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日本企業が未曾有(みぞう)の超円高に見舞われている。1985年のプラザ合意から四半世紀。
これまで幾多の円高ショックを乗り越えてきた日本企業が今回の試練をどう克服し、新たな事業
展開を目指すのか。有力企業経営者に円高のプラス面とマイナス面を問い、新しい経営パラダイム
への構想を聞いた。初回は三菱電機の山西健一郎社長。
「製造、設計など技術的な対応だけでは耐えられない。(海外)消費地生産、海外調達、現地調達の
拡大を従来以上に加速する必要がある」─。円高がドル/円70円の水準に進んだらどうなるのか
との質問に対し、三菱電機の山西健一郎社長はこう答えた。「まさに日本の空洞化につながる。
行き過ぎた円高はどこかで解消しないと、日本の産業界の大きな問題になるだろう」と、山西社長は
危機感をにじませながら語った。
インタビューの主な内容は次の通り。
─欧米の景気減速懸念など世界経済への先行き不安に超円高が加わっている。足元の業況は。
「7月末の第1・四半期(4─6月)決算発表時と特に変わっていない。欧州、米国のマクロ経済、
素材高騰などいろいろあるが、足元のところにはあまり影響はない。ただ、先行き不透明感がある
のは間違いない」
─直近の業績ピークだった2007年度(営業利益2640億円)の為替レートは
1ドル114円、1ユーロ162円だったが、11年度の利益予想(同2400億円)は
07年度に近い水準だ。円高抵抗力を高めてきた結果といえるのか。
「調達を集中する、軽く薄く小さくできるだけ素材を使わないように設計する、製造で不良率を
下げてリードタイムを短くする、といった調達、設計、製造での(改善)活動を三菱電機はずっと
継続している。これが効いている。今も継続している」
─ここ数年の海外生産比率は17─18%で推移している。超円高を受けて今後増えていくのか。
「成長戦略で売上高4兆円(想定13年度)、4兆5000億円(同15年度)と伸ばしていくが、
そのほとんどは海外。国内を維持したまま海外を伸ばしていくと、自然に海外生産比率、海外販売
比率は高くなっていく。一部は海外向けの国内製造も増えるが、海外生産比率が高くなる方向だ」
─山西社長は生産改善を主導し成果を上げてきた。円高の進行にはまだ耐えられるか。
「どこまでかは別にして、耐えられないことはない。ただ、三菱電機だけの話ではなくなってくる。
今も過度な円高だと思うが、円高が進みすぎると原価低減対策をどこまでもやれるわけではない。
大企業自ら海外に出て部品の品質を指導して海外から部品を買ったり、(生産拠点がある地域で)
どんどん現地調達をする。日本の部品メーカーが国内で製造できなくなり、海外に出て行かざるを
得なくなる。日本の空洞化につながっていく話だ。 国は一刻も早く円高対策を打つ必要がある」
※続く
◎URLリンク(jp.reuters.com)