11/05/19 20:14:07.73 lKbR4Ewg
●伊丹が原因という幻影
関空不振の原因を伊丹の存続に求める声は根強くあります。
しかし、「伊丹が足を引っ張っている」論は本当に正しいのか。
もし伊丹(および神戸)を廃港し、関空に集約したとして、関空や大阪府が考えるような「関空の回復」はあり得るのか。
もしそれが正しければ、各社は「伊丹規制」などしなくても「関空シフト」を進めているはずであり、
そうなっていないということは、「関空シフト」は全体で経営を悪化させる方向に動く結果になると言う認識だと言うことです。
新幹線などライバル交通機関がある路線はもとより、ライバルが無い北海道や沖縄路線ですら関空シフト→減便の流れが確立しているわけです。
北海道にいたっては、ツアー利用でも最近目立つようになりましたが、伊丹から羽田乗り換えへのシフトがあるわけです。
だから伊丹がなかりせば、と考えるのでしょうが、逆に乗り継いでまで伊丹にこだわるところにまで至ると言うことは、
関西の「国内線」航空需要そのものは伊丹あってこその部分が大きい、言い換えれば関空はライバルですらないかもしれないという推測が成り立ちます。
もちろん関空アクセスがはらむ諸問題が伊丹へのこだわりを招いていることは事実でしょうし、
これだけ言われても一向に改善が見られないというのは最早なにをかいわんやの世界ですが、
とはいえ大阪市内や神戸市内(阪神間)など関西圏の航空需要のメインエリアにおいて、
関空への時間距離において言うほどの大差があるわけでも無いという現実もまたあるわけです。
そうした状況でも根強い伊丹志向があるのはなぜか。
乗れば速いがフリークェンシーで劣る。そこに来て早朝深夜便対応という意味では羽田に比べて格段に見劣りがするアクセスの改善が一向に進まない。
これだけならアクセス改善による地位向上も狙えますが、そもそも何かあった時に代替交通機関を選択する際に、
絶対的な距離を痛感する現実があるわけで、その「不安感」「リスク」こそが関空忌避の原因ともいえます。
結局「国内線」航空需要は、伊丹があるから使うという一定の基礎票が存在するという推測が可能です。
もしそうであれば伊丹なかりせば関空が復活する、ではなく、関西の国内線航空需要自体が縮小する可能性があります。
いわんや伊丹が無くなれば関西(大阪)が発展するというのは幻影どころか妄想に過ぎません。
伊丹便の高度規制のため梅田に東京のような超高層ビル街が立たない、というような、「となりのなんとかチャンが持ってるのに...」
と駄々をこねる幼児のような議論を真顔でする人も少なくないです。
確かに大阪ビジネスパーク(OBP)は伊丹便の高さ規制を受けて超高層化が出来ませんでしたが、高い稼働率を誇ります。
しかし超高層ビルだったとしたらその増えた延べ床が埋まったのか。超高層ビルといえば南港のWTCがありますが、
二度目の破綻が現実味を帯びているわけで、大阪市内のビル需要はピンポイント的で、伊丹廃港でバラ色の未来になるようなものではありません。