11/07/03 05:04:10.26
<前略>
以前に本コラムでも指摘したが、トヨタと日産の勢いの差は歴然としている。2011年3月期
の連結決算の営業利益額では、トヨタは日産に負けた。09年3月期にリーマンショックの
影響でトヨタが赤字に陥った時を除き、通年でトヨタの営業利益が日産を下回ったのは初めてだ。
詳細を見ると、トヨタの売上高は0・2%増の18兆9936億円、営業利益は約3・2倍の4682億
円。これに対して日産の売上高は16・7%増の8兆7730億円、営業利益は72・5%増の5374億円
。トヨタの売り上げの半分にも満たない日産に利益額で負けるということは、いかにトヨタ
が低収益に悩んでいるかが分かる。営業利益率も日産が6・1%なのに対してトヨタは2・5%
しかない。
さらに深刻な問題もある。トヨタはリストラが遅れて過剰設備と過剰人員を抱えている
ため、もの造りで利益が出ない収益構造になっているのだ。自動車産業は「シルバーストー
ン曲線」に見られるように、稼働率が高まれば高まるほど大きな収益が期待できるが、その
逆に稼働率が落ちると、とてつもない大赤字に陥る。
トヨタはいま、営業利益の76・5%をローンなどの金融事業で稼いでいる。まだ高い格付け
を活用して市場で有利な条件で資金を調達し、それをリースやローンの原資に回している
構図だ。ちなみに日産の営業利益に占める金融事業の比率は約18・7%。このデータからは
日産の方が本業で稼いでいる、と言える。
倒産した米ゼネラル・モーターズ(GM)もかつて過剰設備に悩み、本業はさっぱりだったが
、収益の9割以上を「虎の子」の金融子会社で稼ぎ、どうにか生き延びていた。トヨタの
収益構造は、かつてのGMとそっくりになっている。
しかし、トヨタはメディアの大スポンサーであり、ファクトであってもトヨタの苦境が
目立つような記事は慮って書かないため、国内の多くの人はいまだにトヨタが業界を引っ
張っている企業と思っている人が多い。トヨタの経営ははっきり言って、「青息吐息」で
あり、このままでは自動車産業界の「負け組」に入るかもしれない。雇用維持など震災から
の経済復興を、トヨタを中心とする自動車産業に依存しようと考えている政治家や官僚が
いるとすれば、それは大きな間違いだ。
今のトヨタと日産の状況を見ていると面白い。筆者の目には、トヨタがかつての日産に
なり、日産がかつてのトヨタになっているように映るからだ。「トヨタ化」する日産、「
日産化」するトヨタとでも言えようか。
かつてのトヨタは、巨像が猛スピードで走るイメージで、巨大企業なのに対応が素早く、
市場獲得競争で後れを取ることはありえなかった。80年代後半から一気に進んだ円高対策も
会社の意思決定の仕組みを変えるような組織改革を断行し、筋肉質な企業体質を構築した。
世間の批判を受けても、競争に勝つために企業としてやるべきことをやる企業であり、信賞
必罰もしっかりしていた。
しかし、今のトヨタは新興国市場への対応などは日産に比べて遅れ、言い訳ばかりが目立つ
。高学歴の「社内官僚」が増えて、その言い訳を考えることが仕事になっている。そして、
「なぜこんな人が役員になったのだろう」と思いたくなるような人が、処世術のみで役員に
なっているケースが散見される。
<後略>
ソース
URLリンク(zasshi.news.yahoo.co.jp)