ込んだ「恥ずべき物語」を
理由に辞任を求めた時、ウッドフォード氏はどんな結果になるか予測できたはずだ。同氏は解任され、
空港へ行けと言われることになった。
オリンパスは今回の出来事を、「他の経営陣との乖離が生じた」ずけずけと物を言う西洋人と、
合意に基づく慎重な企業との文化的な衝突として説明しようとした。だがこれは、ほかの日本企業の
品位を侮辱する、つじつま合わせの作り話だ。
オリンパスでは、ひどく厄介なことが起きた。取締役会にその能力がない以上、徹底的かつ独立した
調査が行われるべき問題である。菊川氏と他の取締役は、彼らがこれまでに提供してきた説明よりも
はるかにきちんとした理由を提示する必要がある。さもなければ、自分たちが辞任するしかない。
■文化的な衝突とは関係のない教訓
オリンパス事件には他の日本企業にとっての教訓もあるが、日本の文化や、日々の経営の中でチーム
ワークと調和が優先されることとは関係がない。むしろ、取締役会の運営方法における構造的な問題に
関係している。
このことは、2007年に9億3500万ポンドで買収した英国の医療機器メーカー、ジャイラスを含む一連の
企業買収でオリンパスの現金がどれだけ浪費されたかについて、ウッドフォード氏の依頼でプライス
ウォーターハウスクーパース(PwC)がまとめた報告書への取締役会の反応でも明らかだった。
オリンパスは、さらに突っ込んで調査するどころか、議論を避け、ウッドフォード氏の解任を全会一致で
採決した。
オリンパスの取締役会の構成や株主構成を考えると、別の結果が出る可能性はほとんどなかった。
15人の取締役のうち12人は菊川氏に忠誠を尽くす幹部であり、同社の株式の60%は、問題を起こすのを
嫌がることで有名な日本の金融機関か、その他の日本企業によって保有されている。
■利害関係者の「離脱、発言、忠誠」
経済学者のアルバート・ハーシュマン氏は40年前、組織の衰退に直面した人は「離脱、発言、忠誠」の
いずれかで反応すると論じた。ウッドフォード氏は発言し、オリンパス取締役会は忠誠心を示し、
株主は静かに離脱した。同社の株価は、取締役会が開かれた14日以降、41%下落している。
ウッドフォード氏は、8カ月前にオリンパスの欧州法人社長から昇進する以前に同社で行われたことを
無視することも簡単にできたはずだ。大半の幹部であれば、そうしただろう。日本の雑誌FACTA
(ファクタ)が今夏報道した不正行為と違法行為疑惑が本当かどうか調査するのは会長の責任だった。
※続く
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