【論説】自由化しても日本のコメは外国産に負けない--昆 吉則(農業技術通信社代表) [09/16]at BIZPLUS
【論説】自由化しても日本のコメは外国産に負けない--昆 吉則(農業技術通信社代表) [09/16] - 暇つぶし2ch1:ライトスタッフ◎φ ★
11/09/16 01:33:44.53
我が国の環太平洋経済連携協定(TPP)参加が話題になった昨年10月、農林水産省は
「国産米のほとんどが外国産米に置き換わり、新潟コシヒカリ・有機米といった
こだわり米等の差別化可能な米(生産量の約10%)のみが残る」との試算を発表した。
自由化すれば日本のコメ農業は9割が壊滅的打撃を受けると言うのである。その試算は
根拠がいい加減で、国民にコメ農業の弱さを印象付けるためだとしか思えない。

■米国農家は日本品種を作らない

農水省の試算では、国産米(247円/キロ)と外国産米(57円/キロ)との内外価格差を
4倍強であると言い、その品質格差も「今後の品種転換等により解消可能」だとしている。
さらに「米国では、輸出量が現在約400万トンあり、これにアジア諸国等の輸出量を
含めると我が国の生産量を上回る水準」になり、したがって前記のとおりコメは9割が
外国産に置き換わると言うのだ。

だが、農水省が対比する57円/キロのコメとは、1993年のコメ不足時に輸入して不評を
買った長粒種の価格である。また、カリフォルニア米(中粒種)が190円/キロで、
米国のコメ輸出量は400万トンだというが、米国のコメ総生産量約1000万トンの70%は
長粒種であり、短・中粒種は30%しかなく、総輸出量のうち短・中粒種を合わせても
80万トンに過ぎない。消費者が長粒種で我慢しない限り、TPP参加国には日本の9割を
供給するコメなど存在しないのだ。

筆者は2007年、7人のカリフォルニアの稲作経営者を招き『農業経営者』読者と
“「国境の壁」崩壊後の稲作経営”と題したシンポジウムを行った。カリフォルニアの
農家たちも当初は日本品種の生産に意欲を燃やしていたが、結局は止めてしまった。
収量が安定せず市場も小さい日本品種を作る経営的魅力が小さいからだ。

さらに肝心なことがある。収穫に使うコンバインの違いである。米国では麦や大豆、
トウモロコシなどにも使う普通型コンバインでコメを収穫する。日本の農業機械メーカーの
ものと違い、刈り幅は大きなもので10メートル以上、馬力も大きく、刈取部を替えるだけで
さまざまな作物を収穫することができる汎用性の高い機械である。

一方、日本で使われている自脱型コンバインと呼ばれる機械は、稲穂の部分だけを脱穀部に
供給するタイプで、能率では普通型コンバインには及ばない。だが、良食味米生産の条件
である高水分条件(20~28%程度)で日本品種を収穫しても、収穫ロスは1%未満である。
長粒種や中粒種は麦と同様に稲穂から籾が離れやすいが、日本品種は稲穂から籾が離れにくい。
そんな日本品種を米国の農家が使う普通型コンバインで食味を重視した高水分条件で収穫すれば、
40~50%のロスが出てしまうのである。そもそも大規模経営の米国の稲作農家は作業能率の
低い自脱型コンバインを使わないし、それを購入するとは考えられない。また、彼らは収穫
ロスを減らすべく、籾水分が16~17%になるまで乾燥させてから収穫するため、日本人が
好む食味のコメにはならない。

こう考えると、米国の農家が日本品種の生産を増やすとは考えにくい。(続く)

URLリンク(wedge.ismedia.jp)


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