11/09/24 10:15:07.83
未曾有の原発事故から6ヵ月---。福島第一原発の作業現場は、今も大混乱が続いていた。
東京電力の協力企業で働く村上忠晴氏(仮名、30代)が明かす。
「人手が足りず、最近では原発で仕事をしたことのないような素人でも、東電はフクイチ
(福島第一の通称)の作業員として大量に採用しています。彼らは、放射能への警戒心が薄い。
平気で汚染された瓦礫を触ろうとし、中には原子炉建屋の見える高台で記念撮影をする者も
いるんです。そんな緊張感のない作業員が増えたから、現場は混乱する一方です。防護服の
着方など、彼らに原発作業のイロハを教えるだけで疲弊しています」
そんな現場の不満を象徴するような、〝事件〟が起きた。8月28日に福島第一内に設置された
東電のライブカメラの前に謎の作業員が現れ、カメラを指さしながら何事か訴える映像が
流れたのだ。
ライブカメラに音声発信機能は付いていないため、ネット上では「重大なことを警告して
いるのではないか」と騒然となった。
そして内閣府の園田康博・大臣政務官が8月30日の会見で「本人の考えを教えてほしい」と
述べると、9月8日にその「本人」を名乗る人物が「作業員の低賃金、保険未加入、契約書も
ないという不当な雇用条件」をネット上の掲示板「2ちゃんねる」に〝暴露〟する事態に発展
したのだ。村上氏が解説する。
「彼がネット上に書き込んだことは、真実です。私も3月の事故以来、断続的にフクイチで
働いていますが、いまだに1日1万5000円の約束だった日当が払われていません。元請け
(親会社)の所長に『なんでカネを払ってくれないんですか』と詰め寄ると、こう言い放ったんです。
『お前は下請けだろう、そんなことを言う資格はない』と。東電の社員にも掛け合いましたが
『指導を徹底しますので・・・・・・』と答えるばかりで、元請けを厳しく注意しようともしません。
私は、あと1ヵ月ほど待って入金がなければ元請けを訴える覚悟です」
村上氏は「宿泊環境の劣悪さ」も、ネットの書き込み通りだという。
「私たち作業員の多くは、前線基地のJヴィレッジ(福島県楢葉町)近くの旅館に滞在しています。
私がよく泊まるのは十数人用の部屋ですが、同室の作業員たちの業務開始時間はバラバラ。
深夜の勤務を終え宿に戻り、明け方にようやくウトウトしていると、早朝に作業のある人たちが
起きてゴソゴソと支度を始めます。とても安眠できる環境ではありません。
1~2時間しか眠れない日が続き、炎天下の作業中に吐き気をもよおしたり、フクイチからの帰り道で
居眠り運転して事故に遭いそうになったこともあります。9月に入り少し涼しくなっても、1日に10人
ほどの作業員が熱中症や疲労などで倒れているんです。こうした生活環境を早く改善してほしい」
最近の東電の発表では、福島第一は安定した状態にあるような印象を受ける。8月18日には、
それまでトラブル続きだった日米仏3ヵ国の装置を利用した汚染水浄化システムに加え、東芝製の
放射性物質除去装置「サリー」で一本化したシステムを構築。浄化効率は格段に上がっているという。
また損傷の激しい1号機原子炉建屋を鉄骨で囲み、10月中に放射性物質の拡散を防ぐカバーで覆う
作業も順調に進んでいるようだ。(※続く)
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