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9月19日、「ついに日本に対してもサイバー空間での宣戦布告か」と思わせる事件が発覚した。
ミサイルや潜水艦などを製造する三菱重工のコンピューターが、内部情報を流出させる可能性の
あるウイルスに感染していたのだ。同社は、製品や技術に関する情報が外部に流出した形跡は
確認されていないとしている。だが、20日にIHIや川崎重工など日本の防衛産業を支える
他社も軒並み同様のサイバー攻撃を受けていたことが発覚したことからも、わが国の防衛機密が
他国に狙われていた可能性は否定できない。まさに本格的なサイバー戦争の時代が到来したと
いえるなか、いかに優秀な「サイバー戦士」を確保するのか。
■ハッカー≒サイバー戦士
「名刺に書かれた情報から、オンラインで私の銀行口座にアクセスできますか?」
「おそらく。でも、そんなこと絶対にしませんけど」
名刺交換した際の愚問に率直に答えてくれたのは、サイバーディフェンス研究所シニアセキュリティ
リサーチャーの福森大喜氏だ。ひとくくりに「ハッカー」と言っても千差万別。一部のアノニマスの
ようにソニーなど特定の組織を攻撃する「クラッカー(破壊者)」もいれば、彼らの攻撃から企業
などを守る福森氏のような「ホワイト(善意)ハッカー」もいる。
世界では、優秀なハッカーの獲得競争が熾烈さを増している。米フェイスブックはソニーのゲーム機
「PlayStation3」のハッキングに成功したジョージ・ホッツ氏を社員に採用。また米アップルは
iPhoneのハッキングサイト運営者をインターンとして採用した。リクルーティング活動は民間企業
だけにとどまらない。米軍はハッキング競技会を開催し、参加者らのスカウトを行っている。
中国軍も対サイバー戦争を想定して兵士に専門訓練を施しているといわれている。官民あげて優秀な
人材の獲得や育成に取り組む米中に比べ、日本が専門技術者の数や技量ともに劣っていることは
否めないが、世界に挑む日本人ハッカーも出てきた。
■ハッカーの「なでしこジャパン」
8月4日から4日間、ラスベガスで世界最大のハッカー会議「DEFCON(デフコン)」が開催された。
会議では最新のハッキング技術の講義や発表が行われる。過去には重大な脆弱性を発表したため、
警察に連行されたハッカーもいたが、発表スライドに履歴書を添えて「出所したら雇ってほしい」
と来場者にアピールしたつわものもいた。
会議のメインイベントが、ハッキング競技会決勝だ。ハッキング競技会は各地で開催されているが、
デフコンは、サッカーでいえばワールドカップ決勝。この決勝に、初めて日本人チームとして前出の
福森氏が現場キャプテンを務める「sutegoma2」が進出した。インターネット予選には世界中から
約300チームが参加し、「sutegoma2」は2位で予選を通過。
12チームが参加する決勝戦の競技は「Capture The Flag (CTF)」とよばれる旗取りゲームで、
自分のサーバーを守りながら、相手のサーバーに侵入することでポイントを競い合う。「サイバー
戦争の予行練習」とも考えられる。CTFの運営者は米海軍を中心とするハッカーチームで、競技中に
飛びかった攻撃コードは軍に蓄積されているというから驚きだ。(※続く)
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