11/09/27 01:18:56.67
海外展開を急ぐ同社の足元で、何が起きているのか。「ユニクロ」の国内販売が8年ぶりに
前の期の実績を割り込んだ。国内市場での“伸びしろ”「ファッション」分野で苦戦が続いている。
「中国からインドにかけては有望な市場です。今後10年間で10億~20億人が中産階級になる。
アジアは10年後にはEU(欧州連合)のようになります」。カジュアル衣料チェーン「ユニクロ」を
展開するファーストリテイリングの柳井正CEO(最高経営責任者)は、熱を込めて海外市場の
可能性を語った。「ゴールドラッシュなんです。全員で掘りにいくしかない」。
9月14日、横浜市で開催された同社の事業戦略説明会の内容は「海外展開」ほぼ一色だった。
年間200~300店ペースで海外出店を進める。アジア各都市に旗艦店を出店。欧・米・中国・アジア、
それぞれに地域本部を開設する―。「攻め」の一手で書き連ねられた配布資料に添えられた言葉は、
「Winner Takes All(勝者がすべて取る)」。
デフレ経済下のアパレル業界で「唯一の勝ち組」と呼ばれた同社が、アジアを舞台にまたその座を
得ようと注力する姿勢をよく表している。
だが、何を語ったかより、何を語らなかったかを考えることで見えてくるものがある。
大半が海外展開について割かれた同資料は全26ページ。その中で、ユニクロ国内市場については
割かれた紙幅はわずか1ページだった。
語る必要がないほどに好調なのか。現実はむしろ逆だ。9月2日、同社は2011年8月期のユニクロ
国内直営店売上高・既存店売上高が8年ぶりに前年割れしたことを発表している。
最後に直営店売上高・既存店売上高が前年割れした「8年前」―2003年8月期は、いわゆる
フリースブームの「反動」に苦しんでいた時期。当時、柳井氏は不振を受け社長を退いている。
結果だけ見れば、今は、それ以来の販売減速と言える。
2011年8月期で既存店売上高が前年同月割れした月は2010年9~12月、2011年2月、3月、5月、8月。
秋口には「残暑が続き」、冬には「気温が高く推移した」、夏は「低温による影響で」と、同社は
販売不振の理由として天候不順を挙げるが、天候が思わしくない年はここ数年で何度もあり、
天気だけで「8年ぶり」を説明するのは難しい。
■伸びなかった客単価
国内事業の不振を解くカギは、同社の客数と客単価の関係にある。
右上のグラフを見れば分かるように、8年ぶりの前期割れとなった直営店売上高と既存店「客数」には
強い相関が見られる。つまりここ数年の販売好調は客数増によるものだったと言える。「ヒートテック」
などの高機能商品で話題を集めて集客する手法が奏功した結果だ。
一方で、客単価はほぼ横ばいのまま伸び悩んでおり、既に2010年8月期には前年割れに陥っている
(右下のグラフ)。同社では、強みのあるベーシックカジュアル市場での優位性を維持しながら、
客単価向上につながるファッション性の高い中価格帯以上の商品にも挑戦してきた。成熟し、飽和
しつつある国内市場にあっては、不要不急の「ファッション」こそが残された数少ない伸びしろ
だったからだ。(※続く)
●図表 URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)
●図表 URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)
◎URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)