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新世紀を定義づける地政学的なドラマは、恐らく、中国と米国が軍事力と影響力を
競い合う戦いだろう。この新たな争いは既に、両大国にはさまれたアジア諸国に
厄介な選択を迫りつつある。
米国連邦議会上院では3日、中国から輸入される製品に関税を課すことを容認する
法案が可決されると見られていた。
仮に、米国の保護主義の勢いがこれでしばらく止まるとしても、米国内に漂う
対決ムードは中国の隣人たちにジレンマを突きつける。
■経済的な利益と戦略的な利益のズレ
日本やインド、オーストラリア、韓国、そして大半の東南アジア諸国にとって、
中国は今や最大の貿易相手国だ。ところが、これらの国々はまだ、軍事面で最も
重要な関係を米国と結んでいる。経済的な利益と戦略的な利益が互いに異なる
方向を指しているこの状況を、各国は果たしていつまで続けられるだろうか?
人民日報に先週掲載された社説から判断する限り、そう長くは続けられないだろう。
中国共産党の機関紙である同紙は、「米国の軍事力という助力と中国とのバランスが
取れている限り何でも好きなことができると思っている特定の国々」に狙いを定めて
いたからだ。
この記事は恐らく、掲載の前日に日本とフィリピンが発表した声明に触発されたものだ。
両国はこの中で海洋分野における2国間協力の強化を約束し、中国が南シナ海の広い
範囲で領有権を主張していることへの異議をほのめかしていた。
しかし、中国の警告はベトナムやインド、韓国、オーストラリア、あるいは台湾
などに向けられる可能性も同じくらいあった。これらの国々は皆、ここ1年間で
米国との軍事的なつながりを強めているからだ。
もちろん、これは皮肉な話である。隣人たちが大慌てで米国の軍事力に頼ろうとして
いるのは、この人民日報の記事が体現しているように、中国が武力をちらつかせて
威嚇してくるためにほかならないからだ。
中国はつい最近まで、高度な待機戦術を取っているように見えた。強まる経済力を
背景に、近隣諸国を中国の勢力圏内に否応なしに引き込んでしまおうという戦術だ。
ところが今では強く出過ぎて、反中国陣営をつくり出すリスクを冒してしまっている。
中国は各国のそうした動きを恐れ、反発している。
中国にとっては、もっと辛抱強い政策の方が理にかなっているだろう。2020年までには
世界最大の経済大国になる可能性が高いからだ。
■世界最大の経済大国になる中国の強み
米国は世界最大の軍事大国の地位を維持しており、中国自身の裏庭である太平洋でも
卓越した軍事力を誇る。しかし、政治力と軍事力は経済力と同じ道をたどるのが普通で
あるため、米国は太平洋における覇権を最終的には維持できなくなるかもしれない。
前述の人民日報の記事もその点にそれとなく触れており、次のように警告している。
「中国の経済発展という高速鉄道の切符を返上したいと思っている国はない」
米国政府は歳出の40%を借り入れで賄っており、中国は米国債を最も多く購入している
国だ。つまり中国は、米国が太平洋で軍事的優位性を維持する資金を間接的に供給して
いることになる。(※続く)
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