11/10/11 17:03:40.29
ハッピーリタイアメント、定年後は悠々自適など、夢のまた夢。地獄が待っていた。
当てにしていた年金は先延ばしにされたうえ、大幅減額。代わりに用意したという
職場では邪魔者扱い。この国はおかしい。
■平均年収200万円
「入社以来、事務部門に勤務していました。退職前は課長職になり、部下も十数人従え、
年収は1200万円あった。定年後、再雇用を希望すると、『幸い、北海道の営業所で販売
課長の職が残っていますよ』と言われたので、年収は300万円台に下がるけれど、2~3年
は働けるだろうとホッとしていたのですが・・・・・・。
いざ赴任して与えられた仕事は、カバン片手に中小零細企業を回って、新規顧客を開拓する
営業職。部下はひとりもいない代わりに、販売課長という肩書を持った再雇用者がすでに
4人いて、誰もが毎日必死に走り回っている。営業経験がなかった私は、まったく契約が
取れぬまま精神的に参ってしまい、3ヵ月で辞めて東京に戻りました」(大手事務機器
メーカー・61歳)
国民年金はすでに支給開始年齢が順次上がっているが、2013年度から厚生年金の報酬比例
部分も現行の60歳から3年ごとに1歳ずつ上げられ(男性の場合)、最終的に65歳が年金支給
開始年齢となる。
だが、大多数の企業の定年は60歳。企業年金が整備されていない会社も多く、無収入
・無年金生活が現実のものとして迫ってきた。
こうした事態を避けるため、65歳までの雇用を確保しようという趣旨で生まれたのが
「継続雇用制度」のひとつである「再雇用制度」。政府が'04年に高年齢者雇用安定法を
改正してつくった制度で、定年退職者を企業が一度退職させて再び雇用するというものだ。
「政府は、定年の引き上げか定年の廃止、あるいは継続雇用制度の導入のいずれかの措置を
とることを企業に求めました。この中から企業はどれを選択したか。'10年6月1日現在、
社員30人以上の規模の会社で、定年を廃止したのは2.8%、定年を引き上げたのは13.9%、
対していわゆる再雇用制度を導入した会社は83.3%と、圧倒的に多かったんです」(『よく
わかる継続雇用制度導入の実務と手引き』の著書がある、特定社会保険労務士の川端重夫氏)
現在の日本では、60歳を過ぎて新たな再就職先を探そうにも、高齢がネックになってやりたい
仕事はなかなか見つからない。ましてコンビニでレジ打ちをするよりは、それまでお世話に
なった会社に残ったほうが、働きやすいはず。だから、企業の再雇用制度導入には大賛成と
思う人は多いかもしれない。
しかし、冒頭の告白にもあるように、再雇用制度は多くの〝不幸〟を孕んでいる。
まず第一に、給与が大幅に下がることを覚悟しなければならない。
一般に、企業は再雇用者の賃金を定年前の給与の3分の1程度に抑えている。平均的な再雇用者
の年収は200万円台で、300万円台だったり、賞与が払われるなら恵まれているほうだ。中には
アルバイト同然の時給制になっている企業もある。
「うちの再雇用システムは契約社員として、1年ごとの更新制をとっています。給与は時給に
して900円弱。勤務形態は週4日、1日8時間労働なので、1ヵ月の給与は約14万円。少ないとは
思いますが、毎日、ハローワークで職探しをするよりはましだと割り切って働いています」
(元大手通信会社管理職・61歳) ※続く
◎「週刊現代」2011年10月15日号
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