11/09/04 10:28:12.50
【パリ=古谷茂久】ギリシャ政府は2日、今年の財政赤字の削減目標が達成困難になったと発表した。
南欧の信用不安は解消せず、周辺各国も追加的な財政赤字削減策の表明を迫られている。
スペイン下院は同日、財政規律を憲法に盛り込む改正案を採決した。
だが各国が打ち出す緊縮策は手詰まり気味で、赤字削減は自治体の締め付けにも及びつつある。
仏AFP通信によるとギリシャのベニゼロス財務相は2日の記者会見で、
2011年の財政赤字を国内総生産(GDP)比で7.5%まで圧縮する目標を達成できない見通しだと語った。
約5%のマイナス成長が見込まれるなど景気後退が予想以上に深刻なためという。
地元メディアなどによると今年の赤字はGDP比で8%台になりそうと伝えている。
欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)による今後のギリシャ支援に影響を及ぼす恐れがある。
また財政再建が行き詰まれば市場の不安材料ともなり、周辺諸国は警戒を強めている。
スペイン下院を2日に通過した憲法改正案は、20年以降の年間の財政赤字をGDPの0.4%以内に抑える。
さらに地方政府の赤字は同0.14%以内と規定する。
信用不安にさらされるスペイン政府は年金改革や国営企業民営化などを相次ぎ打ち出し、中央政府の赤字削減策はほぼ出尽くした。
残る課題は17ある自治州の赤字。中央政府は自治体の財政規律を憲法で縛るほか、
地方政府に後発医薬品の使用を義務付ける方針だ。これにより医療費を年間24億ユーロ(約2600億円)削減できるという。
一方、8月に455億ユーロの赤字削減策を発表したイタリア政府は、地方自治体への交付金の大幅削減を検討中。
ベルルスコーニ首相は州知事らとの会合で、地方政府への財政支援を12年は60億ユーロ、
13年は35億ユーロ減らす方針を示した。ポルトガル新政権も地方政府の歳出抑制を進めている。
ただ自治政府の権限が強い南欧では地方政府が公共交通や医療、福祉サービスなどを幅広く手掛けており、
自治体の緊縮策は国民生活に直結。地方に対する締め付けは国民の反発を招くリスクもはらんでいる。
イタリアでは緊縮策への反発が強く、政府は赤字削減策の見直しを迫られている。
大規模ストが6日に予定されているほか、ポルトガルでも労働組合が抗議行動を準備するなど、
地方への緊縮策が政権を弱体化させる恐れもある。
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