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8月9日、毎日コミュニケーションズが2012年春卒業予定の学生に就職活動の感想を
漢字一文字で聞いたところ、企業の採用意欲の回復を背景に「楽」が「苦」を上回って
3年ぶりに1位となった。
こうした結果を象徴するかのように、今年の就活では一部の“勝ち組学生”が複数の内定を
獲得するという現象が見られた。“無い内定”の学生にとってはなんともうらやましい限りだが、
彼らも決して楽ではないと、人材コンサルタントの常見陽平氏は次のように指摘する。
「企業の側には、せっかく厳選採用した学生に逃げられたくないという思いが強い。だから、
『(面接中に)ウチ以外を目の前で全部断ったら採用する』と迫るケースも増えました。
ある大手企業は、7月に採用を開始する大手商社を受けさせないため、研修旅行と称して
内定者合宿をやりました。週末に1、2泊で行くことで、就活をできなくさせたんです」
就活生からも「あるメガバンクでは8、9回と毎週のように面接があって、(選考の日程が
かぶった)ほかの企業を断らざるをえなかった」(早稲田大学)、「内定をもらった後に
“承諾書”の提出を急かすところが多い。もっと自分にあった会社を見つけたかったのに……」
(立命館大学)などの声が挙がった。
内定者を拘束するなど、まるでバブル時代の就活のようだが、それだけ企業側も厳選採用して
いて、内定者に逃げられたら困るということでもある。
一方で“そのほかの負け組学生”はというと、「エントリーシートの『わが社を選んだ理由を
教えて下さい』という項目がまったく思いつかなくて、マニュアル本からチョイスしてきた。
去年の秋から就活を始めたが、あまりの受からなさに『内定なんて都市伝説』と思っている
自分がいる」(立教大学)、「就活前は本当に就職したい企業だけ受けるものだと思っていたが、
今では『選んでいる場合じゃない』と、とにかく手当たり次第にエントリーしている」(日本大学)
という声が聞かれるなど、大半は“無い内定”もやむなしといった状況だ。
彼らの多くは「受からないから志望先を増やす」「でも、本来行きたい企業ではないから
対策が疎(おろそ)かになる」「さらに落ちて、もっと追い詰められる」という負のスパイラルに
陥(おちい)っている。こうした就活生の多くは、50~100社近い企業にエントリーし、
もはや自分でも「将来どんな仕事をしたいか」がわからなくなってしまっているのだ。
「就活で欲しいのは就職後に頑張れる人材。でも、就活に熱心な人ほど『就活を頑張って
きました!』となってしまう。企業からしてみれば、これから働くんだけど……となる」(常見氏)
就活生たちを襲う深刻な“就活格差”。各企業はますます厳選採用傾向を強めており、今後もこうした
悩みは増えていくだろう。
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