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秋、ふと京都に足を運びたくなる。元首相、細川護煕さん(73)もそんなひとり。永田町を離れ、
ロクロを回していたはずが、野田佳彦首相誕生にひと肌脱いだ。そしていま、首相に少々、注文も
あるようだ。色づきはじめた古都の細川家ゆかりの寺で、その思いを聞いた。
◇代表選1カ月前だったか 一緒に座禅を組みました 足も痛かったんじゃないかな
◇私なら脱原発、と言いますがね リーダーは旗幟鮮明にしないと ねずみ色の旗じゃ困る
静かな朝である。ただ鳥のさえずりと疎水のせせらぎが聞こえるのみ。「京都に座りにきたんですよ。
野田さんを誘って」。ここは南禅寺の天授庵(てんじゅあん)。枯れ山水の庭をながめていた細川さんが
とつとつと語りだす。「あれは民主党の代表選(8月29日)の1カ月ほど前だったかなあ、私がよく
座る建仁寺で、一緒に座禅を組みました。野田さんはこっそり新幹線の始発に乗ってきてね。靴下を脱ぎ、
あぐらをかき、1時間足らず。初めての体験ですから緊張したでしょう。足も痛かったんじゃないのかな、
あの体だし、アハハ。老師に色紙をもらいました。<脚下照顧>。わが足元を見つめよとの意味ですかね」
松下政経塾の評議員でもあった細川さん、早くから1期生の野田さんに目をつけていた。「寡黙なのが
いい。聡明(そうめい)才弁、ぺらぺらしゃべるのは結構いるけど」。野田さんは細川さんが結党した
日本新党にはせ参じ、千葉県議から国政へ。師弟関係はずっと続いていた。「民主党の2政権の挫折を
見ていて、いよいよ野田という逸材をどう国家のために生かすか、思いをめぐらせるようになりました。
江戸時代の禅僧、仙〓が面白いカエルの絵に添えて書いていますよ。<座禅して人が仏になるならば>。
その通り。座ったからどうなるものでもありません。たまには生臭の世界から解放された時間を持てれば、
そう思っただけです」
なんとしても愛弟子を首相にしたい--、その一念が小沢一郎元代表と野田さんの極秘会談仲介へ
つながる。8月25日の昼下がり、ホテルニューオータニの一室で3人は会った。「小沢さんは
あれだけの勢力を持っておられるわけだから、あいさつしておくべきだと考えていました。お互い
ちゃんと話したことがないというし。お茶かコーヒーだったかな、40分ばかりの気持ちよい会談
でした。野田さんは出るとは言いましたが、応援してくださいとは言わなかったな。その後、輿石
東さんが幹事長になって、小沢さんから電話がかかってきた。とてもいい人事だった、と。やはり
気配りが大事な世界なんですよ」
住職が抹茶と菓子を運んでくる。細川さん、慣れた手つきで一服やりながら、ちょっと茶わんで
もめでたらどうかという顔をする。あいにくこちらは知識がない。いましばらく生臭インタビューに
お付き合い願う。ところで、司法の裁きの場に立った小沢元代表への評価は? 「うーん、それは
ねえ。政治家の出処進退は自身が判断することですから。胸の内は想像できないけど、総理になり
たいとかではないでしょう。菅直人さんみたいに排除したり、敵に回したりすれば、立ちゆかなく
なる。距離感が大切です。私が心配していたのは小沢さんのことより、役所との距離感です。
政治主導といっても、頼るところは頼る。そうしなければ何もできませんから」※続く
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